『少林学園 武侠兄弟』其の弐~消えた袈裟と数珠 中編
  作者: ミコ&hiyoko   2016年04月30日(土) 21時20分51秒公開   ジャンル:総出演
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第六章 by ミコ

金色の実を食べすっかり元の体に戻ったキョウマは、レンマと共に怪我を負ったウミノシンの様子を見に行った。

キョウマ
「師匠、もう一度天宝寺と闘わせてください」

ウミノシン
「お前の気持ちは解るが、もう一度やってお前が勝っても事件は解決せんのだぞ」

キョウマ
「では師匠はこんな目に遭わされて悔しくないんですか?」

ウミノシン
「確かに彼は悪に手を染めてしまっているが、あれは正当なボクシング技でわしがそれに負けたのだから仕方のないことなのだ」

レンマ
「キョウマ、お前の仇は私が討つ」

キョウマ
「なんで兄さんなんだよ。僕じゃやっぱり結果は同じだって言うのか?」

レンマ
「天宝寺の狙いは私なんだ」

キョウマ
「じゃあ、僕はただダシに使われただけだって言うのか?」

パン
「君たちが揉めてどうする?レンマくん、キョウマにやらせてやれよ」

ウミノシン
「そうだレンマ、お前には藤田を頼む。二人ともそれでいいな」

法海
「それもいいがウミノシン殿が言うとおり、何度試合をしても事件解決にはならんし、例え殺したとしてもそれだけだ。奴らは痛くも痒くもないぞ」

パン
「それもそうだな。法が裁いてもいずれは出て来られるし、あいつらに徹底的な屈辱を与えるなにかを考えた方がいいのではないか?」

ウミノシン
「刑事たちはどこまで調べたんだ?」

レンマ
「二人の悪の証拠は少しずつ掴めていて、裏には大きな組織もついているようです」

法海
「そうだとするとそっちは本職に任せた方が利口だな。やはりパンの言うとおり二人をぎゃふんと言わせるなにかを考えることだ」

パン
「キョウマ、天宝寺のような武術者にとっての屈辱とはなんだ?」

キョウマ
「負けること、、、いやっ!闘えなくなることだ」

パン
「レンマくん、藤田のような高慢な奴にとっての屈辱とはなんだ?」

レンマ
「裏切られることだ」

法海
「そうだ。悪の世界におる者こそ仲間には絶大の信頼をおいているし、それがなくなった時の制裁も大きい。そこを徹底的に突いて突いて突きまくれ!」

レンマ&キョウマ
「はいっ!」

法海
「キョウマは無忌のもとで学ぶのだ。レンマくんはパン、お前に預ける」

二人はその日から厳しい鍛錬を始めた。

ー昼休みー

くまきん
「おばちゃん。キョウマ治って、ホントに良かったね」

おばちゃん
「そうだけど、、、事件はまだ片付いてないのよね」

くまきん
「それにしても点穴を使うなんて天宝寺はホントに汚いヤツだね」

おばちゃん
「確かにそうだけど点穴もひとつの技だから、一概に責める訳にもいかないしね」

ターフー
「こんにちは!福大仏具店ですぅ」

おばちゃん
「ターフーくん、この間はホントに有難う。お礼に今日はミニ蝋燭でも戴こうかしら。それともなにか他のことがいい?」

ターフー
「ではひとつお願いがあります」

おばちゃん
「なぁに?なんでも言って」

ひかり
「どうもぉ〜。文章の叔母でひかりと申します」

ターフー
「ぼくの母方の叔母です。実は武道着のセールスレディなんですが、ここで販売できるように学園長さまに取り合っていただきたいのです」

おばちゃん
「購買部のことならあたしが学園長から全面的な許可をいただいてるから大丈夫よ。それにターフーくんの叔母さまなら信用できるし」

ひかり
「有難う御座いますっ!」

おばちゃん
「ただ、出入りできるのはここだけで、生徒に接するのは昼休みと放課後だけね」

くまきん
「おばさん、パンフレット見せて」

ひかり
「えぇどうぞ。あなたお名前は?」

くまきん
「おいらは通称くまきんさっ!カッコイイね、この道着」

ひかり
「そう?オーダーメイドだからピッタリサイズだし、好きな刺繍も入れられるのよ」

ドニー&コリン
「おばちゃん、いつもの!」

おばちゃん
