連杰トークや井戸端トークなどお気楽雑談トピック
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By ミコ
#8914 hikariさん☆

拝読と感想、有難うございます。

ここまで一気に書いています。
武侠モノはたくさん見ているので参考にしてる部分もあり、完全に妄想街道まっしぐら。
もし武侠モノに出演できるとしたら?という願望もありつつ。

この作品は美術講師の紫苑と道着販売員のひかりと購買部のおばちゃんことミヤコが三人で脚本家なので、それぞれ美味しいとこ取りで書いているつもりですが、イメージと違っていたら、そこは「妄想」として流してください。

目指せ、金庸!
これからがクライマックス。
えっ?あり マジ?あり で書き進めていきますので続きをお楽しみに!
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By ミコ
#8918 第五部 『真の正体』

四半刻ほど前に遡る。

阿越
「そこの小柄なお嬢さん!」

純月
「あたいのことかい?(心の声:いい男!それに剣も持ってる。これで剣裁きもすごけりゃ完璧だよ)」

阿越
「その背中の剣は護身用か?」

純月
「ええ。兄さんはその身なりからすると剣客かな?」

阿越
「剣に興味があるなら見せてやるから、うちに来ないか?」

純月
「会ったばかりで家には行けないよ」

阿越
「俺は阿越、お嬢さんは酔酒憩廠で働いてる娘さんだろ」

純月
「あたいを知ってるの?」

阿越
「店にいるのを見たよ。あの店には前に何度か行ったし、主人もよく知ってるよ」

純月
「そうなんだ。家は近いの?」

阿越
「すぐそこだ、剣裁きも見せてやるよ」

純月
「じゃあ、ちょっとだけ」

阿越と家に向かった純月はまず、剣裁きに見せてもらった。

純月
「すごいね!いつからやってるの?」

阿越
「五歳から武術を始めて、剣を握ったのは七歳の時だから二十年になる。次は手合わせでもするか!」

この間、京虹とやったときにように純月は向かって行くが、阿越の剣法は京虹とは躱し方も違えば攻め方も違っていた。

純月
「なかなかだが、躊躇いがあるな。それでは上達しない。相手の気力に勝たなければだ」

純月
「気力か。身を守ることで必死なんだよ」

阿越
「疲れたろ、茶でも煎れるよ。それとも酒がいいか?帰ったら呑もうと思って肴も作ってある」

純月
「へぇ。料理もできるんだね」

阿越
「誰も作ってくれないからな」

純月
「美味しいね、こんなのが作れたら奥さんなんかいらないか」

阿越
「純月が嫁になってくれるか?」

純月
「なに言うんだよ。阿越みたいないい男なら女に困らないだろ?いっぱい女を泣かしたんじゃないの?」

阿越
「そんな男に見えるか?」

純月
「あっごめんなさい。そんなつもりで言ったんじゃなくて、でもいい男はホントだよ」

阿越
「純月は面白くていい娘だな。なぁ、俺たち縁があると思わないか?だってお前の名と俺の名は字は違えども読みが同じ文字がある」

純月
「そうだね。会ったのも偶然、名前も偶然だね」

阿越
「偶然じゃない。俺はお前を初めて見た時からこの日が来るのを待ってたんだ」

純月
「どう言うこと?」

阿越
「あの店の前で財布を掏るのを見た時から、お前を幸せにしてやろうってな」

純月
「み、見てたのか?」

阿越
「あぁ。飯を食いに行こうとして、そしたら」

純月
「あたいはそういう女だよ、なのにどうして?」

阿越
「今は違う、立派に働いてるだろ。俺のところにこいよ」

純月
「あれ?なんか眠くなってきたよ。酔ったのかな?」

阿越
「酔ったのは酒にじゃなく俺にだろ?」

純月
「だ、だめだよ」

阿越の腕に抱かれ押し倒されるが、言葉とは裏腹に拒否したくない気持ちもある。

阿越
「俺のこと嫌いか?いや、その目は嫌いじゃないよな?」

純月
「会ったばかりなのにこんなこと」

阿越
「俺たちがこうなるのは運命なんだよ」

顔が近づき、唇が迫ってくる・・・
純月は阿越を見つめ目を閉じる。
胸元に指がかかり・・・

阿越
「純月、、お前はもう俺のものだ」

純月
「く、苦しいーー」

阿越
「苦しさもこれ快感、どうだ?堕ちていくだろ?」

次の瞬間、右胸の上に激痛が走った。

純月
「な、なにしたんだ!?」

阿越
「俺のものになったんだよ!」

京虹
「純月!」

阿越
「いいとこだったのに、邪魔者が来たぜ」

京虹
「おい、なにしてる?」

阿越
「男と女がする、いいことさ!剣を見せてやるって言ったらのこのこ家までついて来たんだ。こいつは俺に惚れてるのさ。だから可愛がってやったのさ」

京虹
「女を誑かして気持ちがいいか?剣を出汁に使うなんて汚い野郎だ!純月になんの恨みがある?」

阿越
「俺に惚れたのが運の尽きさ!恨み?そいつは自分の胸に手を当てて考えてみろ!」

純月
「京哥、、、い、痛いよー」

阿越
「早くしないと針が骨に達するぞ!」

そう言うと阿越は走り去った。

京虹
「針はどこに刺さってるんだ?」

純月
「右胸だよ、早く抜いて!」

京虹が純月の胸元を開けると右胸の上が赤く腫れ上がっている。

京虹
「すぐに抜いてやるからな」

剣で少し皮膚を切り針を抜いた。酒で消毒をして起こし上げようとすると、純月が話し始めた。

純月
「あたいって馬鹿だね、剣に釣られてこのザマだよ」

京虹
「さっき見かけた時に声をかけてればよかった。仲よさげにしてたから、てっきり情人かと思ったんだ」

純月
「あいつ、あたいを知ってるって言ってた。いい男だったし、あたい、あーいう男に弱いんだ。なんて言うかさ、ちょっと野暮ったくて、でも優しくて、でもとんでもない奴だった」

京虹
「弱みにつけ込むなんて最低の野郎だ!」

純月
「あーもう忘れる!それにあいつ、あのときにね、首を締めながらにやっと笑ったんだ。そんなのあるの?」

京虹
「俺に聞くな、まっ、そう言う趣を持った男もいるってことだろ。起きれるか?」

京虹は純月を抱きかかえ、酔酒憩廠へと戻った。

昭卓
「純月、どうした!?」

連飛
「やはり悪い予感が的中したようだな」

京虹
「的中ってなんのことだ?それにみんな集まってなにかあったのか!」

昭卓は女性三人に起きた奇妙なことを京虹に話した。

昭卓
「それで純月のことも心配していたら案の定こんなことに」

京虹
「その四鬼邪班とは一体何者なんだ?」

連飛
「鬼影、邪鬼、疫鬼、鬼毒の名を持つ邪悪な連中で、それぞれが武術の達人だ」

京虹
「そいつらがこの四人の女性に、それぞれ卑劣な手段で襲いかかったというのか?狙いはなんだ?」

無雲
「京虹さん、狙いは俺たちかもしれない」

京虹
「俺たちって無雲さんたちはあいつらに恨まれる覚えがあるのか?」

無雲
「すべてを話すしかなさそうだ、なぁ昭卓」

昭卓
「そのようだな」

無雲
「俺たちは七彩仁幇という名の義賊だ。元々、俺は一人で動いていたが、夢輝と賭場で知り合いイカサマ野郎の金銭を巻き上げることを思いついた。義賊は知っての通り悪い奴から奪った金を貧しい者に与えるのが筋。そこに常連客だった永偉が加わった」

永偉
「その頃おれは親父の店を継いだがなかなか上手くやれなくて、他の商売人たちに馬鹿にされてた。だがその中には役人に賄賂を渡し、裏で上手くやってる奴がいることを知ったんだ。それでヤケになって賭場で遊んでたおれを無雲が拾ってくれたんだ」

徳明
「俺もこれまでいろんな店で歌ったが横柄で高慢な客もいて、酒を引っ掛けられた事もあった。ここで酔って暴れそうになった時、永偉が誘ってくれたんだ。詩音との出会いはある富豪の誕生日会だったな」

詩音
「わたしと徳明は共に芸術の道を歩んでいたから惹かれ合ったのね。私も絵を描く手段として場所を選べなくて富豪の屋敷に呼ばれて色目を使われることもあったわ。お金のためとは言え我慢できなくなって仲間になったの。女性は夢輝さんもいたし」

夢輝
「ワタシも最初は無雲のために店を提供しただけだったけど、客の中には悪いのもたくさんいてね。無雲の志に心を打たれて。それで仲間に」

昭卓
「わたしは捕吏だった。だがある日、盗賊に賄賂を受け取った仲間の裏切りで死にかけた。追われていたところを無雲に助けられ、捕吏を辞め親父がやってたこの店を継ぎ無雲の相棒になったのだ」

蘭花
「あの時は心配したし、捕吏の職を失うことにもなかなか賛成できなかったけど、話を聞いて義賊が決して悪漢じゃないことを理解した上で私もお手伝いすることにしたの。この仕事に誇りを持ってる亭主と一緒ならってね」

無雲
「奴らはここ数年ほど町にいて、俺たちの動きに気付いていたのかもしれないってことさ」

京虹
「四鬼邪班の目的が君たち七彩仁幇だとすれば、純月は巻き添えを食ったのか?」

青雷
「その娘さんの様態はどうだ?」

京虹
「胸にこの針を刺されてたんだ。すぐに抜いたけどまだ体が弱っている」

青雷
「芙蓉金針!?そいつにやられたら抜いてもしばらくは熱を持って内力も落ちる。わしの内力を少し分けてやる、部屋に連れて行くぞ」

連飛
「すべては宝石問屋の一件に結びつかないか?そうだとすれば賭場にいた私たちとも繋がるし、狙いが君たち七人と、私たち二人に関係する者への仕打ちと言うことになるだろ」

