『少林学園 武侠兄弟』其の七〜学園存続の危機!?それぞれの旅立ち 後編
  作者: ミコ&hiyoko   2017年02月26日(日) 23時25分18秒公開   ジャンル:総出演
【PAGE 4/4】 [1] [2] [3] [4]



第八章(最終章)by ミコ

ひょんなことからヒトミの家で居候することとなったスーは、キンゾウもヒトミも今日は留守なので、浴槽に湯を溜めバブルバスも入れてのんびり入浴することにした。

スー(独り言)
「ヒトミがいると裸で歩き回るなとか、あれこれうるさいから、今日は風呂から出たらパンツ一丁でビールでも飲むかっ!」

そう言ってスーは服を脱ぎ、バラの香りのバブルバスを浴槽に入れ湯に浸かった。
バブルバスがどんどん泡を立て始め、体が泡で見えないほどになってきた。
30分ほど泡風呂に浸かり気持ちよくなったスーは勢いよく浴槽から出ると、溢れ出していた泡で足を滑らせ転んでしまった。

急いで立ち上がろうとしたが、またもや足を滑らせ、浴槽の縁に頭をぶつけてしまった。
打ち所が悪く頭を切ってしまったスーは慌てて血をタオルで拭くが、体が暖まっていたせいで血が止まらない。

頭にタオルを巻き急いで服を着ると、救急箱にあった止血剤で血を止めようとしたが、一向に血が止まらずその場に倒れてしまった。

そこへ友人と買い物に行っていたヒトミが戻り、倒れていたスーを発見する。

ヒトミ
「兄さん、どうしたの?」

かすかな意識の中でスーはヒトミの腕の中で意識を失ってしまった。
とっさにレンマを思い出したヒトミがメールを送ると、レンマもちょうど近くにいることを伝え洪野家へ向かった。

ヒトミ
「レンマ、どうすればいいの?」

レンマ
「出血がひどい、早く救急車だ!」

すぐに救急車を呼びスーは病院に運ばれた。

医師
「この方の血液型はご存じですか?」

ヒトミ
「いいえ、すぐに調べてください」

スーの血液型を調べるとAB型マイナスで、看護士がすぐに輸血庫を調べるがこの病院には在庫がない。

医師
「血縁の方ですか?」

ヒトミ
「妹ですが、ワタシたちは義兄妹なんです」

医師
「そちらの男性は?」

レンマ
「どうしたんですか」

医師
「AB型マイナスの血液が必要なんです」

レンマ
「僕もAB型ですので調べてください」

すぐにレンマの血液型を調べると、幸いにもAB型のマイナスであることが判明した。

ヒトミ
「お願いレンマ、兄さんを助けて!」

ベッドで横になったレンマの腕から血が抜かれていき、横のベッドのスーの腕に流れていく。

輸血が終わり医師の「もう大丈夫ですよ」という言葉に安心したヒトミはレンマの顔を見ると急に泣き出した。

ヒトミ
「レンマ、ごめんなさい。あなたのためにと思ってしたことがすべて今回の原因になってたのね。あなたが一番大事に思うのは学園なのに、ホントにごめんなさい」

レンマ
「もういいんだ、涙を拭けよ。僕も素直じゃなかった、キミをだれよりも好きだから、言わなくてもわかってくれてると勝手に思っていたんだ」

程なくするとスーが目を覚ました。

スー
「俺、どうしたんだ?レンマ、ここでなにしてる?ってここ病院なのか?」

ヒトミ
「部屋で血だらけで倒れてたの。それですぐ病院に運んで輸血したのよ」

スー
「輸血?銃で撃たれてもしたことなかったのに、風呂で転んで輸血って俺、なにやってんだ!」

レンマ
「もう大丈夫そうだな」

スー
「誰の血だ?俺、ABのマイナスなんだぞ」

レンマ
「運がいいのか悪いのか、僕も同じ血液型だったんだ」

スー
「これでもうお前には悪態はつけないな」

ヒトミ
「兄さん、落ち着いたら退院できるそうよ、縫合したからもう少し横になっててね。レンマ、二人で学園に行きましょう」

スー
「あぁ」

レンマ
「あぁ。そうだ、ヒトミ。来月の卒業式イベントで武侠ドラマをやることに決まったんだ。あっちでの契約式が済んだら、一度戻ってきてくれ。今、台本をおばちゃんたちが書いてくれてるから、キミが戻り次第、練習を始めようと思ってる」

