江湖好漢録/武勇双侠
  作者: ミコ   2017年03月27日(月) 22時30分25秒公開   ジャンル:武侠
【PAGE 7/12】 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12]


第六部『攻防策略』

義兄弟の契りを交わした武勇双侠の二人と七彩仁幇、青雷たちはこれから更に襲い来る悪漢たちに屈しないため、策略を練り始めた。

無雲
「闇雲に戦っても到底勝てる相手じゃない。こちらから仕掛けるか、それとも来るのを待つのか?」

青雷
「四鬼邪班の師匠だった鬼丸は自分の技を四人に分け与えていた。鬼影は八極拳の使い手で得物は芙蓉金針、邪鬼は少林七星拳の使い手で得物は巨大数珠、疫鬼は少林通背拳の使い手で点穴を得意とし、鬼毒は太極拳の使い手で暗器も使う」

連飛
「奴らに本気で襲撃されたら、太刀打ちできないほどの相手だということだ」

徳明
「疾風烈火は鋼鎖団の残党なんだろ、と言うことはやはり鋼鎖団の誰かの技を引き継いでるのはないか?」

京虹
「そう言えば、父さんを襲った男に俺は鎖で首を絞められた」

青雷
「鉄鎖の使い手だった男がいたが、そいつが京虹の父親を襲ったのかもしれんな。鋼鎖団とは名の如く鎖が武器のひとつなのだ」

純月
「鬼影は剣も使うよ。京哥とは違う剣法で腕も相当だった」

青雷
「純月、お前も剣は使えるだろ?お前の体にはわしの内力がある。辱めを受けたお返しにお前のその双剣でぶった斬ってやれ!」

純月
「内力をもらっても奴に勝つのは無理だよ。そう言えばあいつと手合わせしたときに躊躇いがあるって言われたんだ」

京虹
「あの野郎、そんなこと言ったのか?」

純月
「もっと強くなりたいよ」

美琳
「人数では勝ってるけどこちらは女性もいるし、本当に連中が襲ってきたらどうするの?」

青雷
「お嬢さまはわしが守りますし、他の女性もそれぞれが守らねば」

美琳
「七彩仁幇の男性は全員戦えるの?」

永偉
「これまでの奴らのことを聞く限りでは、おれは自分の身を守るのが精一杯かもしれないな」

徳明
「私たちは殺し屋ではないからね」

夢輝
「七彩仁幇は殺しをしないのが鉄則なの」

無雲
「しかし、奴らに勝つためにはそうも言ってられなくなるな」

詩音
「でも殺さずに奴らに勝てる方法なんてあるかしら」

青雷
「連飛さんは人を殺めたことはあるだろ?」

連飛
「できればしたくはなかったが、そうしなければならない相手もいたからな」

欣強
「おいらは殺しはやったことないよ。阿京は?」

京虹
「まだないが、両親の仇のためならやれる!」

純月
「あたいもやつは赦せない!でも殺さずに懲らしめられればそうしたいけど」

京虹
「純月、情けはかけるな!まさか、あいつに本気で惚れてたのか?」

純月
「違うよ!死ぬよりももっと辛い目に合わせてやりたいだけだ!」

青雷
「確かに死んでしまえば終わりだ。死ぬより辛い目に合わせるってのも面白いが、そんな方法があるのか?」

美琳
「その四鬼邪班の連中は女好きのようだわね。だったら留めは連飛たち侠客の腕に任せて、その前にワタシたち女性は純月さんの言うとおり、死ぬよりも辛い思いをさせてやるのはどう?」