無雲
「あぁ。欣強が言ってた長身の男と賭場にいたもう一人の男が黒幕かもしれないな」

京虹
「あの二人には四鬼邪班という仲間がいたということか?」

連飛
「四鬼邪班は盗賊ではなく、元々は江湖の侠客だ。腕の立つ四人組で利害が合えば仕事を引き受けるんだ」

京虹
「金で動く侠客ということか」

無雲
「きっと、疾風烈火の二人に雇われたのかもな」

純月
「皆さん、ご心配をおかけしました」

青雷
「純月には少しだが内力があったから、わしの内力を少し与え回復した。実は我ら一門が壊滅に追い込まれたときに同志の一人があの針にやられ命を落としてる」

京虹
「では、鬼影に?」

青雷
「いや、鬼影の師匠で鋼鎖団の一番頭だった鬼丸の仕業だった」

一方、疾風烈火の根城では、、、

羽丹
「ご苦労だったな、これは約束の報酬だ」

鬼影
「あんなの俺らにしてみりゃ朝飯前だ。だが、これで終わりじゃないだろ?」

羽丹
「あぁ、あれは序章にすぎないさ。これで奴らの闘争心に火も点いたことだし、これからが本番さ。もうひと働き頼むぜ」

邪鬼
「報酬さえもらえれば、なんでもやるぜ」

兆軍
「きっと今頃、七彩仁幇の奴らはあの二人の侠客と碧仙門の用心棒と俺らを倒す相談でもしてるんじゃねえか」

疫鬼
「七人のうち、男は四人だけだろ?俺ら六人なら容易いもんさ」

兆軍
「だが、酔酒憩廠の主人と連飛、京虹の二人は凄腕と見た。舐めちゃいけないぜ」

鬼影
「師匠に聞いた話じゃ用心棒の青雷って奴も、只者じゃない。しかし、お前ら二人がなぜここまであいつらに執着するのかわかんないぜ」

邪鬼
「俺らは綺麗な女をものにできて金さえもらえりゃってことだけど、お前ら二人の真の目的はなんなんだ?」

羽丹
「碧仙門との戦いの時まだ下っ端だった俺は、腕も未熟で参加させてもらえなかった。戦いに勝ったとはいえ、跡目争いで内戦が起き一門は解散した。鋼鎖団の一員としてなにも果たせなかったことが悔しくて、兆軍を誘って疾風烈火を組んだんだ」

兆軍
「俺はその頃、ある武術家の下で学んでいたが、お前は凶暴だと悉く言われ続け腐ってた。武術の腕が強いだけでなんの徳がある?義だけ生きていけるか?そんなとき丹哥と知り合い、一旗揚げようと相棒になったんだ」

鬼影
「お前は鋼鎖団の残党で連飛に恨みもあるし、俺ら四人は師匠を青雷に殺られてる。それぞれが生き場所を失った者同志ってことだな」

羽丹
「町に来たが七彩仁幇の存在で仕事も思うように行かないしな」

兆軍
「そうさ、俺らにはなにもない。いい女すら横にいないぜ」

邪鬼
「だけど仕事とは言え、俺の獲物の鉄紺厨師の妻、桃好太太は目がくりっとして愛嬌があるいい女だったぜ。桃色のいい女房の名の如くな」

疫鬼
「俺の獲物は幇主、金笛童子の情人、深緋夢師だ。俺は小柄だからああいうすらっとした女が好みなんだ。粋で気立てもいいし、腰のくびれもなかなかだったよ。名の如く夢を見させてくれたよ」

鬼毒
「俺の獲物は枇杷酔声の情人、瑠璃書家だ。知的で且つ清楚で俺の理想の女だ、絵も最高だったよ。ところで鬼影の獲物はどいつの情人だ?」

兆軍
「あの娘は俺に生意気な口を叩いた酔酒憩廠の使用人さ。あそこにいたのが運の尽きってやつさ」

鬼影
「その運の尽きのお陰で俺の獲物になったのは、俺にしてみりゃ最高の当たり籤さ。生意気そうだが、俺の前じゃ子猫のようにウブで可愛いかったぜ。もし仕事抜きで会ってたら間違いなく俺の方が堕ちてたな。あのままどうにかなりたかったくらいだぜ」

邪鬼
「マジかよ?越哥がそんなこと言うなんてこりゃマジでヤバいぜ」

兆軍
「俺ら二人じゃ勝ち目はなかったが、利害が合ったお前らと組めば恐いものなしだ」

羽丹
「よし、それじゃ明日の夜一気に攻め込む。夕刻またここにここに来てくれ。すべてが終わったら、残りの金は山分けだ!」


酔酒憩廠ー

青雷
「連飛のことは江湖にいた頃の腕も人柄も知ってるが、京虹のことは腕もそうだが素性も知らない。お前が町に来た目的はなんだ?」

京虹
「純月には話したが両親の復仇のためだ。連哥にも話そうとしたがあれこれあって話してなかったな」

連飛
「お前はなにか掴めたのか?」

京虹
「今日一日歩いて手かがりとなってたこの金具のことが判った。これは腕輪の鐶で江湖のある悪漢たちの物だった」

青雷
「見せてみろ。それは我ら一門を壊滅に追いやった鋼鎖団が身につけてた腕輪だぞ」

京虹
「では俺の母さんは鋼鎖団の奴に襲われたのか?母さんが襲われた場所にこの鐶が落ちてたんだよ」

京虹は純月に話した過去のことをもう一度皆にも話した。

純月
「その腕輪、欣強を追ってきた男とあたいを騙した男がしてたのと似てないか?」

欣強
「と言うことは阿京のお袋さんを襲ったのは、そのどちらかなのか?」

京虹
「母さんが襲われたとき、俺は姿を見てないんだ」

無雲
「どっちにしても疾風烈火の二人と四鬼邪班は鋼鎖団と関わりが出てきたことに間違いないし、俺たちの敵だ!」

青雷
「奴らの気質からするとこのままでは終わらないぞ。わしたちも手を組まんか?」

連飛
「私と京虹は縁あって出会った。京虹、義兄弟の契りを交わさないか」

京虹
「俺一人じゃ到底太刀打ちできない相手だ。連哥、頼むよ!」

純月
「はい、契りの杯。二人には世話になったから、いい名前を授けるよ。武勇双侠ってのはどうかな?」

連飛
「そいつはいいな、なぁ兄弟!」

京虹
「いいね、連飛大哥!」

第六部に続く
最後に編集したユーザー ミコ [ 2017年3月14日(火) 23:26 ], 累計 1 回
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By ミコ
#8919 ここで真の正体が義賊、《七彩仁幇》であると明かした七人と、悪役として登場した《四鬼邪班》の四人をご紹介します。

《七彩仁幇》『』は字
幇主 張無雲 『金笛童子』得物:笛と吹き矢 得意拳法:あらゆる拳法
一番頭 趙昭卓 『鉄紺厨師』得物:箸と麺打ち棒 得意拳法:迷踪拳
二番頭 方蘭花 『桃好太太』得物:鉄のお玉
三番頭 劉徳明 『枇杷酔声』得物:琵琶のバチ
四番頭 蘇詩音 『瑠璃書家』得物:鉄筆
五番頭 于夢輝 『深緋夢師』得物:投げ札
六番頭 梁永偉 『萌黄公子』得物:簪

《四鬼邪班》『』は字
★阿越 『鬼影』
★阿能 『邪鬼』
★阿晋 『鬼毒』
★阿宝 『疫鬼』

悪役として登場した四人は、卒業式イベントのために本場から参加してくれた武術俳優として設定しました。
モデル俳優の四人はミコが個人的にすごいなと思っている武術俳優で、りんちぇとの共演はありませんがウー・ジン、ドニー・イェン、トニー・レオン、チウ・マンチェクとの共演もある俳優さんなので、特別出演として登場させてみました。

画像を観ていただければ、きっと「あの作品で観たあの人だ!」と思われるのではないでしょうか。
イメージキャラ画像は↓
四鬼邪班.jpg
四鬼邪班.jpg (84.77 KiB) 表示数: 560 回

武術作品好きの皆さん、誰がモデルかお分かりになりますか。
モデル俳優は↓
四邪鬼班モデル.jpg
四邪鬼班モデル.jpg (54.79 KiB) 表示数: 560 回
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By hiyoko
#8920 翆 詠みやすくてあっという間によんだよー
いろんな事情があってみんな集まったんだよな~
それってそうして集まるようにそれぞれの運命ってものがあったのかもな~
じゃないと偶然はではないかもしれないしね^^
純月の毒針の後大丈夫かな??とっても心配だ・・・・
(そうそう・・・・天廩署もきっとそうしたことがあるのかねえ~
あっちは暴れまわってるけど・・いってみてないんだよなあ~・・・)

共通の敵をどう料理するか?ここが一番のもりあがりだろうなー
そんな時に仕事だったらどうしよう・・・・・・・・・・
(そればかりが・・・気になる)

>翆!雪がふる予定なの?
翆>だって今日雪降るって竜神の兄さんが言ってたもん
>翆~竜神さん待ってるんだけど 忘れてた??
翆「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
翆時間切れ 

翆「わかったーよ・・・・・・・・・・・

お客さんが来たのでまた♪
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By ミコ
#8924 第六部『攻防策略』

義兄弟の契りを交わした武勇双侠の二人と七彩仁幇、青雷たちはこれから更に襲い来る悪漢たちに屈しないため、策略を練り始めた。

無雲
「闇雲に戦っても到底勝てる相手じゃない。こちらから仕掛けるか、それとも来るのを待つのか?」

青雷
「四鬼邪班の師匠だった鬼丸は自分の技を四人に分け与えていた。鬼影は八極拳の使い手で得物は芙蓉金針、邪鬼は少林七星拳の使い手で得物は巨大数珠、疫鬼は少林通背拳の使い手で点穴を得意とし、鬼毒は太極拳の使い手で暗器も使う」

連飛
「奴らに本気で襲撃されたら、太刀打ちできないほどの相手だということだ」

徳明
「疾風烈火は鋼鎖団の残党なんだろ、と言うことはやはり鋼鎖団の誰かの技を引き継いでるのはないか?」

京虹
「そう言えば、父さんを襲った男に俺は鎖で首を絞められた」

青雷
「鉄鎖の使い手だった男がいたが、そいつが京虹の父親を襲ったのかもしれんな。鋼鎖団とは名の如く鎖が武器のひとつなのだ」

純月
「鬼影は剣も使うよ。京哥とは違う剣法で腕も相当だった」

青雷
「純月、お前も剣は使えるだろ?お前の体にはわしの内力がある。辱めを受けたお返しにお前のその双剣でぶった斬ってやれ!」

純月
「内力をもらっても奴に勝つのは無理だよ。そう言えばあいつと手合わせしたときに躊躇いがあるって言われたんだ」

京虹
「あの野郎、そんなこと言ったのか?」

純月
「もっと強くなりたいよ」

美琳
「人数では勝ってるけどこちらは女性もいるし、本当に連中が襲ってきたらどうするの?」

青雷
「お嬢さまはわしが守りますし、他の女性もそれぞれが守らねば」

美琳
「七彩仁幇の男性は全員戦えるの?」

永偉
「これまでの奴らのことを聞く限りでは、おれは自分の身を守るのが精一杯かもしれないな」

徳明
「私たちは殺し屋ではないからね」

夢輝
「七彩仁幇は殺しをしないのが鉄則なの」

無雲
「しかし、奴らに勝つためにはそうも言ってられなくなるな」

詩音
「でも殺さずに奴らに勝てる方法なんてあるかしら」

青雷
「連飛さんは人を殺めたことはあるだろ?」

連飛
「できればしたくはなかったが、そうしなければならない相手もいたからな」

欣強
「おいらは殺しはやったことないよ。阿京は?」

京虹
「まだないが、両親の仇のためならやれる!」

純月
「あたいもやつは赦せない!でも殺さずに懲らしめられればそうしたいけど」

京虹
「純月、情けはかけるな!まさか、あいつに本気で惚れてたのか?」

純月
「違うよ!死ぬよりももっと辛い目に合わせてやりたいだけだ!」

青雷
「確かに死んでしまえば終わりだ。死ぬより辛い目に合わせるってのも面白いが、そんな方法があるのか?」

美琳
「その四鬼邪班の連中は女好きのようだわね。だったら留めは連飛たち侠客の腕に任せて、その前にワタシたち女性は純月さんの言うとおり、死ぬよりも辛い思いをさせてやるのはどう?」

