ファンアート、イラストや創作など画廊トピック
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By hiyoko
#9806 みこさんへ
動物のイラストと七狗剣客 のイラスト
イメージがすごく似てる!
可愛いいいです!!!!!!
このキャラでまた物語が出来るかもって・・・おもいました
とても好きです♪
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By hiyoko
#9808 hiakriさんへ

猫だけに鉄手と李全猫李理がいて
初めて鉄手がそこにいるといった事も^^
いろんなキャラが出てきていますが
事件解決に至るのはやっぱり周囲の協力が
あってこそだと思います^^
鷹山さんのボケも聞いています^^
hiakriさんありがとうございます
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By ミコ
#9811 pちゃん☆

逆毛立った表情いいですね~!
マジで『驚き逆毛』になってて吹きそうになりました。

鉄手は現代にやってきて捕物帖に参加してるんですな。
鷹山と鉄手が並んでるところを想像したらなんか笑えました。
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By ミコ
#9819 『果報は寝て待ての巻』

【不思議な呪い】

ミンイン
「ユーチさんのことはよく手紙にも書いてありました。町に来てからはずっと一緒にいらしたんですよね」

ユーチ
「オレがあいつに会ったのは今から五年前だ。オレは猛勉強の末に朝廷兵から司法官になったんだが、レンチェの家はお祖父様が尚書左丞、お父上も長史だから今の地位もなるべくしてなったとも言えるよな。でもあいつはそれをすごく気にしてたよ」

ウー
「気にするってなにをだよ?」

ユーチ
「親の七光りってやつじゃないのかな。でも実際はそうじゃなくてあいつもすっごく努力したし、親がそうだからってなれるもんじゃないからな」

イェン
「ユーチ四哥はレンチェにいつも冷たくしてるように見えるけどそうじゃないんだな」

ユーチ
「確かに回りくどいし面倒な奴だとたまに思うけど、ホントはすっごく尊敬してるんだ」

ミンイン
「お仕事では仕方ありませんが、行ったら迷惑になりますよね?」

ユーチ
「迷惑ということじゃなくて危険が伴うから行かない方がいい」

ホー
「危険ってどこに行ったんだ?」

ユーチ
「妖霧滝の近くの山林だよ。オレもこの事件の捜査に関わってるんだが、オレは人捜しでレンチェたちは花探しだ」

ウォン
「ワン博士やシャトーさんが一緒っていうことは医学的事件の捜査ですね」

ユーチ
「以前の蠱毒事件はお前も知ってると思うが、それに似た症状にある人物が冒されているんだ」

ウォン
「誰が毒に冒されたんですか?」

ジュン
「オレたちは聞かない方がいいなら席を外すぞ」

ユーチ
「あっ、そういうことじゃなくて、皇宮で起きてることなので内密に。陛下の側妃なんだが、突然小刀を手に暴れ出して、止めようとすると気絶して倒れてしまうんだ」

ムーラン
「蠱毒って呪術でしょ」

ユーチ
「知ってるのか?」

ウー
「武林に生きる者なら知ってて当然だ」

ユーチ
「皇宮に届けられた花があまり見たことのない珍しい花だったんで、オレは花の送り主の捜索中なんだ」

ウォン
「博士たちはその花を探しに行ったんですね。毒性の花だったんですかね?」

ウー
「妖霧滝近くの山林には不思議な場所があるって聞いたことがあるぜ。いつも霧が発生していてその霧事態が毒なんだってさ」

ムーラン
「そこなら知ってるよ。天山の師父に聞いた話だけど、ある娘が仇敵をそこに誘い込み毒を含んだ霧を吸った敵は闘う間もなく毒を吸い込み死んだそうだ。あそこは別名、無還林と呼ばれてるんだって」

ウォン
「そんなとこに行ったの?三人とも生きて帰れじゃないか」

ユーチ
「ワン博士のことだから、その辺は調査した上で行ってると思うぜ」

ミンイン
「では戻るまで待つしかないのですね」

ホー
「全身に布でも巻いて息を止めて行くしかないもんな」

ムーラン
「行く方法はあるよ。抜葜(サルトリイバラ)俗称、山帰来(サンキライ)の葉を咥えて行けば毒を吸い込んでも大丈夫なんだよ」

イェン
「それはどこに生えてんだよ?」

ムーラン
「湿気の多い山野に生えてるよ。無限滝の近くの湿地帯の地面を探せばいっぱいあるさ。ただみんな知らないだけなんだよ」

ユーチ
「ミンインさん、その葉を咥えてでもレンチェに会いに行きたい?オレが連れてってあげたいけど、オレは人捜しがあるから一緒に行けないしな」

ムーラン
「おれが行こうか?ここから無限滝までの近道を知ってるから馬でなら二時間で行けるよ」

ユーチ
「ムーラン六弟なら葉っぱもすぐわかるし頼んでいいかな?」

ホー
「イェン五弟も行ってやれよ。店はオレ一人でなんとかなるからさ」

ウー
「それがいい。ムーラン六弟は可愛い顔してやるときはやる男だから二人きりじゃ危ないぞ」

ムーラン
「そんなこというならウー二哥が行ってあげればじゃん!サンキライの葉っぱならウー二哥も知ってるでしょ!店はおれ一人で大丈夫だからさ!」

ユーチ
「どうしたんだよ。いつも仲良しの二人が喧嘩か?」

ウー
「冗談だよ。ムーラン六弟、そんなに怒らないでくれよ」

ムーラン
「ウー二哥なんか、大っ嫌いだ!」

ホー
「ムーラン六弟がこんなに怒るなんて珍しいぞ。ウー二哥なにがあったんだよ?」

ムーラン
「先を越されたから怒ってるんでしょ」

ジュン
「なんのことだ?」

ウー(こっそり)
「そのことはあとでゆっくり」

イェン
「ミンインさんは馬に乗れる?」

ミンイン
「いいえ」

イェン
「じゃあ、オレが乗せて行こうか?」

メイリン
「馬を用意してくれるなら私がミンインさんを乗せて一緒に行くわ。それでいいわね」

ミンイン
「はい、お願いします」

ユーチ
「そういえば思い出したよ。レンチェのやつも半年くらい前までは手紙が来たって嬉しそうによくミンインさんの話をしてくれたし、返事を書いてるのも見てたんだ。でもここ数ヶ月ミンインさんの話もしなくなったし手紙を書いてるのも見なくなったんだ」

