『少林学園 武侠兄弟』其の参 外伝ーPolice Enjoy Life&消えた秘技書 前編
  作者: hiyoko&ミコ   2016年05月26日(木) 10時28分27秒公開   ジャンル:総出演
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第三章 by ミコ

署に戻ったスーは休憩室でレンマから借りた妓女の着物を羽織ってみる。

スー(独り言)
「なかなか似合ってたりして、、、化粧してこれで髪型が、、、
あー!カツラも借りてこなきゃだ」

リュウ
「???ブツブツ言いながらなにしてるんです?
それってイベントの衣装ですね。どこにそんなお誂え向きのがあったんですか?」

スー
「レンマに借りた劇用の衣装だよ。だがカツラも借りにもう一度行かなきゃだ」

そこへスーのスマホにメールが入った。

ミシェール(メール)
『どなたのアドレス?』

スー(メール)
『蘇黨恆だ』

ミシェール(メール)
『あなただったのね。それでなんの用?今夜なら空いてるけど、、、』

スー(メール)
『OK。19:00 駅前のBar 胡蝶蘭で待つ』

ミシェール(メール)
『了解』

正陽
「まったくぅ!僕に資料整理やらせてなにしてるんですかー!」

スー
「怒るな怒るな。遊んでたんじゃないぞ」

ふとミシェールからのメールで思いついたスーはもう一度メールを送る。

スー(メール)
『悪いが、妓女用のカツラを借りて来てくれ。レンマにはメールしておく。頼む』

スーはミシェールにカツラを預けるようレンマにもメールをしておいた。

→→→
数日前の学園長室・・・

ミヤコ
「あの時、ターフーくんを救うために闘ったのはあたしなの」

それを聞いたパンは黙って頷いただけだった。

ミヤコ
「驚かないのですか?」

パン
「背格好、仕草、いつも見ているからそんな気はした。でもあんなことができるはずがないと確信が持てなかっただけだ」

ミヤコ
「実は亡くなった母が師匠に預けた相関図とある秘技書が消えてしまったの」

ウミノシン
「実はミヤコはあの張三豊仙人の末裔なのだ」

パン
「えっ?でもあの方は生涯独身だったはずでは?」

ミヤコ
「三豊仙人は少林寺での修行のあと道士修行の旅に出て太極拳を編み出し、創始者としても世に知られているわ、、、」

ミヤコは父親を早くに亡くし女手ひとつで母に育てられていたが、その母も重い病に冒されていることを知り、学園に併設されていた少林孤児院にミヤコを預けることにしたのだった。

生涯独身で子供がいなかった張三豊は亡くなる寸前に取った弟子を養子としていた。
その18代後の曽祖父が日本人女性に婿入りし、その曾孫に当たるのがミヤコなのだ。

パン
「もしかして秘技書も君に関係があるものなのか?」

ウミノシン
「三豊仙人が少林寺で修行中に独自で編み出した動きを記した書で、寺で修行した記念に残したものらしい。その技こそがミヤコが使ったあの動きなのだ」

ミヤコ
「師匠が金蔵兄さんやミチル姉さんに武術指導をしている横で一緒にやってみたけど、まったく才能がなくて。でもミチル姉さんが棍を振る姿にとっても憧れていたわ」

ウミノシン
「ある日、庭掃除をしながら箒を振り回すこの子の姿を見てわしは驚いたのだ。その姿はまさに三豊仙人が残した秘技書と同じだったのだよ」

ミヤコ
「その時に師匠は絶対にその動きを人に見せてはけないと言って秘技書を見せてくれたんです」

パン
「では君は、見てもいないのに偶然にその動きをしたというのか?」

ウミノシン
「血の繋がりはなくとも、この子の物覚えの良さや偶然その動きができたのは、きっと三豊仙人からの導きがそうさせたとわしは思っているのだ」

ミヤコ
「これは絶対に誰も巻き込んではいけないことだから、一緒に探してほしいんです」

パンはその日から仕事が終わると、捜索をしていたのだった。

しかし、いつも明るく振る舞うミヤコの様子がおかしいことにキョウマは気付いていたのだった。

パンはあの時のコンビニへ行きその時の状況を近隣の住人に尋ね歩き、ある情報を得ることができた。

パン
「この辺りでは見かけない男性二人を見たという方に会えました。四十代後半で一人は眉毛がない丸坊主頭で、もう一人は易者のような帽子を被り薄化粧をしていたそうです」