夢輝
「美琳さんったら見た目と違って大胆なことを言うのね」

青雷
「きっと総帥の血を引かれたのだと思います。卑劣な連中にはその倍以上で返すというのが総帥の鉄則でしたから」

美琳
「さっきから気になっていたんだけど、詩音さんのお召し物とっても素敵ね」

詩音
「これは祝儀の席で紅蝶楼の伎女の秀華さんに、絵を描いたお礼にって戴いたんです」

美琳
「伎女?良いことを思いついたわ。紅蝶楼で女好きの四人を罠に嵌めるのはどう?皆さんが受けた卑劣なことの二倍以上のね」

永偉
「紅蝶楼は俺の店のお得意さんだから、協力を頼むなら女将に話してみるけど」

純月
「そうだ!場所だけ借りてあたいたちが伎女に扮して、復仇するのはどうかな?」

夢輝
「伎女か、いいわね。でもどうやって紅蝶楼に来させるの?」

蘭花
「女好きを遊郭に来させるなんて簡単よ」

純月
「いい夢見させたあとで罠に嵌めて、そのあとは連哥たちに始末してもらうってことだね。なんだか想像するだけでワクワクしてきたよ」

青雷
「まずは奴らの居処を掴み、先を越されないように手はずせんとな」

純月
「あたいが行ったあの家はホントに奴の家かな?」

京虹
「俺がもう一度行って様子を見てくるよ」

無雲
「按摩に行った家は借りてると言ってたから奴の家ではないだろう」

欣強
「おいらは他の三人の居処を探ってくるよ」

永偉
「おれは紅蝶楼に話をつけてくる」

青雷
「わしは疾風烈火の情報集めだ」

美琳
「ワタシたちは奴らを懲らしめる策略を練っておくわ」

京虹は純月が襲われた家へ行き、木戸から覗いてみるが誰もいない。
路地の外へ戻り角の履き物屋の主人に尋ねてみるが、そこはしばらく空き家で人は住んでいないと言われてしまった。

町に出た欣強は、この間情報をくれた酒屋の阿六のところへ向かった。

欣強
「この間は情報ありがとよ」

阿六
「あっこの間の兄さん、今日はなんだい?」

欣強
「兄さんはこの町じゃ生き字引って言われてるんだろ?ちょっと聞きたいことがある。四鬼邪班と呼ばれる悪党のことで知ってることがあったら、この豚まんで教えてくれよ」

阿六
「俺の好物じゃん!どんなことだ?」

欣強
「溜まり場とか根城とか、なんでもいいさ」

阿六
「阿越と阿能はこの店にもよく来るよ。三日に一度は来るほどの酒好きだ」

欣強
「一緒に来るのか?」

阿六
「奴らが四人一緒にいるとこは滅多に見ないけど、一度だけこの先の寂れた呑み屋で四人一緒のところを見たところがある。破れた提灯がぶら下がった呑み屋だよ」

欣強
「ありがとな!」

欣強は阿六が教えてくれた呑み屋へ足を運んだ。
すると外の長椅子に細身で面長の男と、小柄で目の細い男が酒を呑んでいた。
欣強は二人の似顔絵をささっと描くとその場を立ち去った。

疾風烈火のことを調べに出た青雷は、町の質屋に寄ってみた。

青雷
「最近、宝石をたくさん質入れした客はいなかったか?」

質屋
「お客さんの情報はお教えできません」

青雷
「わしのことを覚えてないか?」

質屋
「こ、これは青雷の旦那じゃないですか!町へはいつ?」

青雷
「あのときのことを忘れてなかったら、教えてくれよ」

二年ほど前、総帥と町に来た青雷は質屋強盗に出くわし、襲われていた質屋の主人を救ったのだった。

質屋
「忘れちゃいませんよ。あの時、助けてもらってなかったら私はとっくにあの世行きでしたから。それなら三日ほど前に風呂敷包み一杯の宝石を持ってきた男がいましたよ」

青雷は欣強が描いた似顔絵を見せた。

青雷
「この男じゃないか?」

質屋
「長髪で長身の厳つい男でした、そうそうこの人ですよ。あんなたくさんの宝石を質入れなんて怪しいと思って様子を窺っていたら、その先の路地を曲がっていきましたよ」

青雷
「ありがとな」

青雷は質屋が教えてくれた路地を曲がると突き当たりに古びた祠が建っていた。
そっと近づき裏に回り木戸の隙間から中を覗くが、誰もいなかった。
だが、先ほどまで人がいた気配があり柱には法衣と易者と漢方医の服が吊してあった。

一方、酔酒憩廠の裏庭では、、、

連飛
「どうだった?奴はいたか?」

京虹
「あそこは空き家であの時だけ使ってただけのようだ」

無雲
「きっと欣強が掴んできてくれるさ」

京虹
「あぁ」

連飛
「無雲はどんな門派の技でもできるんだな」

無雲
「俺は幼い頃から生まれ育った山で、あらゆる達人の教えを受けてきたんだよ」

連飛
「兄弟、お前の腕も見せてくれ」

京虹
「よし!」

京虹は竹筒から剣を抜くと、剣指で構え剣裁きを見せる。
力強くしなやかさもあり、的確な動きだ。

連飛
「動きに無駄がなく速さもあって、なかなかだな。独学とは思えないほどだ」

京虹
「二年間、山でひたすら剣を振ってたからね。無雲のその笛も得物なんだろ?」

無雲
「このままでも殴れるし、吹き矢を仕込むこともできるのさ」

連飛
「昭卓さんの武術も相当だ」

昭卓
「捕吏をしてたときに拳法を学んだからね。基本は迷踪拳だ」

京虹
「その麺打ち棒も得物として使えるな」

徳明
「俺はこの琵琶のバチだ」

京虹
「接近法で首筋をすぱっといけるね」

そこへ永偉が戻ってきた。

永偉
「女将に話をつけてきたよ」

京虹
「永偉の得物はなんだい?」

永偉
「おれはこの簪さ」

連飛
「これも接近法でブスッといけるな」

一方女性たちは、、、

美琳
「相手をするのはそれぞれ襲われた奴でいいわよね」

蘭花
「声や仕草でバレないかしら?」

美琳
「お化粧をばっちりして、髪型を変えれば大丈夫。ワタシに任せて」

夢輝
「でも二人きりになったら、まずくない?その気にさせてそれだけってわけにも行かないわよ」

美琳
「まずは酒を呑ませて仄めかせ、女が男を誘う手管を使って。その点は巧くやるのよ」

詩音
「自信ないわ。それにその気になってくれなかったらどうするの?」

美琳
「奴らが遊郭に来る目的はひとつ。そのために来るのだからなにもせずに帰るってことはないわ」

蘭花
「阿能って男は大柄だし、もし押し倒されたら抵抗できないわ。ホントにやられちゃったら亭主に申し訳が立たないわ」

夢輝
「阿宝は小柄だけど、また点穴されたら身動きがとれなくなるわ」

詩音
「阿晋は細身だけど、やっぱり男だから押さえつけたら無理!」

純月
「あいつは変な趣があって、首を絞めてきたんだ。京哥に聞いたらそんな男もいるって言ってたけどホント?」

夢輝
「えっ?首を絞められたの?」

蘭花
「いつ?」

純月
「いつって、、、あ、あのときだよ」

詩音
「あのときって?」

夢輝
「純月、もしかしてやられちゃったの?」

純月
「やられてないよ!押し倒されたときに首を絞めながらいいだろって。それだけだよ」

美琳
「きっとそいつは女性を服従させたい気質なのよ」

夢輝
「でも、純月は一番気の毒よね。だってワタシたちとはやり方が違うもの」

蘭花
「そうね。女の弱みにつけ込んでるわ」

純月
「あたいが馬鹿だったんだから仕方ないよ」

美琳
「好みの男に誘われて優しくされたら悪い気はしないもの」

夢輝
「それに純月には決まった人もいないわけだから」

純月
「あたいを前から知ってるとか言って。確かに好みの男だったけど、でもあれは金のためにしたことだったんだ。今はもう恨みしかないよ!美琳さん、なんとしてでも仕返ししたいよ」

