江湖好漢録/武勇双侠
  作者: ミコ   2017年03月27日(月) 22時30分25秒公開   ジャンル:武侠
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第七部 『羞辱報復』

美琳と女将に化粧をしてもらい、煌びやかな服に着替えた詩音たち四人は踊りの練習を済ませ四邪鬼班が来るのを待っていた。

その頃、約束の時間に遅れないようにと四邪鬼班は一張羅に着替え花を買い、紅蝶楼に向かっていた。

四人が表門に着くと女将が出迎えていた。

女将
「お待ちしておりました。どうぞ」

美華(美琳)
「大侠の皆さま、ようこそ。美華でございます」

阿能
「誕生日おめでとう」

阿晋
「こんな美しい女性に招かれて嬉しいよ」

阿越
「これは俺たちからの贈り物だ」

美華
「わぁ、綺麗なお花!さぁ、こちらへ。まずは乾杯と行きましょう」

美華は四人に杯を渡し、酒をついだ。

女将
「お料理も用意してあります。今日は思う存分、飲んで食べて楽しんでってくださいな」

阿能
「美華嬢は人気伎女だと聞いてきたが、この店には最近きたのか?」

美華
「三ヶ月前です」

阿晋
「どおりで見たことないと思ったよ」

阿越
「三ヶ月で人気伎女とはすごいな」

阿宝
「越哥、これだけのべっぴんなら当然ですよ」

美華
「さぁ、もっと呑んで召し上がってくださいな」

女将
「お兄さん方、この娘たちが祝いの舞をご披露しますので見てやってくださいな」

阿越
「おぉ、いいな」

詩音たち四人は、練習した舞を見せる。

阿能
「よっ、いいぞ!」

阿能
「美華嬢、妖艶な舞だな」

美華
「お兄さん方に楽しんでいただきたくて一生懸命練習したんですよ」

舞が終わり、四人は挨拶をしに席にやってきた。

美華
「この娘たちもご一緒して宜しいかしら?」

阿越
「もちろんだ」

美華
「さぁ、貴女たちもこちらへ」

音華(詩音)
「音華と申します。こちらのお兄さんは細身で素敵!」

阿晋
「音華か、清純そうで可愛いな。じゃあ、俺からも一杯」

夢華(夢輝)
「ワタシは夢華と申します。お兄さんは目がすっとしてて素敵!」

阿宝
「夢華か、すらりとして綺麗な娘だ。さぁ、呑んでくれ!」

桃華(蘭花)
「こちらのお兄さんはがっちりしてて素敵!桃華と申します」

阿能
「桃華か、目がくりっとしてて美しい。よしついでやろう!」

月華(純月)
「こちらのお兄さんは渋くて髭が素敵!月華と申します」

阿越
「月華か、その猫のような目が色っぽいな。横に座れ。呑ませてやろう!」

美華
「お気に召しましたら、どうぞお一人ずつお部屋にお連れしても宜しくてよ」

阿越
「いいのか?」

美華
「もちろんですとも。貴女たちもそうしたいでしょ」

四人
「ええ」

女将
「今日はそのためにお招きしたのですから。お代はいただきませんので」

阿能
「ホントか?」

女将
「それぞれのお部屋を用意しておりますので、ご案内しましょう!」

四人
「では、お待ちしております」

阿晋
「音華、入るぞ!」

音華
「さぁ、もっとお飲みになって」

阿晋は音華に酒をつがれ、酒を飲み始める。

阿晋
「ここへはいつ?」

音華
「四日前に入ったばかりで。前は違う店にいたんです」

阿晋
「そうか。お前ももっと呑むか?」

音華
「わたしはあまり強くないの。阿晋の旦那こそもっと呑んでぇ!」

阿晋
「なんか眠くなってきたな」

天井裏からは徳明が覗いていた。

阿宝
「夢華、入るぞ!」

夢華
「さぁ、こちらへ。もっと呑んでくださいな」

阿宝
「お前も飲めよ!しかしさっきの舞はよかったな」

夢華
「ごめんなさい、ワタシは下戸なの。ワタシが飲ませてあげるぅ!」

阿宝
「いいねえ」

天井裏からは無雲が覗いていた。

阿能
「桃華、どこだ?」

桃華
「ここですよ!」

阿能
「昼間から酒を呑んで美味い料理を食べて、こりゃいいな」

桃華
「料理も酒もまだまだありますからね!さぁどうぞ」

阿能
