江湖好漢録/武勇双侠
  作者: ミコ   2017年03月27日(月) 22時30分25秒公開   ジャンル:武侠
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第八部(最終部)前編『対峙の時』

昭卓
「純月は鬼影に連れて行かれたのか!」

夢輝
「喉が乾いてるだろうからって言って行ったのよ、、、一人で行かせるんじゃなかったわ」

蘭花
「水を飲ませに行くなんて、純月は鬼影を恨み切れてないのかしら」

美琳
「心配だわ」

無雲
「大丈夫だ、殺されることはないさ。そう書き残してあっただろ」

欣強
「鬼影たちもあんなことされて黙ってないだろうし、疾風烈火のところに連れて行かれたら、きっと痛い目に遭わされるかも。兆軍は純月を目の敵にしてたからな」

連飛
「あの二人の狙いは私だ。羽丹はあの時から私を恨んでいるからな」

京虹
「あの時?」

連飛
「二年前、私と共に科挙試験を受けたが落とされた。そのあとの武科挙試験での武術表演でも試験官からも評価されず、奴と試合をした結果、私が勝利し怪我を負ったんだ」

無雲
「それで恨んでいるというのか?鋼鎖団は盗賊団だろ、武科挙試験に合格できるわけがないじゃないか」

青雷
「科挙試験は難関とされているが、武科挙試験はたとえ盗賊であっても武術の腕が優れていて正攻法であれば、直接の関係はないのだ」

欣強
「へぇ、そうなんだね」

連飛
「要は武術の腕が判断の基準だ」

京虹
「父さんを襲ったのが鋼鎖団の鉄鎖の使い手だったとすれば、奴はまだ生きてるのか?青雷さん、その男は今どうしてるのか知ってたら教えて欲しい」

青雷
「二年前の我ら一門との戦いには鋼鎖団は寨主を筆頭に主要幹部である九人が襲撃をかけてきた。総帥を始めとしわしを含めた我ら一門の八人で戦いに応じた。七人は同志と共に討てたが、総帥は人質に捕らわれたお嬢様を救おうと寨主の手で殺された。総帥にお嬢様を託されたわしは逃げる道を選び、山奥で隠れ住んでいたんだ」

美琳
「父は一門の血を絶やさないためにワタシを青雷に託したの。逃げたのはそのためよ」

青雷
「ほとぼりが冷めた頃に親しくしていた江湖の侠客がわしを訪ねて来て聞いた話では、寨主もその時の重傷が原因で三日後に死んだらしい。生き残った四鬼邪班の師匠だった鬼丸と鉄鎖の使い手である鎖王のうち、どちらが跡目を継ぐかで仲違いを起こし決裂したと聞いた私は鬼丸を探し出し仇を討った。お前の父親を襲ったのは鎖王だったかもしれんな。鎖王はとても図体がでかい男で、死んだという話は耳にしていない」

京虹
「覆面をしていて顔は見ていないけど、奴も大柄な男だった。母さんが倒れていたときに落ちていた腕輪の鐶も鎖王のものだったのか?」

青雷
「いずれにしてもお前の両親を襲ったのは鋼鎖団に関係していた者だということも間違いなさそうだな」

京虹
「疾風烈火の二人は抗争にはいたのか?あの腕輪は兆軍もしてた」

詩音
「その腕輪なら鬼影もしてたって純月が言ってたじゃない」

青雷
「鬼影は鋼鎖団には属してなかった。きっと奴がしていたのは師匠の鬼丸のだろう。それと疾風烈火の二人の顔はわしも見たが抗争の時に姿はなかった」

欣強
「宝石問屋からおいらを追ってきたのは間違いなく兆軍だ。そのあとも変装をして夢賭庵にきたのはあの二人だよね」

昭卓
「その前にこの店で連飛たちを探っていたのも、僧侶に変装した二人だ」

無雲
「すべてはあの二人が仕組んだことで、四鬼邪班は金で雇われた駒ということだな」

美琳
「きっと四鬼邪班の連中は師匠を殺した青雷を恨んでいるのよ。だから疾風の二人に手を貸しているんじゃないかしら?」

青雷
「それも考えられるが、あの四人がそれほどまでに師匠を慕っていたとは思えない。と言うのは元々、四人が鋼鎖団に入らなかったのも理念の相違があって、武術の教えを請うためだけという関係だったとも言われているんだ」

無雲
「理念?」

連飛
「江湖の侠客の理念だよ。名利は求めず、権にも媚びず、義に生きる。所謂、好漢さ」

京虹
「じゃあ、四鬼邪班は好漢だというのか?」

青雷
「あの四人は江湖の兵器譜でも上位の位にいるし、盗賊に成り下がらずも生きていく腕も持っている。だから師匠から技だけ学んで独立したんだろう」

無雲
「でも金が絡めば、なんでもやるんだろ?それを好漢と言えるのか?」

青雷
「とにかく、疾風の二人がこれからどう動き出すか?四人は疾風に加担して、それを徳とするかですべてが決まる。あとは仕掛けてくるのを受けて立つまでだ!なぁ、武勇双侠よ」