美琳
「眠り薬を用意するからいざという時は酒に入れて飲ませればいいわ」

夢輝
「ワタシたちもいざというときのための防御法を教えてもらいに行きましょうよ」

連飛
「策略は錬れたか?」

美琳
「まず、眠り薬を用意しないと」

夢輝
「ワタシたちにも技を教えてよ」

と、そこへ欣強と青雷が戻ってきた。

欣強
「なぁ、この似顔絵の男たちが襲ってきた奴らか?」

詩音
「どれどれ?この男、薬草売りの阿晋だわ」

夢輝
「こっちのは按摩師の阿宝にそっくり!」

欣強
「小川の先にある寂れた呑み屋にいたよ。そこがこいつらの溜まり場さ」

青雷
「疾風烈火の根城は質屋の先の古びた祠だ。変装用の服が吊るしてあったから間違いない」

蘭花
「居場所は分かったけど、遊郭にはどうやって誘うの?」

美琳
「顔を知られていないワタシが、伎女に扮してその呑み屋まで誘いに行ってみるわ」

青雷
「お嬢さま、それは危険すぎます」

美琳
「いくら女好きだからといって、そこで押し倒すようなことはないわよ」

夢輝
「なにか尤もらしい理由を作って誘うのはどうかしら?」

純月
「それはいいね!宴があるって招けばいいよ。奴らなら伎女の誘いを断るようなことはないさ」

永偉
「それは女将に頼んでみる。きっと女将のことも知ってるだろうから信用して来るさ。」

京虹
「遊郭に来るのにも得物を持ってくるかな?」

青雷
「奴らはいつ何時も油断はしないだろうからな。それぞれの部屋に一人ずつ男性を忍ばせておくのはどうだ?」

美琳
「まず偽の誕生日の宴を開いて場を盛り上げたら、そのあと一人ずつ部屋に誘って罠に嵌める。忍んでいる男性はいざという時まで隠れてる。そんな感じね」

連飛
「それでは誰がどの部屋に隠れるか?」

昭卓
「わたしはもちろん蘭花の部屋だ」

無雲
「俺は夢輝の部屋だ」

徳明
「俺は詩音の部屋だ」

純月
「いいな、みんなには情人がいて」

京虹
「あの時すぐに声をかけなかった俺にも責任がある。純月の部屋には俺が」

青雷
「それで、女性が仕掛ける罠は決まったのか?」

美琳
「それはあとでのお楽しみ!男にとって最も屈辱的なことよ」

永偉
「女将には昼から貸してもらえるよう話してきたから、誕生会の準備をして奴らを誘ってきてもらって開始だな!」

翌日、美琳たちは料理を作り偽誕生日会の準備を始めていた。
紅蝶楼の女将には、招待状を届けに行ってもらう手はずも整えた。

早速、欣強の案内で寂れた呑み屋に行ってみると、今日は阿宝と阿能が飯を食っていた。
欣強は角に隠れ、様子を窺っている。

女将
「ちょっと失礼します。私は紅蝶楼の女将ですが、覚えておいでで?」

阿能
「あー覚えてるよ。朝っぱらからこんなとこまでなんの用だ?」

女将
「実は今日、人気伎女である美華の誕生日の宴を開くのですが、是非、兄さんたちをお招きしたいと申しておりまして。こちらが招待状です」

阿能
「俺ら四人を招待してくれるのか?」

女将
「ええ。いらしていただけますか?」

阿能
「わかった。必ず行くよ」

女将
「有難うございます。ではお待ち申しておりますよ!」

二人が去るのを見て女将は欣強と酔酒憩廠へ戻ることにした。

阿宝
「紅蝶楼の人気伎女が俺らを招いてくれるなんて、すごいな」

阿能たちは呑み屋の先の祠堂にいる二人に、招待状を見せに行った。

阿越
「伎女に誘われるなんて俺らも大したもんだな」

阿晋
「二人との約束は夕刻だったな。それまでに戻ればいいか」

阿能
「誕生日の宴の方が大事だ」

阿宝
「普通ならこちらから金を払って行くところに、あちらから招待してくれるんだから」

阿晋
「そうだな。俺たちは元々、あいつらに恨みもないし」

阿能
「師匠が殺されたのも自業自得って言えばそれもそうだし」

阿越
「そういうことだ。贈り物に花でも持って行けば、美味しい思いができるってことだ」

阿能
「じゃあ、一張羅でも着て花を買って出かけるか!」

その頃、疾風烈火の二人は得物の鎖を磨きをかけていた。

兆軍
「奴らを信用して大丈夫ですかね?」

羽丹
「金は渡すと言ってある。大丈夫さ」

兆軍
「前金を少し渡しておいた方がよかったんじゃ?」

羽丹
「渡して逃げられても困る。絶対に来るさ」

酔酒憩廠では、、、

連飛
「これですべて準備万端。あとは奴ら四人が来るのを待つだけだ!」

第七部に続く
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By hiyoko
#8927 翆 わわ~~~~女の子みんなで男を誘惑して罠を掛けるって昔もあんまり変わらないなあ~
凄くストレートにこの手法を使うのかあ~。それにかかったらそれはすご~い収穫だね~
しびれぐすりでものませるのかね???ふふふふう・・・(ついそっちに)
だけどこの罠を周到に用意しているのもまた策士だと思うね♪
徳明や永偉 連飛たちの連携もまたここの見どころ♪
計略がうまくいきますように~

今日はお休みだったので誰にも邪魔されず過ごせた翆だった・・。
かしこ
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By ミコ
#8929 第七部 『羞辱報復』