「お前の酌で飲む酒は特別美味いな」

天井裏からは昭卓が覗いていた。

月華
「阿越の旦那、こっちですよ。早くいらして!」

阿越
「今、行くぞ!」

月華
「阿越の旦那は奥方はいらっしゃるの?」

阿越
「いたら遊郭になんぞ来ないさ」

月華
「今日は美華姐の誕生日だからいらしてくれたけど、今度はあたしに会いにいらしてくれる?」

阿越
「あぁ、もちろんだ」

月華
「もっとお飲みになるでしょ?」

阿越
「あぁ。お前ももっと飲むか?」

月華
「あーん、飲ませてくださいなぁ」

阿越
「甘えてるのか?」

天井裏から京虹が覗いていた。

あまり酒の強くない阿晋と阿宝は酔いつぶれ、寝てしまったようだ。
音華と夢華は念のために眠り薬を二人に飲ませ、綱で縛っておいた。

残るは酒豪の阿能と阿越だ。
酔った勢いで気が大きくなった阿能は、桃華の煽てに乗り少林拳を披露している。

桃華
「素敵ー!」

阿能
「これは七星拳と言うんだぞー」

桃華(心の声:こいつは酔いつぶれそうにもないわ)
「ねぇ。こっちのお酒は格別なの、飲んでみて」

阿能
「どれどれ?うん、辛口で美味いな」

桃華
「さぁもっともっとぉ!」

ようやく阿能も眠り薬入りの酒を呑み寝てしまったところを綱で縛っておいた。

月華
「旦那はあたしが今まで会った殿方の中で一番素敵。髭も渋くてその目で見つめられたらとろけそう」

阿越
「月華、お前は口も上手いな。お世辞でも嬉しいよ」

月華
「お世辞じゃありませんよ。旦那はホントにお強いのね、全然酔ってないみたい。酔ったらどうなるか、見せてくださいな」

阿越
「その気にさせて、どうする気だ?」

月華
「そんなことあたしの口から言わせるおつもり?」

阿越
「大胆な娘だな」

月華
「じゃあ、これはいかが?」

純月は酒を口に含み、口移しで飲ませようと肩を掴み阿越を引き寄せた。
天井裏で見ていた京虹はハラハラしている。

次の瞬間、純月は懐に入り込み首筋に口づけをすると噛みついた。

阿越
「痛い!なんのまねだ?」

月華
「媚薬を注入したんですよ。もうあたしのものさ!」

阿越
「媚薬?」

月華
「そう、惚れ薬という名の媚薬よ」

阿越
「月華ーーー」

月華
「どう?あたしに惚れた?あたしなくてはいられないでしょ」

阿越
「月華ーーー?」

月華
「あたいは純月だ!弱みにつけ込んで気持ちよかったか?人の心を弄びやがって」

阿越
「ホントに純月なのか?」

純月
「忘れたか?お前が針を刺したこの胸の満月の刺青を!」

阿越
「悪気はなかった、金のためだったんだ」

媚薬で朦朧としている阿越の首筋に剣を突きつけ、外に引きずり出す。

純月
「夢輝さん、詩音さん、蘭花さん上手く行った?」

夢輝
「三人とも眠り薬で寝てるわ」

夢輝
「阿越は?」

純月
「薬で朦朧としてるよ」

美琳
「四人とも上手く行ったわね。さぁ最後のお仕置きと行きますか!」

阿越たち四人を荷台に乗せ裏口へ運び出すと、そこに用意しておいた車輪付の櫓に四人を縛り付け、表通りに出した。

純月
「さぁ、皆さん見ておくれ!こいつらは遊郭に来るのに一文も持たずにやってきて、散々飲んで食った挙げ句に女を抱こうとした野郎たちだ!」

下から服についた紐を引くと服が脱げ、褌一丁になった。
褌には『我们、淫男』と書かれている。

遊郭の二階から美琳が水をかけると四人は目を醒ます。

阿宝
「俺は高いところが苦手なんだ。降ろしてくれー!」

夢輝
「按摩だなんて人の体を撫で回したお返しよ!」

阿晋
「飲みすぎて気持ち悪い、降ろしてくれー!」

詩音
「絵を買うだとか、蝶を見せるだなんて騙したお返しよ!」

阿能
「恥ずかしいー、降ろせー!」

蘭花
「商売繁盛だなんて嘘ついて、まだ肋骨が痛いわ!お返しよ!」

阿越
「頭がくらくらする。降ろしてくれー!純月、頼む!」

道行く人たちがみんな笑いながら見ている。

純月
「降ろして欲しいか?それなら泣いて赦しを請うがいい!」

夢輝
「謝りなさい!そうしないのなら紐を引いて!」