ミンイン
「半年前というと音信が絶えたのもその頃だわ。なにかあったのかしら?」

イェン
「もう夜だし明日の朝、発つことにしましょう。迎えに行きますから」

メイリン
「長旅で疲れてるでしょ、今夜は私の家に泊まるといいわ」

ミンイン
「はい」

メイリンはミンインを連れて家へと戻った。

ユーチ
「判事になったのも半年前、音信を絶ったのも半年前。半年前、あいつになにがあったんだ?」

ジュン
「半年前はオレたちはまだ山で修行してたな」

ムーラン
「みんなは師父の目を盗んでこそこそ町に行ってたじゃない!一生懸命修行してたのはおれだけだったよね」

ホー
「オレが墓を買ったのも半年前だ」

イェン
「オレは賭場でいかさま野郎を絞めてた頃だ」

ウー
「オレは美味しい店巡りに夢中だったな」

ユーチ
「そうだよ!蠱毒の事件があったのが半年前だ!」

ウォン
「朝廷御用達のお茶に蠱が入ってたんでしたよね」

ムーラン
「いかなる物でも蠱毒になるんだよ。大きな物は蛇やカエル、蚤のような小さな物でもなり得るんだ」

ユーチ
「お茶の蠱は目にも見えないほどの小さな虫だったぜ」

ムーラン
「これも天山の師父に聞いた話だけど、その虫を体に入れると入れた人間の操り人形になってしまうんだって」

ユーチ
「じゃあ、蠱毒を誰かが側妃の体に入れたのか?」

ムーラン
「その可能性はあるね。もしかして気絶したあとはなにも覚えてないんじゃない?」

ユーチ
「そうだ、その通りだ。じゃあ花が原因ではなく蠱毒が原因なのか!」

ウー
「蠱毒が側妃を操ってるんだな。そして側妃に蠱毒を入れたやつの言いなりになってるってことだ」

ホー
「花を受け取った奴の仕業なのか?それとも届けた奴が仕組んだのか?」

ユーチ
「イェン五弟、ムーラン六弟、ミンインさんのことは頼んだぞ」

翌朝、ユーチは捜査のため朝早く出かけていった。
イェンとムーランが支度を済ませ、メイリンの家まで行こうとしたところへチンジュがやってきた。

チンジュ
「馬が用意されてるがどこかに行くのか?」

イェン
「妖霧滝の近くまで、ミンインさんを案内するんです」

チンジュ
「知ってると思うがあそこは危険な場所だ。十分用心しろよ!」

ムーラン
「はい!」

イェンとムーランはメイリンの家へ向かった。

チンジュ
「ジュン、なにかあったのか?」

ジュン
「レンチェになにかあったらしく半年ほど連絡を途絶えていたらしいんです。それで幼なじみの女性が心配して太原から彼を訪ねてきたんです」

ホー
「ムーラン六弟たちはミンインさんを連れてレンチェに会いに行ったんですよ」

ウー
「ユーチ四弟の話では皇宮内で蠱毒が絡んだ事件が起きてるらしいんです」

チンジュ
「蠱毒か。それはまた厄介な事件だな」

ジュン
「師父ももちろん蠱毒のことはご存知ですよね?」

チンジュ
「種類はいろいろあるらしい。恐ろしいものだと蠱を盛られ容姿が変化してしまったり、脳を冒されてしまったりするんだ」

ホー
「呪術か。ということは側妃は誰かに呪われてるってことか」

チンジュ
「しかしそう簡単に蠱毒は手には入らんぞ」

ウー
「ユーチ四弟は送られてきた花が原因だと思ってたようですが、蠱毒の絡んでる可能性の方が高いと思うんですよ」

ホー
「花についていた虫が蠱毒になると言うことでもないんだな?」

チンジュ
「蠱毒は呪いだ。小さな虫でも大きな蛇でもそれに呪いをかければ蠱毒になるんだ」

ウー
「ムーラン六弟がついてるから大丈夫だとは思うけど妖霧滝に行ったレンチェたちも心配だな」

とそこへウォンがやってきた。

ウォン
「お届けものです!では~」

ホー
「おい、もう行くのか!」

ウォン
「この格好じゃ長居できないので、すみません~」

ウーが封筒を開けるとそこにはこうあった。

《皇宮内にて謎の事件勃発。
呪術師、蠱毒の疑い濃厚。原因追究、側妃を救え!》

ホー
「ユーチ四弟にも与えられている捜査だよな。すぐにあいつに話して協力しなきゃだな」

チンジュ
「わしは蠱毒に詳しい人に心当たりがあるからちょっと訪ねてくる。三人で手分けして動いてくれ」

ホー
「オレはユーチを探してくるよ」

チンジュとホーは出かけていった。

ジュン
「フーに伝えないとな。そうだ、さっきのムーラン六弟の話ってなんだ?」

ウー
「ジュン大哥はタオファさんとうまく行ってる?」

ジュン
「うまくってどういうことを言うんだ?」

ウー
「そりゃいろいろあるでしょ」

ジュン
「彼女は未亡人だって言うことを気にしてるようだけど、オレは真剣だぞ。でも焦らないことにしてるんだ」

ウー
「そうだね。ムーラン六弟は若いから仕方ないか」

ジュン
「ムーラン六弟がなにかしたのか?」

ウー
「手を握ったことあるかって聞いたら、手はないけど接吻したっていうからさ。ムーラン六弟は大胆だと思っただけさ。まさかあんなに怒ると思わなかったよ」

ジュン
「いいじゃないか、それが青春さ~それよりオレたちはどうするか?」

ウー
「オレたちもムーラン六弟たちのとこに行ってみるか」

馬を用意したジュンとウーはホーに置き手紙をして妖霧滝に向かうことにした。

しかし近道を知らないウーたちは宿場町を越えようとしたところで雨に降られてしまった。雷雨を伴う雨で仕方なく宿場町で休むことにした。
茶屋に入るとそこにレンチェも茶を飲んでいた。

ウー
「レンチェ、ここでなにしてんだ?」

レンチェ
「ウー哥じゃないですか!お二人こそここでなにしてるんですか?」

ジュン
「博士たちと妖霧滝へ行ったんだろ。なにかわかったのか?」

レンチェ
「ええ。花は探せたんですけど、調べたところ花が原因じゃなかったんです。博士たちはそのまま山林の近くにある研究所に残ったので私は一人で戻ったんですが、この大雨で雨宿りです」