ウミノシン
「まさか!」

パン
「心当たりがあるのですか?」

ウミノシン
「あぁ。わしの勘が正しければ少林寺を追放された男だ。一人は馬春兒(マー・チュンイー)で法名は雲春(ユンチュン)通称は禿鷹で、もう一人は劉柴建(ラウ・チャイジェン)で法名は雲建(ユンジェン)通称は偽道だ」

元々、窃盗団の一味だった禿鷹と偽道は首領を裏切り殺されかけ少林寺に逃げ込み修行をしていた僧だったが、二人は改心できず寺を追放され、泥棒稼業を続けていたのだった。

パン
「学園長はなぜ二人を知っているのです?」

ウミノシン
「十五年前、少林寺に滞在した時に二人は問題を起こし追放され、わしも会っておる。偶然その時にこの子の話をしたら秘技書も渡してくれたのだ」

パン
「二人は秘技書と相関図を盗むためにこの地へやってきたのでしょうか?」

ウミノシン
「方丈の話では、修行中もいつも二人は金儲けの話ばかり考えていたそうだ。追放された理由も仏像を盗み出そうとしたのが原因だ」

ミヤコ
「秘技書を古物商に売る気ですね」

ウミノシン
「本来の少林拳は許された者しか学べない。
そんなものが残されていたことを知れば、欲しい者はいくらでもいるだろう」

パン
「でも秘技書があることはどこで知ったのでしょう?」

ウミノシン
「ミヤコがあの技を人前で使ったと知った時、なにか悪いことが起きなければと考えながら少林寺に連絡をしたら、一ヶ月前に不審な侵入者があり僧が襲われた。その前にも窃盗事件が相次いで起きていてらしいのだ」

パン
「きっとそれも二人の仕業でしょう」

ウミノシン
「またも少林寺で失敗した二人は寺と縁のあるこの学園にやってきて、偶然あそこであの技を見て目星をつけたのだろう」

パン
「技は見て盗み、現物は売って金にするということですね」

ウミノシン
「心配になったわしはずっとしまっておいた秘技書を書庫の宝庫から出して見ていたのだ」

パン
「それを二人に盗み見されてしまったのですね」

ウミノシン
「忘れていた物なのに、、、見なければこんなことには」

ミヤコ
「でもそうさせてしまったのはあたしのせいです」

パン
「才能はなく武術は身につかなかったが、あの技だけは体に刻まれていたということですね」

ミヤコ
「師匠に禁じられてからずっと守ってきたけど、あの時はどうしても使わずにいられなかった」

パン
「そのことは誰にも責めることはできない。事実、私もあの場にいたのにターフーくんを救う掃除婦の君に任せてしまったのだからな」

ウミノシン
「二人が物を手に入れただけで諦めてくれてばいいが、そうでなければ」

ミヤコが師匠から特徴を聞き似顔絵を描くと、パンは二人が滞在しそうな場所や、立ち寄りそうな店を調べることにした。

パン
「君は学園から一歩も出てはいけないぞ。侵入者や訪問者は守衛に言って厳重にしないとですね」

ミヤコ
「それじゃ、買い物にも行けないわ」

ウミノシン
「買い物は女性の仕事だな、、、そうだ、ミチルに頼もう。彼女なら安心だ」

ミヤコ
「あたしまで盗まないと思いますが」

ウミノシン
「お前はたった一人残されている末裔なんだぞ。お前にも値打ちがあるだろ!」

ミヤコ
「あたしも売られるということですか?」

パン
「そうではない。向こうに連れて帰れば、君自身も宝のように扱われるだろ。ことが片付くまで守衛も増やしたほうがいいのでは?」

ウミノシン
「二人は変装の名人だ、十分に注意しないとならんな。見回りはしばらく無忌とマンチェクにも頼むとしよう」

その日から夕方の買い物はミチルが、今の守衛に加え無忌とマンチェクも見回りに当たることになった。

しかし、どこへも漏らさないつもりだったこの話も、あるところから天廩署捜査課きっての地獄耳男が嗅ぎつけていた。

今日に戻る・・・

その夜、スーはいつもよりめかし込んで、Barへ向かった。

隣の花屋で黄色いゼラニウムとピンクのガーベラを買いBarに入ると、カウンター席の一番端に座りタバコを咥えた。
ジャケットのポケットからライターを探していると、脇からジッポーライターの音がした。