すると両足首に縛った紐が両側に引かれ、股裂き状態になっていく。

阿宝は高所恐怖症で気を失ってしまい、阿晋は悪酔いしてぐったりしている。

阿能
「股が裂けるー!」

阿越
「純月、望みはなんだ?」

純月
「お前が針を刺したせいで、体に傷がついた。嫁入り前なのにどうしてくれる?」

阿越
「恨んでるくせに、その俺にどうしろって言うんだ?」

純月
「あたいは本気でお前が好きになりそうだったーーー!だから尚更赦せないんだよ!」

夢輝、詩音、蘭花
「純月!?」

純月
「三人の味わった苦痛をあたいがあの四人にも味わわせてやるよ、見てて!」

純月は剣を握りしめ櫓を昇っていく。

夢輝
「みんなを呼んで来る!」

夢輝に呼ばれ連飛たちがやってきた。

青雷
「危ないぞ、降りてこい!」

京虹
「純月はなにするつもりだ?」

純月は櫓に足をかけ、手前にいる阿宝の首に剣を当てる。

純月
「まずはこいつから行くか?疫鬼、点穴の代わりに剣でつついてやろうか!」

阿能
「やめろ!」

純月
「鬼毒、お前には蝶じゃなく剣を首に刺してやろうか」

阿越
「やめろ!」

青雷
「純月、殺すな!」

純月
「四人の悪漢どもよ、この綱を切って下に落ちたら足の骨が折れるかな?それとも打ち所が悪ければどうなるか?」

阿能
「やめてくれー!」

純月
「疾風烈火の二人に金で雇われたんだろ?白状しろ!」

阿越
「そうだ、すべてはあいつらの仕組んだことだ」

純月
「二人は助けに来ないじゃないか?所詮そんな連中だよ!」

阿能
「俺たちがここに来てるのを知らないからさ。今頃、お前たちを倒そうと計画を企ててる。俺らも手を貸すように誘われてたんだ!」

阿越
「夕刻に根城に行くことになってる。行かなければ探しに来るかもしれん」

純月
「でもお前たちは行けないな。はははー!探しに来るまでこうしてろ!」

純月は櫓から降りてきた。

青雷
「これで奴らも懲りてるだろ」

京虹
「びっくりしたよ」

純月
「聞いたでしょ。疾風烈火の二人はこいつらと襲撃を企ててる。でも四人が行かなきゃ二人だけじゃどうにもならないさ」

美琳
「二人もこのことを知れば、助けに来るんじゃないかしら?」

連飛
「この四人もここまでされて、まだ手を貸すかな?」

青雷
「金を積まれればやるかもしれんぞ」

京虹
「知らせに行くか、それとも人質に取ったと脅しに行くかだな」

美琳
「あの二人にもこの姿を見せてやりたいわ。文を届けに行ってみる?」

無雲
「とりあえず、ここでは店にも迷惑だ。酔酒憩廠まで連れて行こう」

連飛たちは紅蝶楼の女将にお礼を言って酔酒憩廠まで櫓を引いていった。

その頃、疾風烈火の二人は、、、

羽丹
「奴ら遅いな。約束の時間が過ぎたのになにしてやがる」

兆軍
「やっぱり前金を渡しておけばよかったですね。見に行ってみますか?」

羽丹
「奴らの根城に行ってみよう!」

二人は四人の棲む祠堂に行ってみたが、姿はない。

羽丹
「どこへ行ったんだ?」

兆軍
「二人で襲撃しますか?」

羽丹
「向こうは強者揃いだ、二人じゃ無理だ」

兆軍
「そうですね。碧仙門の用心棒に連飛と京虹、七彩の男ども、やっぱり四人に手を借りないとですね」

羽丹
「四人がよく行く店があるらしい、行ってみよう!」

二人は溜まり場としている寂れた飲み屋へ行ってみると、柱に文が吹き矢とともに刺さっていた。

『お前らの間抜けな仲間は小川の脇に干してあるぞ』

二人が小川に走っていくと、そこには阿宝と阿晋が櫓に吊されていた。

兆軍
「気を失ってますよ。それに褌一丁ですぜ」

羽丹
「登って降ろしてやれ。俺は高いところは苦手なんだ」

兆軍は櫓に登り一人ずつ降ろしてやった。

羽丹
「おい、どうした?起きろ!」

阿晋
「羽丹か、ここはどこだ?」

羽丹
「小川だ。なにがあった?待ってたんだぞ」

阿晋
「阿宝、起きろ!」

阿宝
「わー!びっくりした。へっくしょん!」

阿晋
「奴らの罠にはめられたんだ」

阿宝
「なんで褌一丁なんだ?足の付け根も痛い」