ウー
「ムーラン六弟たちに会ったか?お前を探しに行ったんだぞ」

レンチェ
「会ってませんよ。でもなんで私を探しに?」

ウー
「昨日、太原からお前の幼なじみのミンインさんって女性が、連絡を絶ったお前のことが心配で訪ねてきたんだよ」

レンチェ
「ミンイン?それって誰ですか?」

ジュン
「お前の幼なじみだろ?」

レンチェ
「ミンイン、、あっ頭が痛い~!」

ウー
「レンチェ、どうしたんだ?」

続く~
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By hikari
#9822 「美味しい店巡りに夢中」のウーさんに吹いた!
一生懸命マジメに修行してたムーラン可愛いなー。
ウーさんとの会話もほのぼのしてて可愛くていいねー。
ジュン兄さんに内緒話したら、すごくデカい声でみんなに筒抜けになりそう。
ウーさん、あとでこっそりのナイス判断!
ジュン兄さんは細かい事は気にしない。
遠くを見つめながらデカい声で「いいじゃないか、それが青春さ~」と言ってるジュンさんを想像して笑った。

蠱毒といえば、やはりあの事件を思い出しますね。
しかし、毒や花、葉っぱなどミコさんはよく調べてますね。
会話の中の説明も分かりやすいです。

さてさて、半年前レンチェに何があったのか?
頭痛の原因とは???
気になる気になる!
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By ミコ
#9824 hikariさん☆

蠱毒という言葉は『ライズ・オブ・シードラゴン』で初めて耳にしたのですが、そのあとで観たあるドラマでも出てきたので、すごく気になってたんです。
ミステリーストーリーに出てくるフィクションだと思っていたら古代中国で実際にある呪術だと知って、書きたくなってしまったのです。

ミステリーって境界線が微妙で難しいと思うのですが、調べながらなんとか書けたらと思い挑戦しています。
七狗メンバーのそれぞれの能力に当てはめて解決できればいいなと思っています。

ムーランとウーはすっごく仲良しですが、似た者同士なのでたまに衝突するという設定も作りつつ、ユーチのレンチェへの真の想いが今回のテーマですね。

まだ前半ですので後半ではちょっと緊迫感も加えつつ、ラストでは涙と笑いを誘えるよう仕上げていきますぞ!

後半をお楽しみに~!
有難うございました♪
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By ミコ
#9825 『果報は寝て待ての巻』

【操られた記憶】

レンチェは頭を抱えたまま気を失ってしまった。
ウーはすぐに気道を確保し脈を診ると、茶屋の奥の座敷を借りレンチェを運び寝かせた。
しばらくしてレンチェは意識が戻り起き上がった。

レンチェ
「ウー哥、ジュン大哥ここは?」

ウー
「宿場町の茶屋だよ。大丈夫か?」

レンチェ
「私、どうしたんです?」

ジュン
「いきなり頭を抱えたと思ったらそのまま意識を失ったんだよ。覚えてないのか?」

レンチェ
「早く戻ってユーチに報告しなきゃ!」

レンチェの異変の原因がミンインであることに気づいたウーは彼女のことには触れずに、指令があったことも含めて話を進めていくことにした。

ウー
「妖霧滝には行ったのか?」

レンチェ
「ワン博士の研究室が妖霧滝の途中の山林にあるのでまずそこに行って今までに起きた医学的事件の資料を見ていたんです。そしたら過去に朝廷で起きた蠱毒の事件にたどり着いて、今回も蠱毒が絡んだ事件なのではという結果になったんです」

ジュン
「お前たちを心配してムーラン六弟が妖霧滝へ行ったんだ。それじゃ会ってなくて当然だな」

ウー
「ムーラン六弟は近道を知ってるって言ってたから通ってる道も違うだろうし、途中で会うこともないだろうからな」

レンチェ
「ムーランが心配ですね。ワン博士も言ってたけど妖霧滝は危険な場所なんですよね」

ウー
「ムーラン六弟は薬にも詳しいから大丈夫さ。それにイェンも一緒だし」

レンチェ
「ワン博士から預かった調査結果資料を早くユーチに報告しに戻らないと」

ジュン
「ムーラン六弟もお前たちがいなければ戻るだろうから、雨もあがったしオレたちも町へ戻ろう!」

ウー
「レンチェ、もう大丈夫なんだな?」

レンチェ
「はい。すぐに戻りましょう!」

三人は町に戻ることにした。

その頃、ムーランたちは山林でサンキライの葉っぱを手に入れ妖霧滝近くの山林の入り口に向かった。
しかし山林を進んでいき滝の入り口まで来たが、その先に足跡がないことに気づいた。

ムーラン
「妖霧滝の霧のことは村の住人も知っているはずだから滅多に足を踏み入れない。もし昨日ここにレンチェ哥たちが来ていれば雨も降った様子もないから足跡が残ってるはずだ。ということは妖霧滝には入ってないんだよ」

イェン
「葉っぱがあっても危険なことには違いないんだろ?わざわざ危険を冒してまで滝に行くことはないさ」

ムーラン
「ユーチ四哥も調べがつけば戻るって言ってたし、レンチェ哥たちも滝には行っていないならきっともう町に戻ってるかもしれないね」

メイリン
「そうね、雲行きも怪しくなってきたし私たちも戻りましょう」

近道を通ったムーランたちは一時もかからず宿場町まで戻ってきた。だが馬に乗り慣れていないミンインが疲れているようなので茶屋で少し休むことにしたが、茶を飲んでいると店員同士の話が聞こえてきた。