「ハイハイ。ドニーくんはスパゲティパン、コリンくんはハムカツパンね!」

ドニー
「くま、なに見てんだ?」

くまきん
「オーダーメイドの道着だよ〜」

ひかり
「こんにちは。ひかりテーラーでございます」

コリン
「オレにもパンフレット見せて」

ひかり
「道着の下に身につける特製サポーターもご用意しておりますよ」

ドニー
「既製だとサイズが合わないんだよな」

コリン
「既製品は蒸れるしな」

ひかり
「サポーターもオーダーメイドで特殊素材ですから、履いてないように爽快ですよ」

ドニー
「夏に向けて新調するか!」

ひかり
「有難う御座いますぅ!」

おばちゃん
「昼休みが終わっちゃうわ、ひかりさんまた放課後にしましょう」

ひかり
「ハイ。ではのちほど」

ドニー
「じゃあ放課後ここに来るね!」

おばちゃん
「くまちゃん、これレンマさんとキョウマくんに持って行ってあげて!」

くまきん
「サンキュー!」

ターフー
「叔母さん、来てよかったね」

おばちゃん
「ターフーくん、ゆでたまご食べる?」

ターフー
「戴きます!では僕は他を回るので今日はこれで失礼します。叔母さんまたね」

ひかり
「私も昼食取ってまた放課後参ります。この辺りに喫茶店はありますか?」

おばちゃん
「あたしもこれから休憩だから、宜しかったら売れ残りだけどご一緒にどう?」

ひかり
「有難う御座います!」

道場では・・・

パン
「正直言うと君に教えることはないんだが」

レンマ
「私はボクシングの経験がないのですから、そんなこと言わずに教えてください」

パン
「ボクシングも武術も基本は同じだ。敢えて言うなら奴より速く動き急所を打つことだ」

レンマ
「具体的なことを教えてください」

パン
「君の師匠はわざと負けたんだ。師匠と同じ力を持つ君なら彼に勝つことは簡単だよ」

レンマ
「仮に師匠がわざと負けたとしても、私はまだまだ師匠には追いつけてないです」

パン
「君が得意とする太極拳を使うのなら藤田の拳や足蹴を吸収し反動させ返すことができるし、八卦形意拳なら奴より先に攻撃をすればいい」

レンマ
「それだけですか?」

パン
「あぁ。私は君の試合を何度も見て君の強さは知っている。それよりぎゃふん作戦を考えんか?」

レンマ
「パンさん、私が殺されてもいいんですか?」

パン
「奴は悪党でも自分の手は汚さんさ」

レンマ
「わかりませんよ。事故だと言えば済みますよ」

パン
「藤田のような奴にとっては恥をかかされることが最も屈辱的なんだ。試合には必ず勝てるから早く作戦を考えよう。なにか弱みを握ってないのか?」

レンマ
「そう言えば藤田も天宝寺も変な趣味があって、どうやら男も好きなんです」

パン
「オカマって奴か?」

パン
「ドニーとコリンの分析によるとバイセクシャルと言ってどっちもイケるらしいんですが、二人の場合は男には攻めて行きたくて女には攻められたいタイプらしいです」

パン
「難しいな」

レンマ
「ということは女性に攻められて喜んでいるところでなにかするとか」

パン
「そうだ!裏切りの術を使おう」

レンマ
「そんな術があるんですか?」

パン
「二人に迫っていた女性が信頼する部下に寝取られるってのはどうだ?」

レンマ
「でもそんな役を引き受けてくれる女性なんかいませんよ」

パン
「私は君らの劇も観たが、二人の女性姿はそれはそれは綺麗で可愛かったぞ」

レンマ
「私とキョウマがやるってことですか?」

パン
「それならもしバレた時も大丈夫だろ」

一方禅堂では・・・

キョウマ
「無忌くんに預けられたということは法力を教えてもらえるということだね」

無忌
「法力は短期間では学べません」

キョウマ
「じゃあきみが得意とする乾坤大梛移 (ケンコンダイナイ)は?」

無忌
「あれも条件がありますし」

キョウマ
「じゃあ、なんなら天宝寺に勝てる?」

無忌
「少林寺の僧曰く彼の力が六千に対しぼくの力は一万だそうです。ぼく曰く天宝寺の力が千五百に対してキョウマ殿の力も千五百で同じです。でもキョウマ殿の方が防御力の割合が低いのです。ですから点穴を受けてしまった訳で、、、、、、」

