目的地の先にあるもの
  作者: クレホ   2009年05月13日(水) 06時35分57秒公開   ジャンル:冒険
朧宵、白澄む薄月
やがて夜が来て、辺りは闇に包まれ
黙僧は眠りにつく3人を見下ろすと
そっと、寝床にしている川辺を離れた。

すぐ側で流れ落ちる滝の音を聞きながら
舞い落ちた竹の葉の上に座り
木々が開け、月光の差し込む小さな丘の上
空に浮かぶ月を撫でてゆく薄雲を見上げた。

小さく溜め息をつき
しばらく夜の音に聞き惚れていると
背後から落ちた葉を踏みしめながら足音が近付き
聞き覚えのある疎ましい声がした。


「こんな時間にも瞑想するのか、夜更かし坊主」
「………………。」


振り返りながら睨みつけてやると
魯彦はヘラヘラと笑いながら隣に腰を下ろした。


「俺とお前の弟子は、だんだん成長してきたな…」
「アイツはお前の弟子だ、師は2人も要らない」
「そうか(笑)」


ああ言えば、こう言う。
変な所で子供っぽい黙僧を笑いながら
魯彦は酒の入った瓢箪を手渡した。
何も言わずに一口あおって
不機嫌そうに魯彦に突っ返すと
再び空を見上げて少し眉をしかめた。


「それにしても、長い旅をしてるな……お前は」


真っ直ぐ前を見たまま
受け取った酒をあおり、呟く魯彦
黙僧は黙ったまま、静かにその言葉を聞いていた。


「なあ、諦めようとは思わなかったのか?
 別に棒を返さなくたって、お前はこうして居られるわけだし」


その言葉に、ガラにもなく悲しげな表情を一瞬浮かべ
黙僧は視線を落とした。


「……諦めるなんて選択肢自体が、俺には無い」
「使命なんかに縛られて生きてて楽しいのか?」


顔を覗き込むように問い掛ける
俯き、眉間に深くシワを刻んで
風に消えてしまうほど小さく、黙僧は囁いた。





「人は皆死ぬ……見送るだけの俺には、使命しか無いんだ」




同じ場所へ向かうからこそ、一緒に居られるんだろう……?




「そうか……」


ぽんぽんと軽く黙僧の背中を叩き
魯彦は足を投げ出して、両手を後ろについた


「早く猿王に会いたいなっ」
「そうしたら、やっと俺からも解放されるな?」


魯彦は微笑みを浮かべたまま


「俺が、お前の正体を分かってないとでも?」


そう、問い掛けると
黙僧は魯彦をしばらく見つめ、再び俯いた。


「お前が元の体に戻ったら、そこからは永遠だ」
「…………………。」
「……永遠に一緒だ」


月を見上げたまま
満足そうに微笑む魯彦の横顔を見つめ
黙僧も、ふと、ふてぶてしく笑った。


「お前みたいな奴と永遠に一緒だなんて、ウンザリするな」
「おい……っ」
「もう俺は寝るぞ、そこで1人で浸ってろ、馬鹿が」


去ってゆく黙僧の背中
一瞬、袖で目元を拭うような仕草に


「俺はずっとお前のコト、イイ仲間だと思ってる
 お前もそうだろ〜?」


そう、投げかけると


「言わせるなっ」


と、恥ずかし紛れの怒号が返ってきた。
魯彦は満足そうに笑って
満点に輝く星と満月を見上げた。
*作者からのメッセージ
テンションの下がるコトがあるとドラキンを見ます(笑)
黙僧と魯彦は仲悪そうき見えながら
何気に画面の端のほうで仲良く話してる2人

私の身近にも
口論するほど仲がいいが多いので(笑)
なんとなく書いてみました^^

徐々に携帯で小説に慣れないとね(笑)
※作品内の画像・背景画像は作者様のもの(一部劇場のもの)です。お持ち帰りされる際は作者様に許可をお取り下さいませ(合掌)

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