ムーラン
「なにかあったのか?」

店員1
「ええ。ここに来た男性のお客さんが急に倒れて奥の座敷で休んでいったんです」

店員2
「あとから来た二人連れの男性がお知り合いのようで容態を診てましたよ」

ムーラン
「旅の人かい?」

店員1
「倒れた男性は形の変わった帽子を被ってましたよ」

店員2
「あれは判事が被る幞頭っていうんだよ。お前知らないのか?」

ムーラン
「もしかして口髭がある若い男性?」

店員2
「ええ、そうです。お知り合いの男性二人はきっと侠客ですね」

イェン
「なんで侠客ってわかるんだ?」

店員1
「一人は髪の長い力の強そうな大柄な方で、もう一人は結髪で剣を背中に背負ってましたから」

ムーラン
「ジュン大哥とウー二哥だね。おれたちを心配して来てくれたのかな?」

イェン
「ああ、きっとそうさ。ウー二哥はムーラン六弟が可愛くて仕方ないんだよ」

ムーラン
「町でなにかあったのかもしれないね」

メイリン
「ミンインさんも落ち着いたようだし戻りましょう」

ムーランたちは茶屋をあとにし町へ戻ると、町の入り口でチンジュと会った。

イェン
「師父!」

チンジュ
「もう戻ったのか?早かったな」

ムーラン
「山林まで入ったところで滝に向かう道に足跡がないことに気づいたんで滝には入らなかったんです」

イェン
「師父はどちらへ行かれてたんです?」

チンジュ
「お前たちが出かけたあとでウォンが指令を持ってきたんだが、内容がユーチたちが調べている事件と同じだったんだ。それでわしはすぐに蠱毒に詳しい人物に会ってきたんだ」

ムーラン
「そうだ!宿場町の茶屋でレンチェが倒れたらしくて、ウー二哥とジュン大哥が一緒だったようなんです」

チンジュ
「では二人はお前たちを追っていって、レンチェと会ったのかもしれんな」

イェン
「でもなぜレンチェが倒れたのかが心配ですよね」

チンジュ
「レンチェの身にもなにか起きてるのかもしれんな。わしが調べた件もユーチに報告したいから一緒に戻ろう」

ムーラン
「おれはウー二哥と話したいので薬局に寄ってから行きます。メイリンさん、ミンインさんを家で休ませてあげてください」

メイリン
「わかったわ」

チンジュ
「イェン、行くか!」

チンジュはイェンとユーチを探しに行った。

ムーラン
「ウー二哥!」

ウー
「ムーラン六弟、戻ったのか!」

ムーラン
「ジュン大哥と宿場町の茶屋に来たんだってね」

ウー
「ああ。指令が出たから知らせに行ったんだ」

ムーラン
「レンチェ哥が倒れたんでしょ」

ウー
「今は落ち着いてユーチ四弟にワン博士の調査資料を報告に行ったよ」

ムーラン
「レンチェ哥の様子はどうなの?」

ウー
「それがミンインさんの話をしたら、いきなり頭を抱えて気を失ったんだ。すぐに意識は戻ったが、あの症状はある部分の記憶だけが飛んでいてそれに触れると意識を失うという症状だ」

ムーラン
「そのある部分がミンインさんなのかな?」

ウー
「ミンインさんの名前を出したら、彼女のことも忘れているようで拒否してるようにも見えた。でも倒れた時は脈も正常だったんだ」

ムーラン
「半年前にレンチェ哥になにかあったのは間違いないよ。その原因がわかるまでミンインさんには会わせない方がいいと思うんだ」

ウー
「指令の件もあるが、このことはユーチ四弟にも話して先ずはレンチェを治すことが先決だ」

ムーラン
「衝撃を与えることになるけど、ミンインさんにも話さないとレンチェ哥に会っても傷つくことになるのが心配だよ」

ウー
「もし、レンチェを冒してるのが蠱毒だったら危険だぜ。まずはあいつを治療しないことには、両方の問題とも解決しないぜ」

ムーラン
「おれはレンチェ哥の治療に当たるから、ウー二哥はユーチ四哥に話してレンチェ哥をここに連れてきてよ。二人の力でレンチェ哥を治してあげよう!」

ウー
「わかった、、ムーラン六弟、昨日は悪かったな。まだオレのことは大っ嫌いか?」

ムーラン
「もう気にしてないよ。おれのことが心配だから忠告してくれたんだよね。リーファンのことは大事にしてるから大丈夫だよ!」

ウー
「おお!じゃあ連れてくるから待ってろよ!」

ウーはユーチがよく立ち寄る飯処へ行ってみたがいなかったので、二四軒堂に寄ってみると店は閉まっていて戸に紙が挟まっていた。
紙はウーとムーランに当てられたホーからの置き手紙で堡で密談をしていると書かれていた。

ウーがメイリンの家に寄ると、ミンインは疲れて眠っていた。
メイリンにはレンチェのことだけを話すとミンインのことを託し堡へ戻った。

七狗堡に戻るとみんなが集まっていた。
ウーはこっそりユーチを呼びレンチェのことを話した。

ユーチ
「レンチェの報告は半年前に起きた朝廷内で起きた蠱毒の事件と最も類似した事件だということだな?」

レンチェ
「ああそうだ。ワン博士のこれまでの調査結果がそう語ってるんだ。間違いないさ!」

ユーチ
「レンチェ、あの事件は今から半年前だったよな?そうだろ」

レンチェ
「ああ」

ユーチ
「お前にも半年前、なにかが起きたんだ。だがそのことにお前は気づいていないんだ」

レンチェ
「なんのこと?」

ユーチ
「それがなんだかわからないままだとお前自身も危ないし、ある人を傷つけることにもなるんだ。この事件も大切だが、まずはお前に元のように戻ってほしいんだ。ウー二哥の言うことに従ってくれ!」

レンチェがユーチの言葉に驚くのと同時にウーはレンチェを点穴で眠らせ飛鷹薬舗へ向かった。

ホー
「ユーチ四弟、どういうことだ?」

チンジュ
「レンチェが倒れたそうなんだが、記憶のどこかに穴が開いたような状態なんだ」

ジュン
「ミンインさんのことも覚えていないようだし、彼女の名前を出した途端に頭を抱え意識を失ったんだよ」

ユーチ
「皇宮の事件解決も大事だが、オレにとってはレンチェの今の状態の方が心配なんだ。まずはあいつをムーラン六弟とウー二哥に治療してもらってからじゃないと、この事件にも集中できなくってさ」