キョウマ
「ねぇ、その話まだ続く?手っ取り早く教えてよ」

無忌
「キョウマ殿、短気は損気ですよ」

キョウマ
「武術者にとって傷の痛みなど大したことじゃない。武力を奪い二度と闘えなくさせる技を知りたいんだ。それを知ってるから法海和尚はきみに僕を預けたんじゃないのか?」

無忌
「ではやはり法力を使うしかないですね」

キョウマ
「でも法力は短期間では学べないんだろ?」

無忌
「ひとつだけ方法はありますが、やりますか?」

キョウマ
「もちろんやるさ」

無忌
「それは錬姑功と言って金の桃の実を秘薬で煮た物を食べることでキョウマ殿の体が女性になるので、そしたら天宝寺の唇を奪ってください。そうすれば一瞬にして武力が失われ彼は二度と武術ができない体になります」

キョウマ
「秘薬もともかく、僕は女性になっちゃうの?」

無忌
「それもまた金の桃の実をある秘薬で煮た物を食べれば元に戻れます」

キョウマ
「あるものって?」

無忌
「美猴王さまの尿と涙です」

キョウマ
「美猴王って孫悟空だろ、どこにいるんだよ」

無忌
「あの宝桃の木に実が成ったということは穫りにいらしてるはずです。見張っていれば会えるかもしれませんよ」

キョウマ
「秘薬を作るには絶対に会わなきゃならないさ。先ず金の桃を穫りに行こう」

無忌
「桃はすぐにはなくなりませんから練習が先です」

キョウマが持つ武力の防御力を集中的に上げるための鍛錬を始めた。

学園長室では血相を変えたキンゾウがウミノシンたちに相談をしていた。

キンゾウ
「ヒトミの様子が変なんです。溝は埋まったはずなのに口答えして急に暴れたかと思うと、ぼんやりしてしまったり、今も部屋に鍵をかけて閉じこもってしまってるんです」