ヒトミ
「わかったわ。それとあっちでの契約式が済んでも、ずっとこっちにいることにしたの。父さんはメイドを雇うって言ってるし、マンチェクに頼んでマンションも探してもらったの。明日にでもそのお部屋を一緒に見に行って欲しいの」

レンマ
「本当か?」

ヒトミ
「なんならレンマも荷物持って来て一緒に暮らす?」

レンマ
「それは駄目だ。学生生活が終わったからと言ってそういうのはよくない」

ヒトミ
「もう、冗談よ。レンマはホント真面目ね」

その頃、マンチェクは空港まで法海と無忌の出迎えを終え、ミヤコが作った料理を学園の禅堂で食べていた。

法海
「無忌、ひかりさんのお父さまのところへ挨拶に行かんとな」

無忌
「はい。さっきメールでひかりさんとは話をしまして、明日お寺の方へ行く約束をいたしました」

法海
「マンチェク、お前も行くかね?」

マンチェク
「いいえ。明日は野暮用があってご一緒できません。申し訳ありません」

翌日、法海と無忌は中国土産を手にひかりの実家である吉真寺に足を運んだ。

ひかり
「法海和尚、無忌くんお帰りなさい。お待ちしておりました」

法海
「お母さま、これはつまらない物ですが、私の寺で作っている金山寺の刻印入りの月餅です」

ゆかり(ひかり母)
「有り難く頂戴いたします。早速本堂の仏殿に」

四人はひかりの父、真の待つ本堂へ向かった。


「法海和尚、無忌くんお帰り」

法海
「早速ですが、これからのお話を始めましょうか」


「式の日取りですが、ちょうど来月の娘の誕生日が吉日なので、いかがでしょう?」

法海
「わかりました。それで私からもひとつお願いがございます。式を終えてもここでのお勤めの前に、無忌には学園で一年間仏法講師の道を歩ませたいと思っております。
と申しますのは、本家の寺に戻らなくてはならなくなりまして、私の後任に無忌を就かせたいと考えております」