夢輝
「美琳さんったら見た目と違って大胆なことを言うのね」

青雷
「きっと総帥の血を引かれたのだと思います。卑劣な連中にはその倍以上で返すというのが総帥の鉄則でしたから」

美琳
「さっきから気になっていたんだけど、詩音さんのお召し物とっても素敵ね」

詩音
「これは祝儀の席で紅蝶楼の伎女の秀華さんに、絵を描いたお礼にって戴いたんです」

美琳
「伎女?良いことを思いついたわ。紅蝶楼で女好きの四人を罠に嵌めるのはどう?皆さんが受けた卑劣なことの二倍以上のね」

永偉
「紅蝶楼は俺の店のお得意さんだから、協力を頼むなら女将に話してみるけど」

純月
「そうだ!場所だけ借りてあたいたちが伎女に扮して、報仇するのはどうかな?」

夢輝
「伎女か、いいわね。でもどうやって紅蝶楼に来させるの?」

蘭花
「女好きを遊郭に来させるなんて簡単よ」

純月
「いい夢見させたあとで罠に嵌めて、そのあとは連哥たちに始末してもらうってことだね。なんだか想像するだけでワクワクしてきたよ」

青雷
「まずは奴らの居処を掴み、先を越されないように手はずせんとな」

純月
「あたいが行ったあの家はホントに奴の家かな?」

京虹
「俺がもう一度行って様子を見てくるよ」

無雲
「按摩に行った家は借りてると言ってたから奴の家ではないだろう」

欣強
「おいらは他の三人の居処を探ってくるよ」

永偉
「おれは紅蝶楼に話をつけてくる」

青雷
「わしは疾風烈火の情報集めだ」

美琳
「ワタシたちは奴らを懲らしめる策略を練っておくわ」

京虹は純月が襲われた家へ行き、木戸から覗いてみるが誰もいない。
路地の外へ戻り角の履き物屋の主人に尋ねてみるが、そこはしばらく空き家で人は住んでいないと言われてしまった。

町に出た欣強は、この間情報をくれた酒屋の阿六のところへ向かった。

欣強
「この間は情報ありがとよ」

阿六
「あっこの間の兄さん、今日はなんだい?」

欣強
「兄さんはこの町じゃ生き字引って言われてるんだろ?ちょっと聞きたいことがある。四鬼邪班と呼ばれる悪党のことで知ってることがあったら、この豚まんで教えてくれよ」

阿六
「俺の好物じゃん!どんなことだ?」

欣強
「溜まり場とか根城とか、なんでもいいさ」

阿六
「阿越と阿能はこの店にもよく来るよ。三日に一度は来るほどの酒好きだ」

欣強
「一緒に来るのか?」

阿六
「奴らが四人一緒にいるとこは滅多に見ないけど、一度だけこの先の寂れた呑み屋で四人一緒のところを見たところがある。破れた提灯がぶら下がった呑み屋だよ」

欣強
「ありがとな!」

欣強は阿六が教えてくれた呑み屋へ足を運んだ。
すると外の長椅子に細身で面長の男と、小柄で目の細い男が酒を呑んでいた。
欣強は二人の似顔絵をささっと描くとその場を立ち去った。

疾風烈火のことを調べに出た青雷は、町の質屋に寄ってみた。

青雷
「最近、宝石をたくさん質入れした客はいなかったか?」

質屋
「お客さんの情報はお教えできません」

青雷
「わしのことを覚えてないか?」

質屋
「こ、これは青雷の旦那じゃないですか!町へはいつ?」

青雷
「あのときのことを忘れてなかったら、教えてくれよ」

二年ほど前、総帥と町に来た青雷は質屋強盗に出くわし、襲われていた質屋の主人を救ったのだった。

質屋
「忘れちゃいませんよ。あの時、助けてもらってなかったら私はとっくにあの世行きでしたから。それなら三日ほど前に風呂敷包み一杯の宝石を持ってきた男がいましたよ」

青雷は欣強が描いた似顔絵を見せた。

青雷
「この男じゃないか?」

質屋
「長髪で長身の厳つい男でした、そうそうこの人ですよ。あんなたくさんの宝石を質入れなんて怪しいと思って様子を窺っていたら、その先の路地を曲がっていきましたよ」

青雷
「ありがとな」

青雷は質屋が教えてくれた路地を曲がると突き当たりに古びた祠が建っていた。
そっと近づき裏に回り木戸の隙間から中を覗くが、誰もいなかった。
だが、先ほどまで人がいた気配があり柱には法衣と易者と漢方医の服が吊してあった。