イェン
「そうだよな。ミンインさんも相当心配してて、旅の疲れも出てきてるし、このままじゃ彼女まで病んでしまうぜ」

ユーチ
「オレたちはレンチェが戻るまで、あいつがワン博士から預かってきた資料と師父の蠱毒の調査結果を照らし合わせてみよう」

ワン博士から預かった資料は、半年前の朝廷で起きた蠱毒の事件のものと、そのときに使用した薬品や解毒剤の資料もあった。
そしてそこには一人の祈祷師の名前があった。祈祷師は西域に住む女性で農作物の豊作祈願から雨乞いなどの自然現象から、子宝や安産祈願まで、所謂すべての願いごとを請け負う地域の神として崇められている人物だった。

ユーチ
「あの事件の時もこの女性のことは聞いてないから、ワン博士が単独で調べていたんだな」

フー
「この祈祷申請書に署名がありますね。誰の物でしょうか?」

ジュン
「書名は本人にしか読めない複雑なのもあるからな」

ユーチ
「どれどれ?これはワン博士とシャトー、レンチェの署名だ。しょっちゅう見てるから間違いないさ」

ホー
「朝廷の事件とは別でこの祈祷師に会ってたのかな?」

申請書の祈願内容はすべて西域の文字で書かれていて、唯一読めるのは日付だけだ。

イェン
「こりゃオレたちには読めないな」

ユーチ
「オレが読んでみるよ」

フー
「そうか。ユーチ四哥には西域の血が流れているんでしたよね」

ユーチ
「祈願申請書の日付は蠱毒事件の調査の二日あとだな」

申請書の祈願内容は族長が冒されている謎の病のための除霊で、医学的治療にワン博士とシャトーも関わっており
レンチェは族長の家族と一緒に、原因が刑部に関していないか立ち合っていたようだった。

ユーチ
「このときレンチェは判事になってすぐだったはずだ」

フー
「もしかしてレンチェはその時になんらかの衝撃的被害に遭ったんじゃないですかね」

イェン
「ムーラン六弟たちがレンチェの異常の元を追求できれば、このことと繋がるんじゃないか?」

ユーチ
「今回の事件も側妃を使って誰かが陛下に危害を加えようとしていのではないかと考えてるんだ。確かに届けられた花は珍しいものだが毒性もないし、嗅ぐだけで癒されるという蘭の一種だったんだ。花を受け取ったのは陛下の側近で送り主は陛下と親しくしていた黄飛鴻先生の弟子だったし、花が原因ではないことは確実なんだ」

ホー
「ということは花が届けられたことを利用して誰かが蠱毒を使って側妃を操っているということか?」

チンジュ
「蠱毒を作れる人間は限られていて媒体は小さな虫からでも大蛇からでも作れるんだ。共食いさせ勝ち残った方が蠱毒となるのだ」

ユーチ
「側妃の場合は小さな虫の可能性が高いですね」

チンジュ
「側妃はある一定の人物に危害を加えるように操られているのだろう」

ユーチ
「陛下に近づける人間も限られているだろうから、蠱毒を仕込んだ者は陛下に恨みを持つ者で、陛下に怪しまれることなく近づける側妃を操っているのだろうな」

フー
「あの温厚な陛下が人に恨まれるなんてことがあるのでしょうか?」

ホー
「蠱毒を作れる限られた人間というのはどういう人物を指すんですか?」

チンジュ
「内力が強い人間だ。自分の力を蠱毒に乗り移らせる力が必要だからな」

イェン
「皇宮にそんな人間がいるとすれば、将軍や錦衣衛のような武力を持った人間が考えられるよな」

ユーチ
「陛下の側近や錦衣衛は陛下自らが選んだ信用度の高い者たちで成り立ってるんだ。今になってそんなことが起きるなんて信じられないよ」

チンジュ
「陛下には側妃は何人いるんだ?」

陛下
「一人だけです。本当は皇后だけで十分だと言っていたんですが、半年前に皇后の勧めで迎えたんだそうです」

イェン
「ユーチ四哥が苦手な例の皇后さまだな」

フー
「あの恐妻家で有名な皇后が自から勧めるなんて、さぞかし気に入った女性だったのでしょうか」

ユーチ
「半年前に陛下が喉の異変を訴え侍医に見せたが、治療に時間がかかると言われたらしいんだ。そこで心配になった皇后は側近たちに専門医を探させるように命じたんだが、連れてきたのがその側妃だったんだ」

ホー
「その側妃が医者にも勝るような特別な女性なのか?」

ユーチ
「癒しの力を持ってるって言う話だったよ」

チンジュ
「そうなるとその側妃を連れてきた者、あるいは側妃自体が怪しいとも考えられるな」

イェン
「操られてるのではなく、側妃が陛下を恨んでいるとも考えられないか」

ジュン
「なぁ、また半年前なのか?」

ユーチ
「それもそうだな」

レンチェを治療しているとウーとムーランは、、、

ウー
「脈と気道には異常がないということは毒じゃないよな」

ムーラン
「蠱毒は毒だよ。毒じゃないということは、、、記憶のどこかに穴、、、やっぱり呪いをかけられてるとしか考えつかないよ」

ウー
「レンチェに内力があるか調べてみよう」

ウーは眠っているレンチェを座らせ手を合わせると背中の中央に気を送る。

ウー
「レンチェは武功を身につけてないんだな。なにも返ってこないよ」

ムーラン
「レンチェ哥の戦闘能力は亢龍鐧を操る技であって武功じゃないんだね。おれが変わるよ」

ムーランがこめかみに気を送ると頭のてっぺんから湯気が出てきた。

ムーラン
「これだよ。これが原因だよ!」

ウー
「なんの湯気だ?」

ムーラン
「天山の師父が言ってたんだけど、特殊なお香を嗅ぐことで脳の一部に空間ができるんだって。その空間というのが記憶の一部で、忘れたい記憶だったり故意に忘れさせられようとしている記憶だったり。それがミンインさんなんじゃないかな」

ウー
「じゃあ、故意にミンインさんを忘れさせようと誰かがお香を嗅がせたのか?」

ムーラン
「ミンインさんだと特定しなくても、例えば愛してる人や大切に想う人を忘れてしまえと念じられていたとすればそれは誰にでもできるでしょ」

ウー
「毒でも蠱毒でもないということがわかったんだ。みんなのところへ行ってレンチェを起こして気を送りながら今のことを問い正してみよう」

ムーラン
「危険は承知の上だけど、ミンインさんも連れて行こう!」

続く~
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By hikari
#9826 ミコさん

ますます面白くなってきましたねー。
半年前レンチェに何が起こったのか?
謎の側妃の正体は?
ドキドキしますねー。

今回はムーランが活躍してますね♪
ウーと仲直りできて良かった。
ユーチもやっぱりレンチェが心配でたまらないご様子。
レンチェが回復して謎が解けるのか?
ワクワクします!
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By ミコ
#9852 『果報は寝て待ての巻』