美琳と女将に化粧をしてもらい、煌びやかな服に着替えた詩音たち四人は踊りの練習を済ませ四邪鬼班が来るのを待っていた。

その頃、約束の時間に遅れないようにと四邪鬼班は一張羅に着替え花を買い、紅蝶楼に向かっていた。

四人が表門に着くと女将が出迎えていた。

女将
「お待ちしておりました。どうぞ」

美華(美琳)
「大侠の皆さま、ようこそ。美華でございます」

阿能
「誕生日おめでとう」

阿晋
「こんな美しい女性に招かれて嬉しいよ」

阿越
「これは俺たちからの贈り物だ」

美華
「わぁ、綺麗なお花!さぁ、こちらへ。まずは乾杯と行きましょう」

美華は四人に杯を渡し、酒をついだ。

女将
「お料理も用意してあります。今日は思う存分、飲んで食べて楽しんでってくださいな」

阿能
「美華嬢は人気伎女だと聞いてきたが、この店には最近きたのか?」

美華
「三ヶ月前です」

阿晋
「どおりで見たことないと思ったよ」

阿越
「三ヶ月で人気伎女とはすごいな」

阿宝
「越哥、これだけのべっぴんなら当然ですよ」

美華
「さぁ、もっと呑んで召し上がってくださいな」

女将
「お兄さん方、この娘たちが祝いの舞をご披露しますので見てやってくださいな」

阿越
「おぉ、いいな」

詩音たち四人は、練習した舞を見せる。

阿能
「よっ、いいぞ!」

阿能
「美華嬢、妖艶な舞だな」

美華
「お兄さん方に楽しんでいただきたくて一生懸命練習したんですよ」

舞が終わり、四人は挨拶をしに席にやってきた。

美華
「この娘たちもご一緒して宜しいかしら?」

阿越
「もちろんだ」

美華
「さぁ、貴女たちもこちらへ」

音華(詩音)
「音華と申します。こちらのお兄さんは細身で素敵!」

阿晋
「音華か、清純そうで可愛いな。じゃあ、俺からも一杯」

夢華(夢輝)
「ワタシは夢華と申します。お兄さんは目がすっとしてて素敵!」

阿宝
「夢華か、すらりとして綺麗な娘だ。さぁ、呑んでくれ!」

桃華(蘭花)
「こちらのお兄さんはがっちりしてて素敵!桃華と申します」

阿能
「桃華か、目がくりっとしてて美しい。よしついでやろう!」

月華(純月)
「こちらのお兄さんは渋くて髭が素敵!月華と申します」

阿越
「月華か、その猫のような目が色っぽいな。横に座れ。呑ませてやろう!」

美華
「お気に召しましたら、どうぞお一人ずつお部屋にお連れしても宜しくてよ」

阿越
「いいのか?」

美華
「もちろんですとも。貴女たちもそうしたいでしょ」

四人
「ええ」

女将
「今日はそのためにお招きしたのですから。お代はいただきませんので」

阿能
「ホントか?」

女将
「それぞれのお部屋を用意しておりますので、ご案内しましょう!」

四人
「では、お待ちしております」

阿晋
「音華、入るぞ!」

音華
「さぁ、もっとお飲みになって」

阿晋は音華に酒をつがれ、酒を飲み始める。

阿晋
「ここへはいつ?」

音華
「四日前に入ったばかりで。前は違う店にいたんです」

阿晋
「そうか。お前ももっと呑むか?」

音華
「わたしはあまり強くないの。阿晋の旦那こそもっと呑んでぇ!」

阿晋
「なんか眠くなってきたな」

天井裏からは徳明が覗いていた。

阿宝
「夢華、入るぞ!」

夢華
「さぁ、こちらへ。もっと呑んでくださいな」

阿宝
「お前も飲めよ!しかしさっきの舞はよかったな」

夢華
「ごめんなさい、ワタシは下戸なの。ワタシが飲ませてあげるぅ!」

阿宝
「いいねえ」

天井裏からは無雲が覗いていた。

阿能
「桃華、どこだ?」

桃華
「ここですよ!」

阿能
「昼間から酒を呑んで美味い料理を食べて、こりゃいいな」

桃華
「料理も酒もまだまだありますからね!さぁどうぞ」

阿能
「お前の酌で飲む酒は特別美味いな」

天井裏からは昭卓が覗いていた。

月華
「阿越の旦那、こっちですよ。早くいらして!」

阿越
「今、行くぞ!」

月華
「阿越の旦那は奥方はいらっしゃるの?」

阿越
「いたら遊郭になんぞ来ないさ」

月華
「今日は美華姐の誕生日だからいらしてくれたけど、今度はあたしに会いにいらしてくれる?」

阿越
「あぁ、もちろんだ」

月華
「もっとお飲みになるでしょ?」

阿越
「あぁ。お前ももっと飲むか?」

月華
「あーん、飲ませてくださいなぁ」

阿越
「甘えてるのか?」

天井裏から京虹が覗いていた。

あまり酒の強くない阿晋と阿宝は酔いつぶれ、寝てしまったようだ。
音華と夢華は念のために眠り薬を二人に飲ませ、綱で縛っておいた。

残るは酒豪の阿能と阿越だ。
酔った勢いで気が大きくなった阿能は、桃華の煽てに乗り少林拳を披露している。

桃華
「素敵ー!」

阿能
「これは七星拳と言うんだぞー」

桃華(心の声:こいつは酔いつぶれそうにもないわ)
「ねぇ。こっちのお酒は格別なの、飲んでみて」

阿能
「どれどれ?うん、辛口で美味いな」

桃華
「さぁもっともっとぉ!」

ようやく阿能も眠り薬入りの酒を呑み寝てしまったところを綱で縛っておいた。

月華
「旦那はあたしが今まで会った殿方の中で一番素敵。髭も渋くてその目で見つめられたらとろけそう」

阿越
「月華、お前は口も上手いな。お世辞でも嬉しいよ」

月華
「お世辞じゃありませんよ。旦那はホントにお強いのね、全然酔ってないみたい。酔ったらどうなるか、見せてくださいな」

阿越
「その気にさせて、どうする気だ?」

月華
「そんなことあたしの口から言わせるおつもり?」

阿越
「大胆な娘だな」

月華
「じゃあ、これはいかが?」

純月は酒を口に含み、口移しで飲ませようと肩を掴み阿越を引き寄せた。
天井裏で見ていた京虹はハラハラしている。

次の瞬間、純月は懐に入り込み首筋に口づけをすると噛みついた。

阿越
「痛い!なんのまねだ?」

月華
「媚薬を注入したんですよ。もうあたしのものさ!」

阿越
「媚薬?」

月華
「そう、惚れ薬という名の媚薬よ」

阿越
「月華ーーー」

月華
「どう?あたしに惚れた?あたしなくてはいられないでしょ」

阿越
「月華ーーー?」

月華
「あたいは純月だ!弱みにつけ込んで気持ちよかったか?人の心を弄びやがって」

阿越
「ホントに純月なのか?」

純月
「忘れたか?お前が針を刺したこの胸の満月の刺青を!」

阿越
「悪気はなかった、金のためだったんだ」

媚薬で朦朧としている阿越の首筋に剣を突きつけ、外に引きずり出す。

純月
「夢輝さん、詩音さん、蘭花さん上手く行った?」

夢輝
「三人とも眠り薬で寝てるわ」

夢輝
「阿越は?」

純月
「薬で朦朧としてるよ」

美琳
「四人とも上手く行ったわね。さぁ最後のお仕置きと行きますか!」

阿越たち四人を荷台に乗せ裏口へ運び出すと、そこに用意しておいた車輪付の櫓に四人を縛り付け、表通りに出した。

純月
「さぁ、皆さん見ておくれ!こいつらは遊郭に来るのに一文も持たずにやってきて、散々飲んで食った挙げ句に女を抱こうとした野郎たちだ!」

下から服についた紐を引くと服が脱げ、褌一丁になった。
褌には『我们、淫男』と書かれている。

遊郭の二階から美琳が水をかけると四人は目を醒ます。

阿宝
「俺は高いところが苦手なんだ。降ろしてくれー!」

夢輝
「按摩だなんて人の体を撫で回したお返しよ!」

阿晋
「飲みすぎて気持ち悪い、降ろしてくれー!」

詩音
「絵を買うだとか、蝶を見せるだなんて騙したお返しよ!」

阿能
「恥ずかしいー、降ろせー!」

蘭花
「商売繁盛だなんて嘘ついて、まだ肋骨が痛いわ!お返しよ!」

阿越
「頭がくらくらする。降ろしてくれー!純月、頼む!」

道行く人たちがみんな笑いながら見ている。

純月
「降ろして欲しいか?それなら泣いて赦しを請うがいい!」

夢輝
「謝りなさい!そうしないのなら紐を引いて!」

すると両足首に縛った紐が両側に引かれ、股裂き状態になっていく。

阿宝は高所恐怖症で気を失ってしまい、阿晋は悪酔いしてぐったりしている。

阿能
「股が裂けるー!」

阿越
「純月、望みはなんだ?」

純月
「お前が針を刺したせいで、体に傷がついた。嫁入り前なのにどうしてくれる?」

阿越
「恨んでるくせに、その俺にどうしろって言うんだ?」

純月
「あたいは本気でお前が好きになりそうだったーーー!だから尚更赦せないんだよ!」

夢輝、詩音、蘭花
「純月!?」

純月
「三人の味わった苦痛をあたいがあの四人にも味わわせてやるよ、見てて!」

純月は剣を握りしめ櫓を昇っていく。

夢輝
「みんなを呼んで来る!」

夢輝に呼ばれ連飛たちがやってきた。

青雷
「危ないぞ、降りてこい!」

京虹
「純月はなにするつもりだ?」

純月は櫓に足をかけ、手前にいる阿宝の首に剣を当てる。

純月
「まずはこいつから行くか?疫鬼、点穴の代わりに剣でつついてやろうか!」

阿能
「やめろ!」

純月
「鬼毒、お前には蝶じゃなく剣を首に刺してやろうか」

阿越
「やめろ!」

青雷
「純月、殺すな!」

純月
「四人の悪漢どもよ、この綱を切って下に落ちたら足の骨が折れるかな?それとも打ち所が悪ければどうなるか?」

阿能
「やめてくれー!」

純月
「疾風烈火の二人に金で雇われたんだろ?白状しろ!」

阿越
「そうだ、すべてはあいつらの仕組んだことだ」

純月
「二人は助けに来ないじゃないか?所詮そんな連中だよ!」

阿能
「俺たちがここに来てるのを知らないからさ。今頃、お前たちを倒そうと計画を企ててる。俺らも手を貸すように誘われてたんだ!」

阿越
「夕刻に根城に行くことになってる。行かなければ探しに来るかもしれん」

純月
「でもお前たちは行けないな。はははー!探しに来るまでこうしてろ!」

純月は櫓から降りてきた。

青雷
「これで奴らも懲りてるだろ」

京虹
「びっくりしたよ」

純月
「聞いたでしょ。疾風烈火の二人はこいつらと襲撃を企ててる。でも四人が行かなきゃ二人だけじゃどうにもならないさ」

美琳
「二人もこのことを知れば、助けに来るんじゃないかしら?」

連飛
「この四人もここまでされて、まだ手を貸すかな?」

青雷
「金を積まれればやるかもしれんぞ」

京虹
「知らせに行くか、それとも人質に取ったと脅しに行くかだな」

美琳
「あの二人にもこの姿を見せてやりたいわ。文を届けに行ってみる?」

無雲
「とりあえず、ここでは店にも迷惑だ。酔酒憩廠まで連れて行こう」

連飛たちは紅蝶楼の女将にお礼を言って酔酒憩廠まで櫓を引いていった。

その頃、疾風烈火の二人は、、、

羽丹
「奴ら遅いな。約束の時間が過ぎたのになにしてやがる」

兆軍
「やっぱり前金を渡しておけばよかったですね。見に行ってみますか?」

羽丹
「奴らの根城に行ってみよう!」

二人は四人の棲む祠堂に行ってみたが、姿はない。

羽丹
「どこへ行ったんだ?」

兆軍
「二人で襲撃しますか?」

羽丹
「向こうは強者揃いだ、二人じゃ無理だ」

兆軍
「そうですね。碧仙門の用心棒に連飛と京虹、七彩の男ども、やっぱり四人に手を借りないとですね」

羽丹
「四人がよく行く店があるらしい、行ってみよう!」

二人は溜まり場としている寂れた呑み屋へ行ってみると、柱に文が吹き矢とともに刺さっていた。

『お前らの間抜けな仲間は小川の脇に干してあるぞ』

二人が小川に走っていくと、そこには阿宝と阿晋が櫓に吊されていた。

兆軍
「気を失ってますよ。それに褌一丁ですぜ」

羽丹
「登って降ろしてやれ。俺は高いところは苦手なんだ」

兆軍は櫓に登り一人ずつ降ろしてやった。

羽丹
「おい、どうした?起きろ!」

阿晋
「羽丹か、ここはどこだ?」

羽丹
「小川だ。なにがあった?待ってたんだぞ」

阿晋
「阿宝、起きろ!」

阿宝
「わー!びっくりした。へっくしょん!」

阿晋
「奴らの罠にはめられたんだ」

阿宝
「なんで褌一丁なんだ?足の付け根も痛い」

羽丹
「奴らって誰だ?罠ってなんだ?」

阿晋
「俺らが罠に嵌めた女たちですよ」

阿宝
「人気伎女の誕生日だって遊郭に招かれて、酒を呑んで部屋に呼ばれて」

兆軍
「阿越と阿能は?」

阿晋
「きっとまだ紅蝶楼の前で吊されているよ」

羽丹
「くっそー!」

兆軍
「どうします?」

阿宝
「元々俺らは関係ない。お前らに加担してもなんの得もないぜ」

羽丹
「そんなこと言わずに手を貸してくれ」

阿晋
「恥までかかされた上に仲間も捕らわれたままだだ。阿越たちを助けに行きたい」

酔酒憩廠の裏庭では、、、

連飛
「もう少しここにいてもらうぞ」

阿越と阿能に服を着せ柱に縛り付けた。

阿能
「どうする気だ?俺らを殺してもどうにもならないぞ!」

無雲
「自業自得だ、そこでじっとしてろ!みんな行くぞ」

連飛たちは店へ戻った。

夢輝
「純月、媚薬を飲ませたんですってね。どこで用意したの?」

純月
「美琳さんに頼んで眠り薬と一緒に買ってきてもらったんだ」

詩音
「それって本当に惚れ薬だったの?」

純月
「惚れ薬ではなく幻覚剤だよ。本心が隠せなくなるって薬だって美琳さんが言ってたよ」

蘭花
「飲ませたんじゃなく噛みついて入れたんでしょ?京虹さんに聞いてびっくりしたわ」

夢輝
「どこに噛みついたの?」

純月
「首筋だよ」

詩音
「ってことは首筋にチューしたの?」

夢輝
「純月ったら大胆ね」

純月
「仕返しだと思えば、どうってことないさ!」

裏庭では、、、

阿能
「越哥、どうする?逃げ出して二人のところへ行くか?」

阿越
「金をもらって二人に手を貸してもいいことはなさそうだが」

阿能
「晋哥と阿宝はどうしてますかね」

そこへ純月がやってきた。

純月
「逃げ出す相談か?」

阿能
「俺らにこんなことしてもあいつらは痛くも痒くもないぞ」

阿越
「あぁそうだ」

純月
「別にあいつらを困らせるためじゃないさ。あたいたちはお前らに報仇したかっただけだからね」

阿越
「頼む。綱を解いてくれ」

純月
「鬼毒と疫鬼は今頃、疾風烈火の二人が助けてるだろうから、四人がお前ら二人を助けに来るか見物だな。金で動くお前らのことだ、仲間たちはどうするか?しかし、あたいたちは決して屈しない。悪漢は退治してやるのさ!」

純月が阿越と話してる間に、阿能は綱を解きかけていた。
手首を縛っていた綱が解け、足の綱を解いた阿能は純月を後ろから羽交い締めにし、首に手をかける。

純月
「は、離せ!」

阿能
「越哥、この娘どうしてやりますか?」

阿越
「こ、殺すな!」

純月
「殺すならさっさと殺せ!」

阿能は自分を縛っていた綱で純月を縛ると、干してあった腰紐で純月に猿轡をした。

阿能
「人質に連れて行きますか?」

綱が解けた阿越は純月を抱え庭から出た。

阿越(純月にこっそり)
「お前は殺さない。少しの辛抱だ、我慢しろ」

阿越
「阿能、お前は羽丹たちと話をつけてこい。そしたら阿晋と阿宝と例の家まで来い、いいな」

阿能
「その娘は?」

阿越
「とりあえず人質にする」

阿能は一人で疾風烈火の根城に向かい、阿越は前に使った空き家に純月を連れ去った。

店では、、、

無雲
「あの二人は鬼毒たちが助けに来るまで待つのか?」

青雷
「あれ、純月は?」

夢輝
「二人に水を飲ませに行くって裏庭に行ったのよ」

京虹
「一人で行かせたのか?」

昭卓
「大丈夫かな?見に行こう!」

みんなで裏庭に行くと、阿越と阿能の姿はなく地面の砂に字が書かれていた。

『あの二人と話をつけてくる。純月はひとまず預かる。心配するな、殺しはしない 鬼影』

青雷
「純月!」

第八部に続く
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By ミコ
#8933 第八部(最終部)前編『対峙の時』

昭卓
「純月は鬼影に連れて行かれたのか!」

夢輝
「喉が乾いてるだろうからって言って行ったのよ、、、一人で行かせるんじゃなかったわ」

蘭花
「水を飲ませに行くなんて、純月は鬼影を恨み切れてないのかしら」

美琳
「心配だわ」

無雲
「大丈夫だ、殺されることはないさ。そう書き残してあっただろ」

欣強
「鬼影たちもあんなことされて黙ってないだろうし、疾風烈火のところに連れて行かれたら、きっと痛い目に遭わされるかも。兆軍は純月を目の敵にしてたからな」

連飛
「あの二人の狙いは私だ。羽丹はあの時から私を恨んでいるからな」

京虹
「あの時?」

連飛
「二年前、私と共に科挙試験を受けたが落とされた。そのあとの武科挙試験での武術表演でも試験官からも評価されず、奴と試合をした結果、私が勝利し怪我を負ったんだ」