「では、結婚しても別居と言うことですか?」

無忌
「いいえ、そうではありません、お父さま。婿入りはいたしますし、ひかりさんとの生活もここで二人で、学園にはこのお寺から通うということです」

ひかり
「お父さん、それまでもう少し頑張って。無忌さんには学園での修行が終わったらそのあとでここに来てもらうから。お願いします」


「わかった。そういうことならわしももうちょっと頑張るよ」

話がまとまった五人は食事を済ませると、あちらから持ち帰った無忌の戸籍謄本などを真に渡し別れた。

同じ時間、マンチェクはみにとの約束を果たすため、アンディから借りた車の前でみにを待っていた。

みに
「おはようマンチェクくん、素敵な車ね。マンチェクくんの?」

マンチェク
「はいって言いたいところだけど、アンディに借りたんです」

みに
「マンチェクくんが運転してくれるの?」

マンチェク
「えぇ、誘ったのは俺の方だから」

一時間ほど車を走らせ箱根に着いた二人は、先ずマンチェクが来たかった禅寺に向かうことにした。

みに
「ここが済んだら行きたいところがあるの、いいかしら?」

マンチェク
「もちろんです。どこですか?」

みに
「美術講師の紫苑さんがお薦めの美術館よ」

美術館に着き中へ入るが誰もおらず、閑散とした薄暗い部屋には数枚の絵が飾られていた。

マンチェク
「こ、これって全部ヌード作品ですね」

みに
「ホントね」

マンチェク
「紫苑先生もあんなにおとなしそうだけど、好きな作品は大胆ですね。さすが、芸術家だ」

みに
「?、そうね」

一通り、作品を観た二人が外に出て、上の看板を見ると、、、

みに
「名前が違うわ!」

と振り返ると、木の陰にもう一軒美術館があった。

みに
「ここだったわ」

中に入るとそこには一面に花の絵がたくさん飾られていた。

マンチェク
「ヤバい。大胆だなんて言っちゃったよ」

みに
「ねぇ、見て。紫苑さんの絵があるわ」

二人が観た絵は、二月の花、梅が描かれた作品だった。

昼も過ぎ、美術館脇のイタリアンレストランで食事をしたあと、少し車で山道を登ってみることにした。

みに
「今度はわたしが運転するわ」

くねくねした坂道を一時間ほど登ったころだろうか、車が急にノッキングを始めた。

マンチェク
「どうしました?」

みに
「なんか、ブレーキが思うように効かないのよ」

とりあえず車を横道に停め、ボンネットを開けると、白い煙が立っている。

マンチェクがブレーキオイルを確認すると、空っぽになっている。

みに
「もしかしたらブレーキペダルを踏みすぎたのかも」

マンチェク
「JAF呼びますか?」

すぐにスタッフが来てくれチェックしたが、ブレーキオイルを補充しただけでは直らないと言われ、スタッフの乗ってきた車で駅の近くまで送ってもらうことにした。

スタッフ
「夕方には直りますので、また取りに行らしてください」

修理が終わるまでの間、駅前の土産店ロードで時間を潰すことにした。
歩き出したみには『日帰り温泉』の幟を目にした。

みに
「マンチェクくん、せっかく箱根に来たんだから温泉入っていこうよ」

一軒の旅館に着いた二人が日帰り温泉を申し込むとそこのフロント員が話しかけてきた。

フロント員
「さっき、アクションスターが来たのよ」

とそこヘマンチェクのスマホにした電話がかかってきた。

マンチェク
「さっきのスタッフが、夜までかかるって言ってきました、どうしましょう?」

みに
「女将さん、二部屋空いてます?」

フロント員
「えーっと、申し訳ありません。ご用意できるのは一部屋ですね」

マンチェク
「泊まっていくの?」

みに
「アクションスターって女将さんも知ってる人?」

フロント員
「えっとーなんだっけ?孫悟空やった人で、、ド、ドミ」

みに
「もしかしたらドミー・ニェン?」

フロント員
「そうそう!」

みにはマンチェクの手を引っ掴み、、、

みに
「その一部屋お願いします」

マンチェク
「えっ?」

フロント員
「広めのお部屋ですから、お友達同士でも大丈夫ですよ。余裕がありますのでね、はい(ニヤッ)」

みに
「ダメ?」

マンチェク
「ダメではないです、、」

二人は案内された部屋に入り、先ずは温泉に向かい、そのあとで夕食を済ませた。

みに
「お湯も良かったし、食事も美味しかったし、あとはなにする?」

マンチェク
「なにするって、、、」

みに
「取って食べたりしないわよ」

マンチェク
「そうではなくて、あー、ゲームとかどうかな?」

二人は別館にあるゲーム場へ足を運んだ。

みに
「ドミーはどこにいるのかしらね?」

マンチェク
「部屋でくつろいでるんじゃないのかな」

と、二人がゲーム場の入り口の柱まで来ると、奥の方から「コツン、コーン」という音が聞こえてきた。

マンチェク
「誰かが卓球してますね」

みに
「ドミーだったりして」

するとピンポン球が物凄い勢いで飛んできた。

マンチェクが球を拾い上げると、そこには浴衣の裾を捲り上げ鉢巻き姿のドミー・ニェンが立っていた。
 


ドミー
「謝謝」

マンチェク
「不客氣(どういたしまして)」


ドミー
「何在一起嗎?(一緒にどうだい?)」

マンチェク
「彼が一緒にどうって言ってくれてるけど、どうする?」



みに
「わたし、学生時代卓球部のエースだった
卓球台の方へ行くと、そこにはもう一人の男性がいた。

みに
「タナケンさんですよね?」

タナケン
「ええ。ドミーが来日したときは案内と通訳係なんですよ」

四人はダブルスでの卓球試合を始め、そのあとでみにたちが勝ったのでドミーの奢りでバーで酒を酌み交わした。

ドミー
「這個女人是的妻子嗎?(彼女は君の奥さんかい?)」

マンチェク
「不、情人的(いいえ、恋人です)」

ドミーたちにサインをもらったみにたちが部屋へ戻り襖を開けると、座敷の中央に布団が一組敷かれており、ぴったりと寄り添うように枕が二つ並んでいた。

マンチェク
「あのフロント員ったら余裕がありますよだなんて言っておいて、布団が一組ってどういうことだよ」

みに
「夫婦だと思ったんじゃないかしら」

マンチェク
「俺は畳で寝るから、みにさんは布団で」

みに
「きっともう一組あるわよ」

みにが押し入れを開けるが、布団はなかった。

マンチェクがフロントに電話をするが、満室の上に団体客が来ていて、余分な布団もないと言われてしまった。

みに
「畳じゃやっぱり風邪引くわ。毛布だけでもかけて」

マンチェク
「あぁ、大丈夫だよ」

みに
「ねぇ、この間マンチェクくんがどうして誘ったのか聞いたでしょ?レンマくんがどうとかこうとか?はっきり言うわね。キライな男性とドライブに来るほどわたしも軽くないし、ちゃんと考えた上でこうしてるの!だ、、」