【人間万事塞翁が馬】

ウーは眠ったままのレンチェを背負い七狗堡へ向かった。

ムーランもメイリンにレンチェの身に起きていることを説明し、ミンインとともに七狗堡へ向かう。

ウー
「レンチェの異常の原因が判ったぞ!」

そこへミンインを連れたムーランもやってきた。

ムーラン
「ミンインさん、レンチェ哥はある衝撃によって記憶の一部を失っている状態なんだ。今からレンチェ哥の体からその原因を取り除くから、メイリンさんと一緒に祈ってあげて」

メイリンは癒しの香を焚きながら小鐘を鳴り響かせ、祈り始めた。

ムーランはこめかみに薬を塗った布を貼ると背中から気を送り始めた。
すると頭のてっぺんから黄色い湯気が立ち始めた。
レンチェが少し苦しそうに顔を歪めると耳から黒い煙が出てきた。
それをメイリンは小さな陶器の壷に収めた。

するとレンチェの顔色が赤らみ目を覚ました。

レンチェ
「みんなここでなにしてるんだ?ミンイン、、、ミンインなんだね。どうしてここに?」

ユーチ
「レンチェ、ミンインさんは連絡を絶ったお前が心配で太原から来てくれたんだ」

ミンイン
「レンチェ哥!心配したのよ。ずっと手紙をくれていたのに半年前から返事もくれないんだもの!」

ウー
「ムーラン六弟、説明してあげてくれ」

ムーラン
「レンチェ哥、どこかでお香を嗅がされなかった?」

レンチェ
「お香?」

ユーチ
「お前がワン博士から預かってきた資料と一緒にこれがあったんだ。西域でなにかあったんだろ?」

レンチェ
「祈祷申請書、、、ああ、例の半年前の蠱毒事件のあとで西域のある族長が謎の病に冒されたと言うのでワン博士とシャトーが治療に当たったんだ、、、」

レンチェの話は、こうあった。

申請書にあったとおり、三人はある部族に呼ばれ祈祷師とともに族長の除霊式に立ち合った。
しかし、族長の病は単なる暴飲暴食によるもので謎の病ではなかったのだ。
この事件の発端は次期族長を狙う者と祈祷師が企んだ偽の除霊式で生け贄に差し出した若い女性も用意されていたのだ。
ワン博士はすぐそのことに気づきシャトーとともに次期族長を狙った男と祈祷師をレンチェを通して大理寺に送っていたのだった。

レンチェ
「ということなんだ。部族の争いごとだったから、ことを大きくしないよう内密に収めたんだよ。でも私にも危害が及んでいたなんて気がつかなった、、、」

香の成分に対する免疫力のあったワン博士とシャトーは幸いなにも起こらなかったが、レンチェは香を嗅いだことで脳の一部の記憶空間に異常を来していたようだ。

ムーラン
「それは蠱毒とは違うけど、洗脳の一種だと思うよ。お香の成分に媚薬成分が含まれていて、きっと暗示にかけられていたんだね」

チンジュ
「わしも蠱毒のことを調べていたときに、もっと簡単に洗脳したり暗示をかけるような呪術方法があることは聞いていたんだが。ムーラン、よく気づいたな」

ムーラン
「他のことは覚えているのに、ミンインさんの名前を聞いた途端に意識を失ったって聞いたからです。ミンインさんは愛する人、つまり大事な物を忘れるように暗示にかけられてるのではと気づいたので、試してみたんです」

ホー
「その壷には何が入ってるんだ?」

メイリン
「お香を嗅がされたことによって発生した記憶の一部よ。忘れろと念じられた偽の空間といえば分かり易いかしらね。この壷はこのまま燃やして土に返すわ」

レンチェ
「ムーランが治療してくれたのか?」

ムーラン
「おれの内力を少しあげただけだよ。ウー二哥も一緒にね」

レンチェ
「ありがとう。もしかして修行を積めば私も剣の達人になれたりしてな」

ムーラン
「剣の稽古がしたくなったらいつでも教えてあげるよ!」

ウー
「ああ、いつでも大歓迎だぜ!」

ユーチ
「レンチェも元に戻ったし、これで皇宮の事件解決に専念できるぞ!」

ホー
「ユーチ四弟はお前のことが心配で飯も喉を通らなかったんだぞ」

レンチェ
「ユーチ、、、ホントなのか?」

ユーチ
「そんな訳ないだろ!さぁ、ワン博士の資料と師父の調査結果を照らし合わせて、突き詰めていくぞ!」

レンチェ
「皆さんも調べてくれてたんですか?」

イェン
「お前たちが山林に行ってるときにウォンが指令を持ってきたんだが、同じ事件だったんだよ」

ユーチは花の送り主のことや花には直接の原因がなかったことをレンチェにも話した。

ユーチ
「ということで、、、二つの結果にたどり着いたんだ。一つは側妃を利用して誰かが糸を引いているのか?もう一つは側妃が自らしていることなのか?」

レンチェ
「側近の話では、側妃は皇后の勧めだったという話でしたよね」

ユーチ
「ああ、そうだ。陛下の病を治すために連れてこられたらしい」

とそこへウォンがやってきた。

ウォン
「レンチェさん!もう大丈夫なんですか?」

レンチェ
「ムーランとウー哥のお陰で元に戻ったよ」

ウォン
「良かった~あっユーチ哥、これシャトーさんからの伝言です」

シャトーからの伝言によると、また側妃が暴れ陛下を襲おうとしたようで、止めに入った侍衛が取り押さえているということと、蠱毒の可能性を踏まえ血液も調べたが、全く異常が見られないこともわかった。

ユーチ
「側妃の行動は蠱毒によるものではなかったんだな」

レンチェ
「では側妃が自らしてるということですかね」

チンジュ
「側妃を勧めた皇后が誰かに騙されているということも考られないか?」

ユーチ
「皇后は恐妻家で有名ですが、実は陛下に対する愛情は相当なものなんですよ。陛下の病を案じて側妃を迎えたのだとすれば、側妃が陛下に恨みを持つ者なのか、あるいは側妃を連れてきた者が陰で操っていると考えるのが正当ですね」