羽丹
「奴らって誰だ?罠ってなんだ?」

阿晋
「俺らが罠に嵌めた女たちですよ」

阿宝
「人気伎女の誕生日だって遊郭に招かれて、酒を呑んで部屋に呼ばれて」

兆軍
「阿越と阿能は?」

阿晋
「きっとまだ紅蝶楼の前で吊されているよ」

羽丹
「くっそー!」

兆軍
「どうします?」

阿宝
「元々俺らは関係ない。お前らに加担してもなんの得もないぜ」

羽丹
「そんなこと言わずに手を貸してくれ」

阿晋
「恥までかかされた上に仲間も捕らわれたままだだ。阿越たちを助けに行きたい」

酔酒憩廠の裏庭では、、、

連飛
「もう少しここにいてもらうぞ」

阿越と阿能に服を着せ柱に縛り付けた。

阿能
「どうする気だ?俺らを殺してもどうにもならないぞ!」

無雲
「自業自得だ、そこでじっとしてろ!みんな行くぞ」

連飛たちは店へ戻った。

夢輝
「純月、媚薬を飲ませたんですってね。どこで用意したの?」

純月
「美琳さんに頼んで眠り薬と一緒に買ってきてもらったんだ」

詩音
「それって本当に惚れ薬だったの?」

純月
「惚れ薬ではなく幻覚剤だよ。本心が隠せなくなるって薬だって美琳さんが言ってたよ」

蘭花
「飲ませたんじゃなく噛みついて入れたんでしょ?京虹さんに聞いてびっくりしたわ」

夢輝
「どこに噛みついたの?」

純月
「首筋だよ」

詩音
「ってことは首筋にチューしたの?」

夢輝
「純月ったら大胆ね」

純月
「仕返しだと思えば、どうってことないさ!」

裏庭では、、、

阿能
「越哥、どうする?逃げ出して二人のところへ行くか?」

阿越
「金をもらって二人に手を貸してもいいことはなさそうだが」

阿能
「晋哥と阿宝はどうしてますかね」

そこへ純月がやってきた。

純月
「逃げ出す相談か?」

阿能
「俺らにこんなことしてもあいつらは痛くも痒くもないぞ」

阿越
「あぁそうだ」

純月
「別にあいつらを困らせるためじゃないさ。あたいたちはお前らに報仇したかっただけだからね」

阿越
「頼む。綱を解いてくれ」

純月
「鬼毒と疫鬼は今頃、疾風烈火の二人が助けてるだろうから、四人がお前ら二人を助けに来るか見物だな。金で動くお前らのことだ、仲間たちはどうするか?しかし、あたいたちは決して屈しない。悪漢は退治してやるのさ!」

純月が阿越と話してる間に、阿能は綱を解きかけていた。
手首を縛っていた綱が解け、足の綱を解いた阿能は純月を後ろから羽交い締めにし、首に手をかける。

純月
「は、離せ!」

阿能
「越哥、この娘どうしてやりますか?」

阿越
「こ、殺すな!」

純月
「殺すならさっさと殺せ!」

阿能は自分を縛っていた綱で純月を縛ると、干してあった腰紐で猿轡をした。

阿能
「人質に連れて行きますか?」

綱が解けた阿越は純月を抱え庭から出た。

阿越(純月にこっそり)
「お前は殺さない。少しの辛抱だ、我慢しろ」

阿越
「阿能、お前は羽丹たちと話をつけてこい。そしたら阿晋と阿宝と例の家まで来い、いいな」

阿能
「その娘は?」

阿越
「とりあえず人質にする」

阿能は一人で疾風烈火の根城に向かい、阿越は前に使った空き家に純月を連れ去った。

店では、、、

無雲
「あの二人は鬼毒たちが助けに来るまで待つのか?」

青雷
「あれ、純月は?」

夢輝
「二人に水を飲ませに行くって裏庭に行ったのよ」

京虹
「一人で行かせたのか?」

昭卓
「大丈夫かな?見に行こう!」

みんなで裏庭に行くと、阿越と阿能の姿はなく地面の砂に字が書かれていた。

『あの二人と話をつけてくる。純月はひとまず預かる。心配するな、殺しはしない 鬼影』

青雷
「純月!」


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※作品内の画像・背景画像は作者様のもの(一部劇場のもの)です。お持ち帰りされる際は作者様に許可をお取り下さいませ(合掌)

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