マンチェク
「もうそれ以上は、あとは俺が言うから!みにさん、恋人としてお付き合いしてください!」

みに
「もう、真面目な人は言うこともストレートね。こちらこそ、宜しく!でも年上だけどいいの?」

マンチェク
「みにさんは?」

みに
「フフっ。じゃあ、一緒に布団で寝ましょ」

マンチェク
「まだダメです!」

みに
「冗談よ。あぁ、寝るのは本当だけど寝るだけよ!」

マンチェク
「そう言うことなら。あーーーーっと、今後のことを考えてそれは改めて次と言うことで」

みに
「はい。冷えてきたし、寝ましょう!」

翌朝、修理された車を受け取り都内へ戻った二人は、アンディの家へ寄り車を返した。

アンディ
「どうだった?」

マンチェク
「あーーーーっと。車が故障しちゃってさ。でも修理したから!」

アンディ
「う、うん。マンチェク、なにをあたふたしてる?」

みに
「そうそう!紫苑さんお薦めの美術館へ行ったのよ」

アンディ
「紫苑先生の?」

みに
「アンディくんも絵がお好きなら今度行ってみるといいわ」

マンチェク
「じゃあな。あっこれ、美術館で買ったお土産だ」

アンディが包みを開けると、そこにはヌードの男女が絡み合ったフィギュアが入っていた。

アンディは早速、紫苑に美術館のことを尋ねようと学園の美術室へ行くと、紫苑がキャンパスに向かい筆を動かしていた。

アンディ
「先生!」

紫苑
「アンディくん、ちょっと待って。そこからこっちに来ちゃだめよ。わたしがいいわよって言うまで後ろを向いてて」

10分ほどアンディがじっとしていると紫苑の「いいわよ」と云う声がした。
アンディが振り返ると、そこには似顔絵が描かれていた。

アンディ
「それってもしかしたら僕?」

紫苑
「卒業式に渡そうと思ったけど、アンディくんがいきなり来たから急いで描いたわ。わたしからの贈り物よ」

アンディ
「有難う!ねぇ、先生。先生とは学園祭の時には一緒に舞台にあがって、それからも趣味も合ってよく話したよね。来月、僕はあっちに行くんだ。先生とはもう会えないのかな?」