ホー
「側妃は癒やしの力を持ってるって言ってたけど、具体的にどんな力なんだろうな?」

ムーラン
「側妃が皇宮内にいるんじゃ、おれたちは手を出せないね」

イェン
「ユーチ四哥は中に入れるんだろ?皇后に拝謁を申し出てみろよ」

ユーチ
「ああ。いずれ報告には行くつもりだったけど、今のままじゃなんと報告していいのやら、、、」

ウー
「そのままのことを話せばいいんじゃないのか?」

ユーチ
「確かな証拠もないのに話してもまた怒られるだけだよ。朝廷の蠱毒事件の時だって、十日以内に結果を出せなきゃ処刑するって言われたんだぞ」

ジュン
「じゃあ、押し入るか?侍衛なんか一発で倒せるぞ!」

ユーチ
「押し入るのはマズいよ」

イェン
「じゃあ、こっそり忍び込むか?」

ユーチ
「その方がいいけど、もしバレたらもっとヤバいことになる」

ムーラン
「今、側妃はどこにいるの?」

ウォン
「それが暴れ方が半端なかったようで、侍衛も怪我を負ったらしいんです。皇后もそのことには相当驚いたようで、怒りのあまり牢に入れたらしいですよ」

ホー
「侍衛に怪我を負わせられるなんて、側妃はただの女じゃないんじゃないのか?」

イェン
「最初の時に気を失ったって言うのも芝居じゃないのか?」

フー
「それでは牢に忍び込むというのはどうでしょう?イェン五哥なら簡単にできそうですよね」

ユーチ
「そうだ!側妃を紹介した者が怪しいと嘘の報告をしてみるか!」

イェン
「忍び込むなら朝飯前だ。オレに開けられない鍵はないからな」

イェンの立てた作戦は、、、
まずはユーチとレンチェに化けたイェンが拝謁を申し出る、、、

イェン
「これでどうだ?」

ユーチ
「よし、それで行こう!」

ムーラン
「もし抵抗したら秘密兵器を使ってでも吐かせてみせるよ!」

ユーチ
「オレたちもすぐにここに戻るから頼んだぞ!」

早速、イェンは付け髭をすると眉毛を書き直し、レンチェに借りた幞頭を被ると服を取り替え、ワン博士の報告書を手にしたユーチと皇宮に向かった。

皇后の側近
「皇后さまの御成~!」

皇后
「ユーチ将軍、ジャオ判事いい報告でしょうね?」

ユーチ
「こちらをご覧ください、、、」

ユーチがワン博士の調査資料を皇后に見せている隙を見て、偽レンチェはレンチェに聞いておいた牢へと向かうと牢兵の傍に小石を投げた。

牢兵1
「ん、曲者か?」

牢兵2
「見てくるよ」

今度は違う方へ小石を投げる。

牢兵1
「ん、こっちか?」

その隙にレンチェに扮したイェンは鍵を開け側妃の首の後ろを一発殴り気を失わせ、外へと連れ出した。
ウォンの用意していた馬車に側妃を乗せ七狗堡へ向かう。

本物のレンチェはすぐに牢へ戻る。

レンチェ
「側妃と話がしたい。皇后の命だ」

牢兵1
「こちらです、、、戸が開いてるぞ~大変です、側妃がいません!」

レンチェ
「鍵は?」

牢兵1
「こじ開けられた形跡はありません」

レンチェ
「じゃあ誰が開けたんだ?曲者でも忍び込んだか?」

牢兵2
「さっきあっちで物音がして見に行ったんですが誰もいなくて」

レンチェ
「誰かが手引きしたんじゃないのか?私が報告してこよう!」

~~~

レンチェ
「皇后さま。誰かが手引きしたようで側妃が牢から消えました」

皇后
「あの側妃はどこか怪しいわ。すぐに探して連れ戻しなさい!明日までに見つけられなければ、二人とも百叩きの刑よ~!」

ユーチ、レンチェ
「すぐに探して連れて参ります~!!」

二人はすぐに七狗堡へ戻ると兵たちにつけられては困ると思い、少し遠回りをした。

その頃、一足先に七狗堡へ戻ったイェンとウォンは、、、

側妃
「私を誰だかわかってしてるの?」

ジュン
「ホントに側妃なのかな~?」

側妃
「そうよ!」

ウー
「側妃が侍衛に怪我させるなんて聞いたことないけどな~」

側妃
「覚えてないのよ!」

ホー
「都合の悪いことは忘れちゃったりして~?」

側妃
「頭が痛い~!」

イェン
「陛下に危害を与えようとしたのが故意だったなんてわかったら、皇后にお仕置きされちゃうぞ~!」

ユーチ
「本当のことを話さないとオレたちが百叩きの刑に遭っちゃうんだぞ~!」

ウォン
「マジっすか?」

レンチェ
「マジっす!」

フー
「貴女は一体誰なんです?ホントに陛下のご病気を案じているのですか?」

側妃
「私は、、、頭が痛い~!!」

チンジュ
「これも洗脳ではないのか?」

ムーラン
「ちょっとごめんよ!」

ムーランはそう言って首元に点穴を施すと側妃は気を失った。

ムーランは座らせ側妃の体を舐め回すように見る。

イェン
「ムーラン六弟、目がいやらしいな」

ホー
「しぃーっ!」

ムーラン
「みんなここを見て!」

ムーランが首の後ろを指さすと、針で刺された小さな痕があった。

ユーチ
「なんだろうこの穴?蜂にでも刺されたみたいだな」

ムーラン
「蜂や蟻などの虫に刺されればなら赤く腫れ上がるでしょ。薔薇のような棘に刺された痕だね」

レンチェ
「蠱毒じゃないんだな?」

ムーラン
「蠱毒を体に入れるときは痕は残らないから違うね」

ウォン
「じゃあ毒ですか?」

ムーラン
「血液を調べたんでしょ?毒なら皇宮の医者でもわかるはずでしょ。でもなにかを注入されてることには間違いないね。レンチェ哥の時と同じように調べてみよう!」

ウー
「三十分は目を覚まさないとは思うけど、店に行って特別兵器を取ってくるから念のため見ててくれ」

二人は飛鷹薬舗に向かった。
十分後、二人は戻ってきた。

ホー
「なんだその腐った茸みたいなのは」