一方、酔酒憩廠の裏庭では、、、

連飛
「どうだった?奴はいたか?」

京虹
「あそこは空き家であの時だけ使ってただけのようだ」

無雲
「きっと欣強が掴んできてくれるさ」

京虹
「あぁ」

連飛
「無雲はどんな門派の技でもできるんだな」

無雲
「俺は幼い頃から生まれ育った山で、あらゆる達人の教えを受けてきたんだよ」

連飛
「兄弟、お前の腕も見せてくれ」

京虹
「よし!」

京虹は竹筒から剣を抜くと、剣指で構え剣裁きを見せる。
力強くしなやかさもあり、的確な動きだ。

連飛
「動きに無駄がなく速さもあって、なかなかだな。独学とは思えないほどだ」

京虹
「二年間、山でひたすら剣を振ってたからね。無雲のその笛も得物なんだろ?」

無雲
「このままでも殴れるし、吹き矢を仕込むこともできるのさ」

連飛
「昭卓さんの武術も相当だ」

昭卓
「捕吏をしてたときに拳法を学んだからね。基本は迷踪拳だ」

京虹
「その麺打ち棒も得物として使えるな」

徳明
「俺はこの琵琶のバチだ」

京虹
「接近法で首筋をすぱっといけるね」

そこへ永偉が戻ってきた。

永偉
「女将に話をつけてきたよ」

京虹
「永偉の得物はなんだい?」

永偉
「おれはこの簪さ」

連飛
「これも接近法でブスッといけるな」

一方女性たちは、、、

美琳
「相手をするのはそれぞれ襲われた奴でいいわよね」

蘭花
「声や仕草でバレないかしら?」

美琳
「お化粧をばっちりして、髪型を変えれば大丈夫。ワタシに任せて」

夢輝
「でも二人きりになったら、まずくない?その気にさせてそれだけってわけにも行かないわよ」

美琳
「まずは酒を呑ませて仄めかせ、女が男を誘う手管を使って。その点は巧くやるのよ」

詩音
「自信ないわ。それにその気になってくれなかったらどうするの?」

美琳
「奴らが遊郭に来る目的はひとつ。そのために来るのだからなにもせずに帰るってことはないわ」

蘭花
「阿能って男は大柄だし、もし押し倒されたら抵抗できないわ。ホントにやられちゃったら亭主に申し訳が立たないわ」

夢輝
「阿宝は小柄だけど、また点穴されたら身動きがとれなくなるわ」

詩音
「阿晋は細身だけど、やっぱり男だから押さえつけたら無理!」

純月
「あいつは変な趣があって、首を絞めてきたんだ。京哥に聞いたらそんな男もいるって言ってたけどホント?」

夢輝
「えっ?首を絞められたの?」

蘭花
「いつ?」

純月
「いつって、、、あ、あのときだよ」

詩音
「あのときって?」

夢輝
「純月、もしかしてやられちゃったの?」

純月
「やられてないよ!押し倒されたときに首を絞めながらいいだろって。それだけだよ」

美琳
「きっとそいつは女性を服従させたい気質なのよ」

夢輝
「でも、純月は一番気の毒よね。だってワタシたちとはやり方が違うもの」

蘭花
「そうね。女の弱みにつけ込んでるわ」

純月
「あたいが馬鹿だったんだから仕方ないよ」

美琳
「好みの男に誘われて優しくされたら悪い気はしないもの」

夢輝
「それに純月には決まった人もいないわけだから」

純月
「あたいを前から知ってるとか言って。確かに好みの男だったけど、でもあれは金のためにしたことだったんだ。今はもう恨みしかないよ!美琳さん、なんとしてでも仕返ししたいよ」