紫苑
「飛行機もあるし、メールもあるし、国際電話もあるわ。でもわたしちょっと古くさいけど手紙って好きなの。文通しない?」

アンディ
「うん、いいね。でもこっちに帰ったときは会ってくれる?」

紫苑
「もちろんよ!」

その頃、購買部裏の部屋ではミヤコとひかりが台本を書いていた。

ミヤコ
「無事にお話は済んだんでしょ?」

ひかり
「えぇ。あーそうだ、役所に行かないといけないんだったわ」

ミヤコ
「それならあたしも用事があるから。あっ、もしかして婚姻届?」

ひかり
「そうなんです」

ミヤコ
「あとでもらってきてあげるわよ」

区切りがいいところまで台本を書きあげたミヤコはひかりと別れ自転車で出かけようとすると、キョウマが自転車でやってきた。

キョウマ
「おばちゃん、お出かけ?」

おばちゃん
「えぇ、区役所までね」

キョウマ
「僕もその近くまで行くから一緒に行こうよ」 

ミヤコが少林区役所の前に自転車を停めると、キョウマも付き合うといい、中へ入ったミヤコは戸籍係の窓口へ向かった。

キョウマ
「なにをもらうの?」

おばちゃん
「婚姻届よ」

キョウマ
「パンさんとの?」

おばちゃん
「ひかりさんのよ!もう一通もらわなきゃいけない書類があるから待っててね」

ミヤコは新制度となる学園に提出する住民票の申請をした。

キョウマは興味深そうに記入台を見つめている。

キョウマ
「あのー。戸籍謄本って誰でももらえるんですか?」

係員
「ここに戸籍があってご本人さまならば、できますよ」

キョウマ
「うーん、はっきりしないけど」

係員
「戸籍上の正式なお名前をいただければお調べしますが。お待ちくださいね。、、、
ございましたが、発行されますか?」

キョウマが受け取った戸籍謄本を見ていると、ミヤコがやってきた。

おばちゃん
「なにかもらったの?」

キョウマ
「おばちゃん、これどうやって見るの?」

おばちゃん
「、、、、、、これってどういうこと?キョウマくん、説明するけど驚かずに聞いてね」

そこにはレンマの名もあり両親の記載があって、亡くなったことの記載もある。
ウミノシンの養子としてレンマとキョウマの名もある。

キョウマ
「この龐青雲って誰?師匠と養子縁組する前に養子縁組してることになってるよ」

おばちゃん
「それってパンさんのことよ」

キョウマ
「えっ?」

おばちゃん
「すぐ学園に戻りましょう」

学園に戻った二人がすぐさま用務員室へ向かうと、そこにはレンマもいた。

おばちゃん
「これ見てください」

パン
「戸籍謄本だな、誰のだ?」

キョウマ
「僕のだよ。兄さんも見てよ」

しばらくレンマは戸籍謄本を見つめている。

レンマ
「どうしてここにパンさんの名前が?」

パン
「とうとうこの日が来てしまったんだな」

そう言ってパンはすべてを語り始めた。

パン
「今から16年前、殉職した同志だった男の子供を養子として引き取った。男の妻も重い病を患っていて私に託したのだ。
そのあと部隊は解散になり私はキョウマを連れこの地に来た。しかし職にはなかなかあり就けずにいたが、ようやく学園に世話になることができた。
だが、用務員の給料では養えないと思い、師匠との養子縁組をさせたのだ」

ミヤコ
「レンマくんは知っていたの?」

レンマ
「僕も始めて知ったよ。戸籍謄本を見る機会なんてなかったからね」

キョウマ
「じゃあ、僕と兄さんは実の兄弟じゃないんだね」

パン
「確かに血の繋がりはない。だが君たち二人は天命とも言える縁があったと思ってる。
その理由は、レンマの父親の名はここにあるように天馬、そして亡くなった同志の名は昇馬だ。二人の名を見てみろ、天に昇る馬だ。共に息子の名に馬の字を付けていることが偶然でも縁があったということだろ」

レンマ
「僕は小さい頃病弱で、六歳まで治療のため施設にいた。そんなある日、弟が生まれていたことを知らされ、少林学園へ武術を習いに通い始めた。そのあと父が亡くなり母も亡くなり、キョウマと二人で学園の孤児院に入ったのは覚えてる。あれからずっとお前は僕の大切な弟だ、そしてこれからもな!」

キョウマ
「兄さん、有難う。これからも宜しく!」

パン
「いつか話そうと思っていた、すまん」

キョウマ
「僕の本当の父さんは立派な人だった?」

パン
「あぁもちろんだ。国のために戦った立派な男だったよ」

後ろですすり泣く声がした。

パン
「なぜ、お前が泣く?」

ミヤコ
「だっていい話なんですもん」

キョウマ
「兄さんとちっとも似てないと思ってたけどそのせいだったんだね。ハハ!」

レンマ
「どっちがいい男かな?ハハハ!」

ミヤコ
「いやだ、どっちもいい男よ!」

レンマ
「パンさん、さっきの話の続きだけど」

キョウマ
「なんの話?」

レンマ
「パンさんに武術講師になって欲しいと思って正式に頼みに来たんだ」

パン
「キョウマ!?」

キョウマ
「誓って言ってないよ」

レンマ
「なんのことだ?」

キョウマ
「僕が兄さんに助言したんじゃないかってことだよ」

パン
「誰に言われたからじゃない。パンさんにはそうして欲しかった。ユアンジャ学園長が誰か連れてきてもパンさんには頼もうと思ってたんだ。すぐに師匠のところへ一緒に行って欲しい」

レンマはパンとキョウマを連れ、学園長室へと向かった。

ミヤコは購買部へ行き、ひかりと一緒に書き終わった台本をコピーしようとしたが、うっかり用務員室に婚姻届を忘れてきてしまっていた。

ミヤコ
「すぐ持ってくるから待っててね」

封筒を手に購買部へ戻り、台本を職員室でコピーしひかりに婚姻届を渡した。

ひかり
「確かに二枚、有難うございました」

ミヤコ
「?二枚?」

ひかり
「どうかしました?」

ミヤコ
「ん、、なんでもないわ」

ひかりと別れたミヤコが用務員に戻ると、テーブルの上にミヤコ宛ての封等が置かれていた。
開けてみると中には婚姻届が一通と手紙が入っていた。

「京へ
あとはお前が署名するだけだ。気が向いたら出してきなさい。
青雲」

ミヤコ
「もう一通はどこに行ったかと思ったら、パンさんもなかなか憎いことするじゃないの!これで二段ベッドももう終わりってこと?」

終わり

来月はいよいよ卒業式イベント!
*作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。
※作品内の画像・背景画像は作者様のもの(一部劇場のもの)です。お持ち帰りされる際は作者様に許可をお取り下さいませ(合掌)

*一覧に戻る   *感想を見る   *削除・編集

COPYRIGHT (C) Jet Li Fansite 天照庵