無雲
「それで恨んでいるというのか?鋼鎖団は盗賊団だろ、武科挙試験に合格できるわけがないじゃないか」

青雷
「科挙試験は難関とされているが、武科挙試験はたとえ盗賊であっても武術の腕が優れていて正攻法であれば、直接の関係はないのだ」

欣強
「へぇ、そうなんだね」

連飛
「要は武術の腕が判断の基準だ」

京虹
「父さんを襲ったのが鋼鎖団の鉄鎖の使い手だったとすれば、奴はまだ生きてるのか?青雷さん、その男は今どうしてるのか知ってたら教えて欲しい」

青雷
「二年前の我ら一門との戦いには鋼鎖団は寨主を筆頭に主要幹部である十人が襲撃をかけてきた。総帥を始めとしわしを含めた我ら一門の八人で戦いに応じた。七人は同志と共に討てたが、総帥は人質に捕らわれたお嬢様を救おうと寨主の手で殺された。総帥にお嬢様を託されたわしは逃げる道を選び、山奥で隠れ住んでいたんだ」

美琳
「父は一門の血を絶やさないためにワタシを青雷に託したの。逃げたのはそのためよ」

青雷
「ほとぼりが冷めた頃に親しくしていた江湖の侠客がわしを訪ねて来て聞いた話では、寨主もその時の重傷が原因で三日後に死んだらしい。生き残った四鬼邪班の師匠だった鬼丸と鉄鎖の使い手である鎖王が、どちらが跡目を継ぐかで仲違いを起こし決裂したと聞いた私は鬼丸を探し出し仇を討った。お前の父親を襲ったのは鎖王だったかもしれんな。鎖王はとても図体がでかい男で、死んだという話は耳にしていない」

京虹
「覆面をしていて顔は見ていないけど、奴も大柄な男だった。母さんが倒れていたときに落ちていた腕輪の鐶も鎖王のものだったのか?」

青雷
「いずれにしてもお前の両親を襲ったのは鋼鎖団に関係していた者だということも間違いなさそうだな」

京虹
「疾風烈火の二人は抗争にはいたのか?あの腕輪は兆軍もしてた」

詩音
「その腕輪なら鬼影もしてたって純月が言ってたじゃない」

青雷
「鬼影たち四人は鋼鎖団には属してなかった。きっと奴がしていたのは師匠の鬼丸の遺品だろう。それと疾風烈火の二人の顔はわしも見たが抗争の時に姿はなかった」

欣強
「宝石問屋からおいらを追ってきたのは間違いなく兆軍だ。そのあとも変装をして夢賭庵にきたのはあの二人だよね」

昭卓
「その前にこの店で連飛たちを探っていたのも、僧侶に変装した二人だ」

無雲
「すべてはあの二人が仕組んだことで、四鬼邪班は金で雇われた駒ということだな」

美琳
「きっと四鬼邪班の連中は師匠を殺した青雷を恨んでいるのよ。だから疾風の二人に手を貸しているんじゃないかしら?」

青雷
「それも考えられるが、あの四人がそれほどまでに師匠を慕っていたとは思えない。と言うのは元々、四人が鋼鎖団に入らなかったのも理念の相違があって、武術の教えを請うためだけという関係だったとも言われているんだ」

無雲
「理念?」

連飛
「江湖の侠客の理念だよ。名利は求めず、権にも媚びず、義に生きる。所謂、好漢さ」

京虹
「じゃあ、四鬼邪班は好漢だというのか?」

青雷
「あの四人は江湖の兵器譜でも上位の位にいるし、盗賊に成り下がらずも生きていく腕も持っている。だから師匠から技だけ学んで独立したんだろう」

無雲
「でも金が絡めば、なんでもやるんだろ?それを好漢と言えるのか?」

青雷
「とにかく、疾風の二人がこれからどう動き出すか?四人は疾風に加担して、それを徳とするかですべてが決まる。あとは仕掛けてくるのを受けて立つまでだ!なぁ、武勇双侠よ」

連飛、京虹
「あぁ」

夢輝
「わたしの勘だけど鬼影は純月を絶対に殺さない気がするの」

詩音
「何故かはわからないけど私もそう思う」

青雷
「わしが純月を探し出し、無事に連れ帰るさ」

一方、阿能は疾風烈火の二人と今後のことについて話をつけようと我が根城である祠堂に寄ると、そこには阿晋と阿宝が待っていた。

阿晋
「阿能、逃げ出してきたんだな?」

阿能
「あぁ、縛られていただけだからな。お前ら二人も逃げ出せたんだな」

阿宝
「小川で吊されているところを羽丹たちが来て助けてくれたんだ。あれ、越哥は?」

阿能
「酔酒憩廠の裏庭から純月を攫って例の家にいるよ」

阿晋
「人質に取ったのか?」

阿能
「あぁ。疾風の二人はどうしてる?」

阿晋
「もう一度手を貸してくれと金を積まれたよ。阿越はなんて言ってるんだ?」

阿能
「二人と話をつけて来いって言われた。金を受け取って加担するか決めるのは俺らだ。奴らのところへ行こう!」

三人は疾風烈火のいる祠へ向かった。

羽丹
「阿能、お前も無事だったか?」

阿能
「あぁ。奴らは別に俺たちを殺そうとしているわけじゃないようだからな」

羽丹
「これは残りの金だ。手を貸してくれるならみんなで山分けだ」

兆軍
「阿越はどうした?」

阿能
「共に逃げ出したが、純月って娘と一緒にいる」

兆軍
「純月ってあの生意気なチビ女だな、人質に捕ったのか?出来したじゃないか」

阿能
「お前ら二人と話をつけにきたが、俺らがお前らに手を貸したところでなんの徳がある?それが聞きたい」

羽丹
「徳?それはこの金はお前らの物になるし、奴らを倒せばここは俺らの天下になるんだぜ!」

阿晋
「俺もそれを聞きたかった。奴らは悪漢じゃない、倒したところでまた次の正義がやってくるんだぞ」

兆軍
「どうしたんだよ、金が欲しいだろ?チビ女を盾にして襲撃しようぜ!」

阿能
「その金もどうせ盗んだ金だろ?」

羽丹
「頼む。手を貸してくれ!」

阿能
「わかった。越哥と話したらすぐ戻る。ここで待ってろ」

隠れ家の鬼影は、、、

純月
「あたいを人質にしてどうするつもりだ?あたいを殺しても困る人間なんていないんだから」

阿越
「殺さないと言っただろ!」

純月
「あたいはあんたに酷いことをしたし、他の三人だってあたいを恨んでるだろ?」

阿越
「俺ら四人は元々、お前にも他の連中になんの恨みもないし殺す理由もない」

純月
「でも金がもらえるならなんでもやるだろ?だからあたいたち女性をあんな目に遭わせたんだろ、違うか?」

阿越
「殺す気はさらさらなかったさ、ちょっと困らせただけだよ」

純月
「困らせるだけがあれか?京哥が来てくれなかったら、死んでたかもしれないし、青雷さんに内力をもらってよくなったけど、夢輝さんも詩音さんも蘭花だってみんなそうだ!」