美琳
「眠り薬を用意するからいざという時は酒に入れて飲ませればいいわ」

夢輝
「ワタシたちもいざというときのための防御法を教えてもらいに行きましょうよ」

連飛
「策略は錬れたか?」

美琳
「まず、眠り薬を用意しないと」

夢輝
「ワタシたちにも技を教えてよ」

と、そこへ欣強と青雷が戻ってきた。

欣強
「なぁ、この似顔絵の男たちが襲ってきた奴らか?」

詩音
「どれどれ?この男、薬草売りの阿晋だわ」

夢輝
「こっちのは按摩師の阿宝にそっくり!」

欣強
「小川の先にある寂れた飲み屋にいたよ。そこがこいつらの溜まり場さ」

青雷
「疾風烈火の根城は質屋の先の古びた祠だ。変装用の服が吊るしてあったから間違いない」

蘭花
「居場所は分かったけど、遊郭にはどうやって誘うの?」

美琳
「顔を知られていないワタシが、伎女に扮してその飲み屋まで誘いに行ってみるわ」

青雷
「お嬢さま、それは危険すぎます」

美琳
「いくら女好きだからといって、そこで押し倒すようなことはないわよ」

夢輝
「なにか尤もらしい理由を作って誘うのはどうかしら?」

純月
「それはいいね!宴があるって招けばいいよ。奴らなら伎女の誘いを断るようなことはないさ」

永偉
「それは女将に頼んでみる。きっと女将のことも知ってるだろうから信用して来るさ。」

京虹
「遊郭に来るのにも得物を持ってくるかな?」

青雷
「奴らはいつ何時も油断はしないだろうからな。それぞれの部屋に一人ずつ男性を忍ばせておくのはどうだ?」

美琳
「まず偽の誕生日の宴を開いて場を盛り上げたら、そのあと一人ずつ部屋に誘って罠に嵌める。忍んでいる男性はいざという時まで隠れてる。そんな感じね」

連飛
「それでは誰がどの部屋に隠れるか?」

昭卓
「わたしはもちろん蘭花の部屋だ」

無雲
「俺は夢輝の部屋だ」

徳明
「俺は詩音の部屋だ」

純月
「いいな、みんなには情人がいて」

京虹
「あの時すぐに声をかけなかった俺にも責任がある。純月の部屋には俺が」

青雷
「それで、女性が仕掛ける罠は決まったのか?」

美琳
「それはあとでのお楽しみ!男にとって最も屈辱的なことよ」

永偉
「女将には昼から貸してもらえるよう話してきたから、誕生会の準備をして奴らを誘ってきてもらって開始だな!」

翌日、美琳たちは料理を作り偽誕生日会の準備を始めていた。
紅蝶楼の女将には、招待状を届けに行ってもらう手はずも整えた。

早速、欣強の案内で寂れた呑み屋に行ってみると、今日は阿宝と阿能が飯を食っていた。
欣強は角に隠れ、様子を窺っている。

女将
「ちょっと失礼します。私は紅蝶楼の女将ですが、覚えておいでで?」

阿能
「あー覚えてるよ。朝っぱらからこんなとこまでなんの用だ?」

女将
「実は今日、人気伎女である美華の誕生日の宴を開くのですが、是非、兄さんたちをお招きしたいと申しておりまして。こちらが招待状です」

阿能
「俺ら四人を招待してくれるのか?」

女将
「ええ。いらしていただけますか?」

阿能
「わかった。必ず行くよ」

女将
「有難うございます。ではお待ち申しておりますよ!」

二人が去るのを見て女将は欣強と酔酒憩廠へ戻ることにした。

阿宝
「紅蝶楼の人気伎女が俺らを招いてくれるなんて、すごいな」

阿能たちは呑み屋の先の祠堂にいる二人に、招待状を見せに行った。

阿越
「伎女に誘われるなんて俺らも大したもんだな」

阿晋
「二人との約束は夕刻だったな。それまでに戻ればいいか」

阿能
「誕生日の宴の方が大事だ」

阿宝
「普通ならこちらから金を払って行くところに、あちらから招待してくれるんだから」

阿晋
「そうだな。俺たちは元々、あいつらに恨みもないし」

阿能
「師匠が殺されたのも自業自得って言えばそれもそうだし」

阿越
「そういうことだ。贈り物に花でも持って行けば、美味しい思いができるってことだ」

阿能
「じゃあ、一張羅でも着て花を買って出かけるか!」

その頃、疾風烈火の二人は得物の鎖を磨きをかけていた。

兆軍
「奴らを信用して大丈夫ですかね?」

羽丹
「金は渡すと言ってある。大丈夫さ」

兆軍
「前金を少し渡しておいた方がよかったんじゃ?」

羽丹
「渡して逃げられても困る。絶対に来るさ」

酔酒憩廠では、、、

連飛
「これですべて準備万端。あとは奴ら四人が来るのを待つだけだ!」


⇒Next Page
※作品内の画像・背景画像は作者様のもの(一部劇場のもの)です。お持ち帰りされる際は作者様に許可をお取り下さいませ(合掌)

*一覧に戻る   *感想を見る   *削除・編集

COPYRIGHT (C) Jet Li Fansite 天照庵