ミシェール
「銘柄変わってないのね。このライター覚えてる?」

スー
「それって、7年前、、、キミが持ってたのか?」

ミシェール
「そう、アタシが結婚する前にあなたに最後に会った時に忘れていったのよ」

スー
「忘れたことに気づき店に戻ったが、なかったんだ」

ミシェール
「アタシが持ってたの」

スー
「2年前に向こうで会った時に渡さなかったのはなぜだ?」

ミシェール
「もしもう一度、二人きりで会えたら返そうと思ってたの」

スー
「別れたんだってな」

ミシェール
「いい人だと思ったけど、つまらない男だったわ。
自分の事は棚に上げて体裁ばかりを気にして、人の顔色を伺ってたわ。それでいて見栄っ張りで女々しい男よ」

スー
「おいおい、いいとこひとつもなしか?まぁ俺も確かに向こうで会った時はどうしてこんなのって思ったけどな」

ミシェール
「でもそんな箸にも棒にも引っかからないような男に浮気されるなんて、アタシもバカにされたもんよね」

スー
「そうだけど、そのお陰でまたこうして一緒に酒が飲めたんだから。俺としてみりゃその旦那に感謝だな」

ミシェール
「ねぇ、その花アタシにくれるの?」

スー
「おっと忘れるとこだった。ほらっ」

ミシェール
「ゼラニウムとガーベラでしょ、綺麗ね。あー学園に来たのね」

スー
「あの時コンビニで話そうと思ったが、みんないたし、そんな状況でもなかったしな」

ミシェール
「アタシも学園で働いていれば、また機会はあると期待はしてたわ」

スー
「そうは言っても事件もないのにそうそう学園には行けないし。でもたまたまレンマに劇用の衣装を借りに行ったんだ」

ミシェール
「アタシも期待してるなら思い切ってと思ったけど、事件もないのに警察へは行きづらかったから。有難う」

スー
「礼なんて言うな。そうだ、どこに住んでるんだ?」

ミシェール
「学園裏のアパートよ。来てすぐは宿直室をお借りしてたんだけど、秘宝事件の後に引っ越したの」

スー
「あの学園はいいな。昨日購買部で昼飯を買ったが、コンビニの弁当なんかよりずっと美味かったよ」

ミシェール
「ミヤコは料理上手だから。栄養面もきちんと考えて、買い物も一円でも安いスーパーに行って買うの。妹分で幼なじみなのよ」

スー
「キミも来てそうそうにあの事件だったってわけか。今年に入ってもう二回も起きてる。そして一ヶ月も経たないうちにまたなんか面倒なことが起きてるらしいな?」

ミシェール
「なんのこと?」

スー
「隠してもダメー!署bPの地獄耳男であるローグさまが嗅ぎつけてるんだから」

ミシェール
「これはミヤコの個人的な問題で彼女も相当気にしてるから、大ごとになったら学園から去る覚悟もしてるわ。だから刑事事件にはせず生徒も巻き込まないって約束でアタシも協力してるの」

スー
「わかった。だがもしもの時はこっそり連絡しろよ」

ミシェール
「アタシも向こうで燻ってるより、好きな音楽を教えながら武術に携われてホントに良かったわ。それになによりまたあなたに会えたしね」

スー
「人はよく自分にないものに憧れると言うが、結婚は別だな」

ミシェール
「女性なのに武術をやってきたことで強く見られてたから、物静かでおっとりしてた亭主が良く見えたけど、お酒も飲めない男で恋愛映画が好きなような男と釣り合うはずないわね」

スー
「今の俺の気持ちはその花だ。ゆっくり考えてくれ」

ミシェール
「わかったわ。明日も学校だからあと一杯飲んだら帰るわ」

二人は一杯ずつオーダーしたカクテルを飲み店を出た。

ミシェール
「おやすみなさい。あーこれ、カツラなんてなにに使うの?」

スー
「署のイベントで着なきゃならないんだ」

ミシェール
「劇用の衣装やカツラを使うイベントってなんなの?」

スー
「俺さまの晴れ姿を見に来てくれよ。猥褻犯罪防止のための女装大会のパレードがあるからさ」


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