法海
「私が様子を見に行きましょう」

練習を終えたキョウマはレンマにパンと立てた作戦を話し、丘の上の桃の木を見に行ったが普通の桃ばかりで金色の実はひとつもなくなっていた。

レンマ
「来るのが遅かったようだな」

キョウマ
「無忌くんが言うとおり孫悟空が穫って行っちゃったんだよ。兄さん、あそこの女性の絵を見て」

レンマ
「お嬢さん、この絵は妄想かな?」

女性
「ワタシの絵はすべて見たままを描いてます」

キョウマ
「これっていつのこと?」

女性
「今さっきです。王のような猿が金色の実を全部穫って二つだけワタシにくれて去って行きました」

レンマ
「普通の桃を穫ってあげるからその桃を譲ってくれないかな」

女性
「いいですよ」

キョウマ
「桃は手に入ったけど例の二つは直接会わないと」

レンマ
「お嬢さん、もしまたさっきの猿が来たらすぐにこのメルアドに連絡して欲しいんだ」

女性
「いいですけど。代わりにワタシの願いを聞いてくれますか?」

キョウマ
「僕らにできることならね」

女性
「この学園で美術の講師ができたらなって思ってるんです」

レンマ
「それはちょうどいい。今期はまだいい美術教師が見つかってないって困ってたから学園長に話しておくよ」

女性
「ワタシはひよこと言います。これ名刺です」


レンマ
「じゃあ宜しくね」

キョウマ
「あの絵の猿、兄さんが演じた猿王とそっくりだったね」

レンマ
「特殊メイクに七時間かかったアレだな」

キョウマ
「もし会えても話が通じなかった時のために法海和尚に頼んでおこうよ」

禅堂にて・・・

無忌
「そんなに慌ててどうされましたか?」

レンマ
「和尚に会いたい」

無忌
「マンチェク師兄に付き添って出かけております」

レンマ
「では戻ったら連絡してくれ」

外出先の二人は・・・

法海
「私の眼に狂いはなかったな。だいぶ強くなったらしいな」

マンチェク
「無忌の指導のお陰です。私はここで待ってますのでお願いします」

法海は喫茶店でマンチェクの彼女に会い、借用書をコピーさせてもらっていた。

その帰りにキンゾウ宅を訪ねヒトミの様子を見てみると、やはり巨大な魔珠の効力によって操られていることがわかった。

法海はヒトミの頭に手を当て念力を送った。
「仏法!(フーファー)」

法海
「これできみはもう元に戻れた。しかしまだ魔力に侵されているふりを続け藤田たちの行動を報告してくれんか?演技派育成組の女王のきみなら出来るはずだ」

ヒトミ
「わかりました。それより昨日からトニーと連絡が取れないんです」

法海
「探してみよう。ヒトミくん、では頼んだよ」

学園に戻り禅堂で念力椀を空に翳すと、トニーらしき男性が港近くの廃墟で縛られている絵が見えた。

無忌はアンディを連れ廃墟に向かったが、トニーは傷だらけで意識を失っていた。

アンディ
「トニーしっかりしろ」

無忌
「だれか来たら大変です。早く行きましょう」

学園に戻ったアンディはすぐに保健室にトニーを運んだ。

アンディ
「ハニー先生!」

ハニー
「トニたんどうしたの。すごい怪我じゃない」

ハニーがすぐに治療を始めるとトニーは目を覚ました。

ハニー
「トニたん!」

トニー
「ここはどこだ?」

アンディ
「保健室だよ」

トニー
「ボクはだれだ?ねぇキミはボクを知ってるのかい?」

アンディ
「なに言ってるんだ?トニー?」

トニー
「ボクはトニーって言うのか?」

無忌はトニーの額に手を当て念仏を唱えた。

無忌
「魔力からは覚めていますが、効力が強すぎた衝撃で記憶を失ってしまったのでしょう」

アンディ
「元に戻るのか?」

無忌は急いでトニーを連れ禅堂へ行くと、法海が戻ってきていた。

法海
「無忌、その者はトニーくんだな?」

無忌
「衝撃で記憶を失っています」

法海
「なんとかしよう」

連絡を受けたレンマたちも禅堂へやってきた。

ウミノシンやキンゾウ、パンにも連絡を入れ禅堂へ集合したみんなは、これから巻き起こる壮大な計画の作戦を練った。

マンチェク
「今度は協力させてくれ。取っておきの情報を掴んだんだ。藤田の手下は闇金のボスで俺の彼女が働くキャバクラの経営者でもある男だったんだ」

レンマ
「じゃあ、バックル事件とも関係があった奴なのか?」

キョウマ
「ぎゃふん作戦だけどそのキャバクラで決行するのはどうかな?」

ウミノシン
「明日の放課後、二人には再試合を申し込んである。レンマとキョウマは先ず試合に勝って決着をつけるんだ」

パン
「その夜、負けて悔しがる二人を慰めるためにヒトミくんがキャバクラとやらに誘い出し決行だ!」

そんな大きな計画が実行されようとする頃、購買部では・・・

ドニー
「おばさん、そんなとこ触ったらくすぐったいよ」

ひかり
「ドニちゃん、おばさん相手に照れてどうするの?じっとしてないとちゃんと測れないわ」

コリン
「ドニー、くま。レンマから緊急連絡だ、行くぞ!」

ドニー
「おばさん、ゴメン。またね」

おばちゃん
「仇討ちが始まるわよぉ。明日はひかりさんも体育館にいらっしゃい。勇者たちの姿を生で観られるチャンスよ!」

一同集結。
明日の試合が終了後、いよいよ『ぎゃふん大作戦』の幕が開かれる!!


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