阿越
「青雷に内力をもらったのか?」

そこへ阿晋たち三人がやってきた。

阿越
「晋哥、阿宝も逃げ出したんだな」

阿晋
「羽丹たちに櫓から降ろしてもらった」

阿能
「羽丹とは話してきたが、どうしても手を貸して欲しいと言って金を積まれたよ。それにこの娘もどうするんだよ?」

阿宝
「人質に捕ったと話したら、盾にして襲撃するって兆軍が言い出してる。あいつはこの娘を目の敵にしてるからな」

阿越
「阿能、奴らに話したのか!?」

阿能
「話の流れでつい」

阿越
「俺はこいつを殺す気はないし、奴らに渡すつもりもないぞ」

阿能
「じゃあなんで連れ去ったんだ?」

阿越
「お前が手をかけようとしたからだろ?」

阿能
「俺だってこいつに恨みもないし、増して殺す気もないさ。ただ逃げ出すためにそうしただけさ」

純月
「ねぇ、なに揉めてんの?そもそもあんたたちが疾風烈火に手を貸そうとしたから悪いんだろ?」

阿宝
「金で雇われたんだ。仕方ないだろ」

純月
「どうせお前らは金欲しさにか弱い女に卑劣なことした悪漢だろ!腕もあるのに間抜けな奴らだな!」

阿宝
「うるさい、黙れ!」

純月
「へぇー殺す気もないのに、点穴したり、数珠で縛ったり、毒蝶を使うのか?あたいなんか芙蓉金針を刺されたんだからね!」

阿越
「あの芙蓉金針には毒は仕込んでいなかったから、少し内力を失うだけだった」

阿宝
「俺の点穴も武術を心得てる者になら解ける程度の物だぜ」

阿能
「俺の数珠も男の力があれば解ける」

阿晋
「俺の使ったのも毒蝶ではなかったさ」

阿越
「すべては脅しで、殺意はないものだったんだ」

純月
「でも、あたいの胸には傷が残った。これはどう責任を取るんだよ、阿越!」

阿能
「越哥、どう責任を?」

阿越
「責任を取れと言うなら嫁にするが、お前にその気はないだろが!」

阿晋
「阿越!?」

純月
「あ、あるわけないだろ!馬鹿!」

阿能
「でもあの時好きになりかけたから、尚更赦せないって言ってなかったか?」

純月
「うるさい、黙れ!」

阿越
「とにかく俺はこいつを盾にする気はない!この話はもう終わりだ!」

阿宝
「でもあの二人が知ってしまった以上、放ってはおかないと思うけど」

阿越
「逃げられたと言っておけばいい。純月は天下の女スリだぞ、そんなこと朝飯前だってな」

阿晋
「とにかく戻ろう」

四人は疾風烈火の根城に向かった。

羽丹
「待ってたぜ。一緒に行ってくれるよな?ほら、金はここだ」

兆軍
「チビ女はどこだ?」

阿越
「俺の隠れ家にいる」

兆軍
「よし、そいつを盾に奇襲攻撃だ!」

阿越
「俺はあの娘を連れ後から行く」

羽丹
「そうか。それじゃ、武器を携え突撃だ!!」

後編に続く
アバター
By ミコ
#8944 最終結挿入曲♪『風月笑平生』
https://youtu.be/gD3r_ZhJ1O0

※聴きながらお読みいただけるとイメージに効果的です。音量には注意ください。

第八部(最終部)後編 『結集大地』

夜になるのを待った疾風烈火の二人と四鬼邪班の三人は
酔酒憩廠を訪れたが、店の灯りは消え裏木戸に鍵もかかっている。

羽丹
「連飛、出てこい!」

兆軍
「逃げたんですかね」

兆軍は裏口に白煙を仕掛け連飛たちを炙り出す作戦に出るが誰も出てこない。
羽丹は裏庭へ回り、宿へも行くが誰もいない。

ふと庭の木に目をやると吹き矢と共に文が刺さっていた。

『疾風烈火よ、丘の上で待つ 武勇双侠 李連飛、呉京虹』

羽丹
「丘って小川の先だったな。行くぞ!」

五人は丘の上に向かう。

兆軍
「阿能、本当に阿越はチビ女を連れて来るのか?」

阿能
「約束は守る男だ、きっと来るさ。早く行こう!」

丘の上に着くとそこには櫓が組まれ松明が焚かれていた。

羽丹
「連飛、出てこい!」

兆軍
「七彩の連中も出て来やがれ!義賊だなんて正義ぶってるが、お前らも所詮は盗っ人だろ!」

羽丹
「鉢巻き兄ちゃんも一緒に痛ぶってやるぞ。誰が天下の大泥棒だって?俺らの宝を盗もうとしたこそ泥野郎が!」

兆軍
「碧仙門の生き残りじじいも出てこい!総帥も守れず逃げ出した腰抜け用心棒が!こっちには人質もいるんだぞ。早く出てこい!」

連飛
「私たちはここだ!逃げも隠れもしない」

羽丹
「そんな高いところから偉そうに、降りてこい!」

京虹
「俺もここだ!戦いたければ登ってこい!」

無雲
「俺もここだぞ、早く上がってこい!」

兆軍
「行きますか?」

羽丹
「オレはここで待つ、蹴り落としてやれ!なんなら引きずり降ろしてもいいぞ」

兆軍
「おい三人、行くぞ!」

阿宝
「俺は高いところは無理だ」

兆軍
「阿越はまだか?人質を連れてくると行っただろ」

羽丹
「早く行け!」

その頃、純月を探しに出た青雷は念のため、もう一度阿越が使っていた家に行き中を覗くと、純月は阿越と一緒にいた。

純月
「阿越、あんたたちの目的はなんなのさ?」

阿越
「実は俺たちは、、、」

青雷
「純月!助けに来たぞ」

阿越
「青雷さん、来ると思ったよ」

青雷
「どうしてわしが来ると思った?」

阿越
「この場所は見当がついていただろうし、純月を助けに来るのはあんただと思ってた。内力を分けたくらいだからな」

青雷
「内力を分けたのは助けたかったからだ。純月をどうするつもりだ?」

阿越
「奴らのところへ行く、約束だからな。ここで戦ってもいいがそれはあんたからこいつを奪うためだ」

青雷
「奪う?なにを言うんだ」

純月
「ちょっと待って、あたいは物じゃないよ。それに阿越、なに言ってんの?」

阿越
「傷を負わせた責任だ!」

純月
「あ、あれは言葉の文だよ」

阿越
「俺を好きになりそうだったと言ったじゃないか?」

純月
「言ったけど」

阿越
「あれも言葉の文か?」

純月
「青雷さん、連哥たちは?その話はあとだよ」

青雷
「丘の上だ。お前を連れて行くと言ってある、疾風の二人も向かっているだろう」

純月
「すぐに行こう!」

青雷
「お前を救ってからだ」

阿越
「待て!殺さないと言ったろ、見ろ、縛ってもいないだろ。ここで話をしていただけだ。俺が連れて行く!」

純月
「青雷さんあたいは大丈夫。早く行こう!」

阿越
「俺はこいつと馬で行く!」

青雷
「阿越、お前を信用するぞ。わしも連飛の黒艶雄であとを追う、先に行け!」

丘の上では、、、

兆軍は鉄鏈を手に櫓に昇って行き、連飛に向け鎖を投げ脚に絡ませ引きずり降ろそうとしている。

連飛はその鎖を鉄扇で躱し、横の柱に飛び移り足をかける。

京虹
「羽丹、早くあがってこい!まさか高いところが恐いのか?」

羽丹
「うるさい!オレはここがいいんだ。つべこべ言わず早く降りてきて戦え!」

連飛
「仕方がないな。降りてやろうか!」

そう言うと掴み取っていた兆軍の投げた鎖を蔦って下へ降りてきた。

無雲
「仕方がないな。俺も降りてやるか」

無雲も軽功を使い下へ降りてきた。

京虹
「俺の相手は誰だ?父さんと母さんを襲った兆軍、お前か?」

兆軍
「なんのことだ?」

京虹
「お前の持つその鎖は俺の首を絞めた鎖と似ているし、その腕輪の鐶も母さんが襲われた時に落ちていた金具と同じ物だぞ」

兆軍
「お前の親なんか、知らないぞ」

羽丹
「阿能、阿越はまだか?」

阿能
「なんだよ、女を盾にしないと闘えないのか?」

羽丹
「うるさい!連飛、オレと勝負しろ!あの時の屈辱は忘れないぞ!」

羽丹は腰に巻いていた鉄鎖を両手に掴み、連飛に攻撃を仕掛ける。

連飛は投げつけられた鉄鎖を鉄扇で祓いのけ、鉄扇を開き華麗に操る。
羽丹は頬に鉄扇が当たり、傷つけられる。
次に羽丹は鉄鎖を拳に巻き付け、散打の構えでかかっていく。

兆軍
「阿能、無雲はお前に任せる!頼んだぞ」

阿宝
「無雲、お前は少林拳の使い手だろ、俺と勝負しろ!」

無雲
「太極拳も八卦掌も使えるぜ!夢輝を痛ぶってくれた礼だ。いいぜ、かかってこい!」

夢輝
「無雲、頑張ってーーー!」

阿宝は少林通背拳の構えで無雲に向かっていくと、無雲は太極拳の構えでそれを受ける。

無雲
「以前俺が闘った少林寺の僧曰く、そいつの力が六千なら、俺の力は一万だそうだ。負ける気がしないぜ!」

そこへ京虹と昭卓も軽功を使い櫓から降りてきた。

兆軍
「阿能、阿晋、早く奴らを!」

阿晋
「京虹、お前は太極拳の使い手なんだってな。俺と闘え!」

京虹
「望むところだ、来い!」

徳明
「京虹、詩音の仇だ、頼むぞ!」

太極拳と太極拳の闘いだ。
二人とも片足を上げ套路を踏み、交わっていく。
京虹の右手の甲が阿晋の肩を打つ。
阿晋も負けずに右脚を前に出し、京虹の足の間に差し込み倒そうとする。

詩音は握っていた鉄筆を回転して投げると、阿晋の腕に刺さった。

詩音
「やったー命中!」

阿能
「昭卓、お前の迷踪拳を俺の七星拳で敗ってやる。勝負だ!」

昭卓
「妻の仇だ、受けて立つぞ!」

蘭花
「私も行くわ!」

阿能は七星拳の套路から右拳を横に突き出すが、昭卓は迷踪拳の套路からその右拳を肘で躱すと、屈んだ左脚で阿能の右脚を祓う。
蘭花は倒れた阿能の額を鉄のお玉で一発!

蘭花
「こらっ、これでも食らえ!」

兆軍
「俺の相手は誰だ!」

欣強
「おいらの脚技で受けて立つぞ!どうだやるか?」

兆軍
「誰でもいい、かかってこい!」

欣強は跳び上がり三段蹴り食らわせる。
その脚を兆軍は両腕を交差し受けながら、回し蹴りで反撃する。

連飛
「鎖なんぞ使わなくてもお前の拳力はすごいな。私もこれなしで受けて立つ!」

連飛は鉄扇を腰に差すと、掌を前に出し向かっていく。

羽丹
「お前の得意な八卦掌か?オレの詠春拳を食らえ!」

そこへ馬に乗った阿越が現れた。

羽丹
「遅かったな、早くその娘をこっちに!」

羽丹は腰に巻いていた鎖を振り回し、純月に絡みつかせようと投げた。
阿越はその鎖を右手で掴むと馬を降り鎖を手繰り寄せようとする。

阿越
「純月、馬から下りてみんなのところへ一気に走れ!」

兆軍
「おい、なにしてる、逃がすつもりか?」

純月は馬から下りると、櫓の下にいる徳明たちの下へ走っていく。

純月は一度は鎖を避けるが、今度は兆軍の投げた鉄鏈が向こう脛に当たり転んでしまう。

夢輝
「純月!」

夢輝が胸元から抜いた鉄製の花札を回転して投げると、兆軍の手の甲に刺さり兆軍は鉄鏈を放してしまった。

夢輝
「わーお、久々に当たったわ!」

純月は足を押さえ立ち上がるが、走り出せない。
とそこへやってきた青雷が純月を拾い上げると、馬に乗せみんなのところへ走っていく。

阿越
「連飛、早く羽丹を取り押さえろ!」

阿越は兆軍のところへ走り寄り、八極拳の構えで両手を大きく振り上げると、右腕で胸を打つ。

阿越
「欣強、なにしてる?早く蹴り倒せ!」

羽丹
「阿越、お前裏切るのか?金はいらないのか!」

阿越
「阿能、昭卓は元捕吏だ。もうやめろ!」

阿能
「もういいんですか?」

阿越
「晋哥、京虹はただの侠客だ!」

阿晋
「あぁ」

阿越
「阿宝、無雲は義賊だが、まっとうな人間だ」

阿宝
「は、はい」

夢輝
「純月、大丈夫!骨折してるんじゃない?」

純月
「ううん、大丈夫。向こう脛だからすごい痛いだけ」

夢輝
「ホントだ、腫れてる。それより阿越にまたなにかされなかった?」

純月
「なにもされてないよ」

青雷
「ではあそこで二人でなにしてたんだ?」

純月
「話してただけだよ」

美琳
「また変わった趣で襲われてたのかと思った」

青雷
「変わった趣?」

美琳
「首を絞められたんですって」

青雷
「殺されかけたのか?」

純月
「違うよ」

美琳
「愛の服従行為ね」

青雷
「?どんな行為ですか?」

美琳
「青雷にはわからないわね。殺意じゃないの、男が女を支配したいという気持ちから湧き出る欲望というか」

青雷
「はぁ。それにしても純月を痛めつけようとしたのは赦せん!阿越ーーー!」

青雷はそう言うと刀を鞘から抜き走り出した。

純月
「青雷さん、やめて!」

純月も剣を抜き青雷を追いかける。

羽丹
「四邪鬼班、裏切ったなーーー!」

阿越
「羽丹、もう観念しろ!すべてを認めてお縄になるんだ!」

阿越は羽丹の下へ走り出すと胸元から金牌を差し出した。
阿能と阿晋、阿宝も兆軍のところへ走り寄る。

阿越
「悪漢をすべて取り押さえろ!」

阿能
「兆軍、すべて白状して観念しろ!」

夢輝
「どういうこと?」

兆軍
「阿能、なんのまねだ?」

阿越
「我ら、四邪鬼班とはここらを取り締まっている侠捕だ!」

夢輝
「マジで?」

純月
「あたいもさっき阿越に聞いたばかりだよ」

羽丹
「金で動いてたんじゃないのか?」

阿能
「そうだ。府から出る金で悪漢を取り押さえる世直し部隊だ」

阿晋
「お前たちが持っていたあの金はどこから出た金だ?宝石問屋の一件をすべて話せ!」

京虹
「その前に俺から聞きたいことがある。その鎖で父さんを襲い俺の首を絞めたのは羽丹だろ、あの時と同じ鎖だ!母さんを襲ったのは兆軍、お前だろ!その腕輪が証拠だぞ!」

