世直し凛兵衛
  作者: 神湖   2016年03月08日(火) 13時59分08秒公開   ジャンル:武侠
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とある時代の中国。

伝波(でんぱ)町と言う栄えた町の長屋の一番外れには刀鍛冶屋がある。

頭首の名は譚凛飛(タン・リンフェイ)で呼び名は凛兵衛だ。
五十を過ぎたひとり者だが、彼が打つ刀は斬れ味が抜群だと評判の高い男だ。

今日は厳任束(イム・レンシュ)将軍から頼まれた刀を納める日で、夕方には厳の手下が取りに来る約束になっている。

「凛哥、勢が出るわね」

「おっと、もうこんな時間か」

隣に住む饅頭屋の娘、夏純璃(シァ・チュンリー)が夕方の行商に出かける時間だ。

「蒸かし立てよ、どうぞ」

とそこへ厳の手下の男が現れた。

「おい、刀は仕上がってるか?」

「はい、お約束通り。こちらでございます」

「よし、斬れ味を確かめたい」

凛兵衛の差し出した木に刃を当てると、斜めにすぱっと斬れた。

「うん、これなら将軍も満足だろう。代だ、取っておけ」

「凛哥の腕は天下一品ですからね」

「可愛い娘だな、お前の女房か?」

「あたしは隣の饅頭屋の娘です」

「美味そうな饅頭だな。ひとつ味見したい」

「ここらじゃ評判の饅頭ですよ」

男は饅頭を頬ばった。

「うん、これは美味い。みんなに土産だ、十個もらおう」

「有難う御座いました」

男は刀を腰に差すと馬に跨り帰って行った。

「さて、売りに行ってくるわ」

「最近はこの辺りも物騒だ、気をつけろよ」

「はぁい」

帰り道、紅凰楼 (ホンファンロウ)の 前を通りかかると妓女の桃香(タオシャン)に声をかけられた。

「あらっ純璃、凛さんは元気?最近遊びに来てくれなくて」

「凛哥がここに?」

「安心なさい、隣の茶屋でお茶を飲むだけよ。ねぇ饅頭は残ってる?あるだけちょうだい」

「毎度。ここんとこ将軍様の刀を打ってて忙しかったから」

「そう。暇ができたらまたって桃香が言ってたって伝えて」

家に戻ろうと歩いていると後ろから馬の足音がし振り返ると、先ほど刀を取りに来た男ともう一人男が馬に乗っていた。

「どけどけ、馬が通るぞ」

純璃は急いで馬を避ける。

「おぉさっきの娘か。この辺りに紅凰楼って店があるだろ」

「紅凰楼はこの先の赤い看板の店です」

二人が走って行く後姿を見ると、一人の男の腰には凛兵衛の打った刀が差してあった。


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