連飛、京虹
「あぁ」

夢輝
「わたしの勘だけど鬼影は純月を絶対に殺さない気がするの」

詩音
「何故かはわからないけど私もそう思う」

青雷
「わしが純月を探し出し、無事に連れ帰るさ」

一方、阿能は疾風烈火の二人と今後のことについて話をつけようと我が根城である祠堂に寄ると、そこには阿晋と阿宝が待っていた。

阿晋
「阿能、逃げ出してきたんだな?」

阿能
「あぁ、縛られていただけだからな。お前ら二人も逃げ出せたんだな」

阿宝
「小川で吊されているところを羽丹たちが来て助けてくれたんだ。あれ、越哥は?」

阿能
「酔酒憩廠の裏庭から純月を攫って例の家にいるよ」

阿晋
「人質に取ったのか?」

阿能
「あぁ。疾風の二人はどうしてる?」

阿晋
「もう一度手を貸してくれと金を積まれたよ。阿越はなんて言ってるんだ?」

阿能
「二人と話をつけて来いって言われた。金を受け取って加担するか決めるのは俺らだ。奴らのところへ行こう!」

三人は疾風烈火のいる祠へ向かった。

羽丹
「阿能、お前も無事だったか?」

阿能
「あぁ。奴らは別に俺たちを殺そうとしているわけじゃないようだからな」

羽丹
「これは残りの金だ。手を貸してくれるならみんなで山分けだ」

兆軍
「阿越はどうした?」

阿能
「共に逃げ出したが、純月って娘と一緒にいる」

兆軍
「純月ってあの生意気なチビ女だな、人質に捕ったのか?出来したじゃないか」

阿能
「お前ら二人と話をつけにきたが、俺らがお前らに手を貸したところでなんの徳がある?それが聞きたい」

羽丹
「徳?それはこの金はお前らの物になるし、奴らを倒せばここは俺らの天下になるんだぜ!」

阿晋
「俺もそれを聞きたかった。奴らは悪漢じゃない、倒したところでまた次の正義がやってくるんだぞ」

兆軍
「どうしたんだよ、金が欲しいだろ?チビ女を盾にして襲撃しようぜ!」

阿能
「その金もどうせ盗んだ金だろ?」

羽丹
「頼む。手を貸してくれ!」

阿能
「わかった。越哥と話したらすぐ戻る。ここで待ってろ」

隠れ家の鬼影は、、、

純月
「あたいを人質にしてどうするつもりだ?あたいを殺しても困る人間なんていないんだから」

阿越
「殺さないと言っただろ!」

純月
「あたいはあんたに酷いことをしたし、他の三人だってあたいを恨んでるだろ?」

阿越
「俺ら四人は元々、お前にも他の連中になんの恨みもないし殺す理由もない」

純月
「でも金がもらえるならなんでもやるだろ?だからあたいたち女性をあんな目に遭わせたんだろ、違うか?」

阿越
「殺す気はさらさらなかったさ、ちょっと困らせただけだよ」

純月
「困らせるだけがあれか?京哥が来てくれなかったら、死んでたかもしれないし、青雷さんに内力をもらってよくなったけど、夢輝さんも詩音さんも蘭花だってみんなそうだ!」

阿越
「青雷に内力をもらったのか?」

そこへ阿晋たち三人がやってきた。

阿越
「晋哥、阿宝も逃げ出したんだな」

阿晋
「羽丹たちに櫓から降ろしてもらった」

阿能
「羽丹とは話してきたが、どうしても手を貸して欲しいと言って金を積まれたよ。それにこの娘もどうするんだよ?」

阿宝
「人質に捕ったと話したら、盾にして襲撃するって兆軍が言い出してる。あいつはこの娘を目の敵にしてるからな」

阿越
「阿能、奴らに話したのか!?」

阿能
「話の流れでつい」

阿越
「俺はこいつを殺す気はないし、奴らに渡すつもりもないぞ」

阿能
「じゃあなんで連れ去ったんだ?」

阿越
「お前が手をかけようとしたからだろ?」

阿能
「俺だってこいつに恨みもないし、増して殺す気もないさ。ただ逃げ出すためにそうしただけさ」

純月
「ねぇ、なに揉めてんの?そもそもあんたたちが疾風烈火に手を貸そうとしたから悪いんだろ?」

阿宝
「金で雇われたんだ。仕方ないだろ」

純月
「どうせお前らは金欲しさにか弱い女に卑劣なことした悪漢だろ!腕もあるのに間抜けな奴らだな!」

阿宝
「うるさい、黙れ!」

純月
「へぇー殺す気もないのに、点穴したり、数珠で縛ったり、毒蝶を使うのか?あたいなんか芙蓉金針を刺されたんだからね!」

阿越
「あの芙蓉金針には毒は仕込んでいなかったから、少し内力を失うだけだった」

阿宝
「俺の点穴も武術を心得てる者になら解ける程度の物だぜ」

阿能
「俺の数珠も男の力があれば解ける」

阿晋
「俺の使ったのも毒蝶ではなかったさ」

阿越
「すべては脅しで、殺意はないものだったんだ」

純月
「でも、あたいの胸には傷が残った。これはどう責任を取るんだよ、阿越!」

阿能
「越哥、どう責任を?」

阿越
「責任を取れと言うなら嫁にするが、お前にその気はないだろが!」

阿晋、阿能、阿宝
「阿越!?」

純月
「あ、あるわけないだろ!馬鹿!」

阿能
「でもあの時好きになりかけたから、尚更赦せないって言ってなかったか?」

純月
「うるさい、黙れ!」

阿越
「とにかく俺はこいつを盾にする気はない!この話はもう終わりだ!」

阿宝
「でもあの二人が知ってしまった以上、放ってはおかないと思うけど」

阿越
「逃げられたと言っておけばいい。純月は天下の女スリだぞ、そんなこと朝飯前だってな」

阿晋
「とにかく戻ろう」

四人は疾風烈火の根城に向かった。

羽丹
「待ってたぜ。一緒に行ってくれるよな?ほら、金はここだ」

兆軍
「チビ女はどこだ?」

阿越
「俺の隠れ家にいる」

兆軍
「よし、そいつを盾に奇襲攻撃だ!」

阿越
「俺はあの娘を連れあとから行く」

羽丹
「そうか。それじゃ、武器を携え突撃だ!!」


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