ムーラン
「茸茶だよ。真実を話したくなる茸だね」

イェン
「笑い茸は聞いたことあるけどそんな茸があるのか?」

ウー
「これも一種の洗脳だな。これを食べることによって心が癒されて、その間になにか尋ねると隠していることや疾しいことを話したくなるんだよ」

ユーチ
「命に別状はないんだろうな?死んでは困るからな」

ムーラン
「メイリンさん、この間のようにまたお願いできますか」

メイリン
「わかったわ。では今日はこのお香で行くわ、白檀よ。癒されることでより楽に話してくれるはずよ」

ウーは茸を壷に入れ煎じ始めた。
椀に一杯注ぐと側妃に飲ませた。どこから来たのかな?

フー
「ねぇ、この側妃ってどこか異国情緒があるよね。目も大きいし、髪の色もちょっと違うような。う~ん、ユーチ四哥みたいな感じというか、、、」

メイリンが香を焚き小鐘を鳴らす中、ムーランが話し始めた。
すると側妃の耳から黒い煙が出てきた。
すぐにメイリンはその煙を壷に入れた。

ムーラン
「貴女はどこから来たのかな?」

側妃
「草原、、、羊、、、」

ウー
「貴女の名前は?」

側妃
「マ、マリナ」

ホー
「マリナ?漢人の名前じゃ珍しいな」

ユーチ
「西域によく聞く名前だな」

ムーラン
「草原、羊、マリナ。どうやら彼女は新疆の女性のようだね」

ウー
「だいぶ心を開いてきてるぞ。肝心なことを聞いてみるか?」

ユーチ
「リー陛下が憎いのか?」

側妃(マリナ)
「憎い?憎いんじゃない。傷つけろと言われたのよ、、、」

レンチェ
「誰に言われたのかな?」

マリナ
「だってあの人が悪いのよ!師母を連れて行っちゃったんだもの、、、」

レンチェ
「この女性、、、?髪型は違うけど、あの時の女性に似てるな」

ユーチ
「誰だ?」

レンチェ
「西域の除霊式にいた女性だよ。族長に生け贄として出されていた女性に似てるんだ。うん、間違いない!」

ユーチ
「あの時、族長を狙っていた男と祈祷師の女性を大理寺に送ったって言ったろ?この女性はその二人と関係があるんじゃないのか?」

レンチェ
「二人はまだ牢にいるはずだ。彼女は二人を助けようとしてるのかもしれないぞ」

ジュン
「そうだとしても彼女が勝手に皇宮に行けるわけがないんだから、彼女を皇后に勧めた人間が間にいるはずだぜ。もっと聞いてみようぜ」

ムーラン
「マリナ、誰が君を皇宮に連れて行ったのかな?」

マリナ
「父さんよ、、、太監、ルー(鲁)太監は私の父なの」

ユーチ
「レンチェ、ルー太監って皇后の側近だよな」

レンチェ
「ああ。皇后一番のお気に入りの太監だよ」

イェン
「そいつがマリナの父親なのか?ルーは漢人の名字だぞ」

フー
「父親が漢人で母親が新彊の人間なのでは?」

ウー
「太監じゃ子供は作れないだろ?」

ホー
「マリナが生まれてから太監になったんじゃないのか」

ユーチ
「ルー太監がマリナを連れて行ったのは間違いないんだ。このことを皇后に報告して太監を尋問しよう!」

ユーチとレンチェは側妃を捕まえたことを報告しに皇宮に連れて行った。

ユーチ
「ということなんです。即刻、ルー太監を尋問させてください」

皇后
「ルーは私の一番の側近よ。もし間違いがあったとしたら、二人は即刻死罪ですよ。心して調べなさい!」

ユーチとレンチェはルー太監を呼び出しことの真相を問い質す。

ホーの推測通り、ルーは太監になる前にマリナの母親である新彊の女性との間に子供がいた。
しかしその女性とは結婚を許されず、ルーは太監となった。
マリナの母親というのが例の祈祷師で、ルー太監は皇宮の牢で祈祷師の女性を見てすぐに愛した女性だと気づいたのだ。
そして結婚できなかった罪滅ぼしにマリナを側妃として迎えさせ、陛下と皇后に復讐させようとしていたのだった。

皇后
「陛下の病気はすっかり良くなりました。貴方たちの働きで悪の根元も消え去ったわ。でもこれで有能な太監が一人減ったわ。貴方たち、もし今度失態を冒したらどちらかが太監になるっていうのはどう?」

ユーチ、レンチェ
「それだけはどうぞ、ご勘弁ください~!」

ユーチとレンチェは七狗堡に戻った。

ユーチ
「一件落着だ。ルー太監は免職で流刑になった」

レンチェ
「マリナは罪には問われず、新疆に帰りました」

ミンイン
「私も太原に戻ります。レンチェ哥、これからはちゃんと連絡ちょうだいね」

レンチェ
「ミンイン、近いうちにご両親に挨拶に行くよ。落ち着いたら町へ引っ越しておいで。一緒に暮らそう!」

ユーチ
「一緒に暮らそうって結婚か?」

レンチェ
「判事になったら結婚するって約束してたんだ」

フー
「ウォンも結婚、レンチェ哥も結婚。めでたいですね!」

メイリン
「私が馬で送って行くわ。レンチェさんいいでしょ?」

レンチェ
「お願いします」

メイリン
「今夜は家に泊まって明日送っていくわね。では!」

メイリンはミンインを連れ家へと戻った。

とそこへチンジュがやってきた。

チンジュ
「今回の報酬だ」

ジュンが包みを開ける。

ジュン
「今回はいつもより多いぞ。銀子が十二個入ってる」

チンジュ
「八人で一個ずつ、残りはレンチェとウォン、メイリンさんも協力してくれたからあとで理由を話して渡しておこう」

ジュン
「それでも一個余るな」

ユーチ
「頑張ったウー二哥とムーラン六弟で半分ずつ分けるのはどうだ?」

ホー
「それがいいな」

ウー
「じゃあ明日はオレが炊事当番だからみんなに美味いもの作るよ!」

ムーラン
「おれの分はフーのための特効薬を作るね!」

『果報は寝て待ての巻』完結~