羽丹
「この鎖は鎖王のもので奴から奪ったものだ!そうさ、奴は言ってた。猟師を襲い獲物を奪ったってな」

兆軍
「この腕輪は鋼鎖団のみんなが身につけてる物で俺は鎖王が身につけているのを奪っただけだ。奴はこうも言ってた。山奥の家に入り食い物と首飾りも盗んだってな」

京虹
「鎖王は今どこにいる?」

羽丹
「死んだよ」

阿越
「お前が殺したのか?」

羽丹
「鋼鎖団を解散し鬼丸とも決別したあいつは、下っ端だった俺と組もうと誘いをかけてきた。しかし奴は碧仙門との戦いで頭を打たれた後遺症で気が変になっていた。民家を襲い食い物を盗んだり、子供を攫って金にしようと持ちかけられ俺は怖くなって断ったんだ。そしたら今度は俺を殺そうと何度も脅されていたんだ」

兆軍
「俺はその頃、羽丹と知り合い一旗揚げようとしてたから、羽丹を助けようと奴のところへ行き話を始めたら奴が急に暴れ出し揉み合ってるうちに奴は足を踏み外し、谷に落ちて死んだんだ」

欣強
「あの時、お前が宝石問屋から運んでた宝石は?」

兆軍
「あれは鋼鎖団の軍資金として鬼丸たちが盗んだもので、一番頭だった鬼丸が独り占めしようと隠してたものだ」

兆軍
「そのことを知った鎖王は鬼丸と揉めて、鎖王は鬼丸も殺したんだ」

連飛
「鬼丸は青雷さんが殺したんじゃ?」

青雷
「わしは奴が悪事を働かないようにと、すべての腱を切っただけだ」

連飛
「ではとどめを刺したのが鎖王だったということか」

羽丹
「鎖王も鬼丸も死にオレは疾風烈火を立ち上げようと、鬼丸が隠し持っていた宝石を売り、軍資金を作ろうとあの問屋へ兆軍を行かせたんだ」

兆軍
「だが主人が盗品かも知れないと取引できないと疑われ、仕方なく引き上げたんだ」

永偉
「でもあの時以来、主人は行方知れずだぞ」

京虹
「蔵の箱も全部空だっだぞ。買い取ってもらえない腹いせに主人を殺し、宝石を奪ったんじゃないのか?」

兆軍
「違う!もう一度頼んでみようと夜に行ってみたら、蔵の宝石を全部持って夜逃げしたんだ!」

欣強
「主人が一人になるようにしたのはなぜだ?使用人に嘘を吹き込んだのはお前じゃないのか!」

兆軍
「それは確かに俺だ。主人とだけで取り引きしたかったからな」

連飛
「では、お前らが働いた悪事はこの女性たちにした卑劣なことだけか?」

羽丹
「それをやったのは俺に金で雇われた四邪鬼班の四人だぞ。なぁ、阿越たちよ」

阿越
「俺たちはお前ら二人を探るために手を貸しただけだ」

青雷
「ではこの一件で痛い目を見たのは四人の女性だけということか」

連飛
「京虹のご両親の件は気の毒だったが、鎖王も死んでしまったし」

無雲
「その鎖王が死んだのも、自業自得」

青雷
「鬼丸の死も自業自得か」

連飛
「と言うことは、すべては女性たちが四邪鬼班を赦し、京虹もご両親の死を赦せればということになるな」

夢輝
「わたしは無雲に助けてもらったし、腰の按摩はきちんとしてもらって良くなったからもういいわ」

蘭花
「私も肋骨はもう痛くないし、昭卓の愛も確かめられたし、もういいわ」

詩音
「私も傷は残ってないし、徳明の気持ちが本心だとわかったから、もういいわ」

京虹
「俺も仇はこの手で討ちたかったけど、鎖王ももう死んだことだし二人の運命だったと、もう忘れるよ。純月、お前は?」

純月
「針は痛かったよ。でもあの傷で欠けちゃったけどこの方がカッコいいからもういいよ」

京虹
「でも傷が残ったろ?」

純月
「三日月に矢が刺さってるみたいで気に入ってるよ」

阿能
「責任取らなくて済みましたね、越哥」

阿越
「そうなのか、純月?」

純月
「取りたきゃ取ってもらってもいいけど、あたいは手のかかる女だよ。このそれでもいいの?」

阿越
「うーん、考えておく。それと疾風烈火の二人に関してはすべてが無罪判決となるが、今後、悪事を企てるようなことがあれば、容赦しないから覚悟しておけ」

羽丹
「俺は連飛を武術で倒すまで、江湖で生きる。もう一度科挙試験にも挑戦だ!」

兆軍
「俺も師匠に受けた技で武科挙試験を受けてみる。受かれば武官になれるんだよな!」

連飛
「ああ、そうだとも」

青雷
「武勇双侠のお二人はこれからどうする?」

連飛
「私は江湖に戻ります。美琳、一緒に来てくれるかな」

美琳
「ええ、喜んで」

京虹
「俺も江湖に戻って、好漢の道を貫くよ。幼なじみの情人を待たせてきてるからね」

連飛
「おい、そんな女性がいたのか!」

青雷
「七彩のみんなは?」

無雲
「この世から強欲な人間が消えない限り、俺らも続けるさ。なぁ、愛しの夢輝よ、これからも頼むぜ」

夢輝
「ええ、ついて行きますとも!」

昭卓
「私も父から受け継いだ店を愛する妻とともに続けていくさ。なぁ、愛する老婆(妻)よ」

蘭花
「はい、!老公(旦那様)」

徳明
「俺もまだまだ謡うぞ。詩音を女房に迎えてな、いいだろ?」

詩音
「もちろんよ!」

永偉
「おれは紅蝶楼の女将に見受けを頼まれた伎女と一緒に店をも続けることにした」

阿越
「七彩の存在は義を貫く行いとして認める。これからも悪党の金を貧しい者に分け与えてくれ」

青雷
「欣強は?」

欣強
「おいらは江湖じゃ生きていけなさそうだし、どうしようかな」

無雲
「欣強、俺らの仲間にならないか?理念は一緒だろ!」

欣強
「ホントかい?一緒にやらせてくれるなら喜んで仲間になるよ!」

美琳
「鬼影たちも悪漢じゃなかったと言うことね」

阿晋
「鬼丸と縁を切った俺たちは府に雇われる侠捕、いわゆる傭兵隊となった。これからも治安を守るため働くぜ!詩音さん、済まなかった。もし君になにかあったらいつでも力になる。では!」

阿能
「蘭花さん、申し訳ありませんでした。俺も力になれることがあれば。ではまた!」

阿宝
「夢輝さん、ごめんなさい。腰が痛くなったらいつでも呼んでください。ではまた!!」

阿越
「それでは、皆さん!純月、お前はこれからどうする?」

純月
「お店に置いてくれるならまだ働きたいけど」

昭卓
「店が繁盛してきて人手はいるぞ、これからもいてくれ」

純月
「ありがとうございます。でも剣の腕ももっと磨きたいな」

阿越
「それなら俺が伝授する。いつでも来い!」

純月
「うん」

阿越
「では皆さん、再見!」

四邪鬼班の四人は去っていった。

連飛
「青雷はこれからどこへ?」

青雷
「お嬢様には連飛さんがついていればもうお役目は終わりです。山で隠遁生活でもしますよ」

純月
「隠遁するにはまだ早くない?」

京虹
「そうだよ。俺に剣を教えてくれよ」

青雷
「わかったよ。もう少し頑張るか!」

連飛
「これですべてが終わったな。江湖に戻るとするか!なぁ、兄弟よ!」

京虹
「ああ。七彩のみんなも元気でな、町に来たときはまた一緒に酒を呑もう、山羊肉を肴にな!」

純月
「また山羊か?」

終結

オマケの下り

一ヶ月後、、、

-江湖ではー

青雷
「もっと腰を低く、しなやかに!」

京虹
「名利は求めず、権には媚びず!立ち振る舞いは艶やかにー!」

美琳
「ねぇ、早く子供が欲しいわ、貴方に似た颯爽な男児子がね!」

連飛
「おいおい、婚礼の儀がまだではないか!」

酔酒憩廠では、、、

蘭花
「あんた-!豚の角煮の味を見てくださいな!」

昭卓
「今、麺打ち中だ!味はお前に任せるよ!」

蘭花
「純月、青菜炒めあがったよー」

福章
「純月は剣の稽古に出かけました!僕が運びます!」

富豪の結婚式では、、、

徳明
「本日はおめでとうございます。では一曲お聴きください♪」

詩音
「描きあがりました。お祝いの絵です、お受け取りください!」

徳明
「一週間後は私たちも婚礼だな」

詩音
「ええ」

夢賭庵では、、、

無雲
「欣強、いいなよく見とけよ。この札を下に入れてこう抜くんだ」

欣強
「よし、わかったよ」

夢輝
「欣強は手先が器用だからいい博師になれるわね」

美麗堂では、、、

永偉
「お嬢さん、その柄はとってもよくお似合いで。この簪は新商品でその柄にピッタリですよ!」

四邪鬼班の面々は、、、

阿晋
「美琳さんに言われて作り直した服ができたぞ」

阿宝
「おお、いいね。あれじゃまさに盗賊だったからな。あれ、越哥は?」

阿能
「純月と剣の稽古だって丘に行ったよ。なぁ、越哥はホントに純月に惚れてたのかな?」

阿晋
「ああ。酔酒憩廠の前で見た時かららしいよ」

阿宝
「でもあの娘と結婚したら尻に引かれるね。間違いない!」

丘の上では、、、

阿越
「よし、その調子だ!もっと思い切り振り祓え!」

純月
「ねぇ、あれはホントだったの?」

阿越
「あれってなんだ?」

純月
「あたいを知ってたって言ったことだよ!」

阿越
「ああ!」

純月
「じゃ次に言ったあれは?」

阿越
「あれも本当だ。危なっかしくて放っておけないと思ったんだ!」

純月(独り言)
「あたいの目に狂いはなかったね。この人となら一緒に生きていけそうだ」

阿越
「なにか言ったか?」

純月
「ん-ん、なにも-!」

完結